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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

トップExxonMobil、最下位bp、序列に固定化の兆し:五大国際石油企業1-3月期決算速報(9)

2025-05-16 | 海外・国内石油企業の業績
III. 過去2年間の四半期業績推移
 ここでは2023年4-6月期以降2025年1-3月期までの8四半期の業績推移を比較する。

(利益トップの王座を譲らないExxonMobil!)
1.純利益の推移
 2023年4-6月期は5社すべてが利益を計上したが、ExxonMobilの79億ドルを筆頭に、Chevronは60億ドル、TotalEnergies 41億ドル、Shell 31億ドルであり、bpはもっとも少ない18億ドルの利益であった。

翌7-9月期は各社とも利益が上向き、ExxonMobilは91億ドルの利益を達成し、2位はShell(70億ドル)であった。TotalEnergies及びChevronも60億ドル台後半の利益を計上、bpは5社中では最も低いものの49億ドルの利益を確保した。しかし、これに続く10-12月期は利益が急減、ExxonMobilは4-6月期並みの76億ドルの利益を計上したが、Shell及びbpは一桁5億ドル弱の利益にとどまった。

2024年1-3月期には利益は回復したが、その後は利益が漸減する傾向にあり、特にbpは2024年4-6月期と10-12月期は欠損となっている。このような中でExxonMobilは毎期安定した利益を計上しており、他の4社との格差が広がり、利益額トップを維持している。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                     E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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トップExxonMobil、最下位bp、序列に固定化の兆し:五大国際石油企業1-3月期決算速報(8)

2025-05-15 | 海外・国内石油企業の業績
II. 五社の業績比較(続き)
(ExxonMobil、トップの59億ドル!)
5.設備投資[1] 
 国際石油企業の1-3月期設備投資は、ExxonMobilが59億ドルと最も多く、次いでTotalEnergies 49億ドル、Chevron 39億ドル、Shell 37億ドルであり、bpは5社で最も少ない36億ドルであった。Shellは前期の65億ドルから大幅に減少している。TotalEnergiesは投資額が前期或いは前年同期を上回っている。

(生産量が多いExxonMobil、Chevronの米系2社、少ない欧州系3社!)
6.石油及び天然ガス生産量
(1) 原油生産量[2]
 2025年1-3月期の原油生産量が最も多かったのはExxonMobilの3,139千B/Dであり、5社の中でただ一社3百万B/Dを超えている。ExxonMobilに次いで生産量が多いのはChevron(1,981千B/D)でExxonMobilの6割である。第3, 4位はTotalEnergies(1,516千B/D)、Shell(1,335千B/D)、bpは最も少ない1,086千B/Dで、ExxonMobilの3分の1である。

(2) 天然ガス生産量[3]
 天然ガスの生産量が最も多いのはExxonMobilの日産85億立方フィートで石油に換算すると1,412千B/Dであった。2位以下はChevronの82億立方フィート(石油換算1,372千B/D )、TotalEnergies 53億立方フィート(石油換算1,042千B/D )と続き、第4位はShellの30億立方フィート(石油換算520千B/D )であり、最も少ないのはbpの23億立方フィート(石油換算389千B/D )であった。

(3) 石油・天然ガス合計生産量[4]
 石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはExxonMobilであり石油換算で4,551千B/Dである。同社に次ぐのはChevron(3,353千B/D、)、TotalEnergies(2,558千B/D)である。Shell及びbpはそれぞれ1,855千B/D及び1,475千B/Dであった。ExxonMobilの生産量を100とした場合、他の4社はChevron 74、TotalEnergies 56、Shell 41、bpは32であり、bpの生産量はExxonMobilの3分の1である。
 
 各社の石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油69%、天然ガス31%であり、その他の4社はShell(石油72%:天然ガス28%)、bp(石油74%:天然ガス26%)、TotalEnergies(石油59%:天然ガス41%) 、Chevron(石油59%:天然ガス41%)である。5社いずれも石油の比率が天然ガスを上回っているが、石油の比率が最も高いのはbp(74%)で、逆に最も低いのはTotalとChevron(59%)である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                     E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

[1]「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures

Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

bp:Capital expenditure

TotalEnergies:12. Net investments

[2] 「原油生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net production of crude oil, natural gas liquid, bitumen and tsynthetic oil

Shell:Liquid production available for sale

bp:Production (net of royalties), Liquids

TotalEnergies:

Chevron:Net liquid production

[3] 「天然ガス生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Natural gas production available for sale

Shell:Natural gas production available for sale

bp:Production (net of royalities), Natural gas

TotalEnergies:Hydrocarbon production, Gas

Chevron:Net natural gas production, Worldwide

[4] 「石油・天然ガス合計生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:                     

Shell:Total production in barrels of oil equivalent    

bp:Production (net of royalities), Total hydrocarbons             

TotalEnergies:

Chevron:Total net oil-eqivalent production 

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トップExxonMobil、最下位bp、序列に固定化の兆し:五大国際石油企業1-3月期決算速報(5)

2025-05-12 | 海外・国内石油企業の業績
I. 各社の業績概要(続き)
(売上461億ドル、利益35億ドル、売上高利益率7.6%!)
5. Chevron
プレスリリース:
(1)売上・利益・利益率
 Chevronの2025年1-3月期は売上高461億ドル、利益35億ドルで売上高利益率は7.6%であった。前期(2024年10-12月期)比では、売上高は▲4.6%減、利益は8.1%増であり、また前年同期(2024年1-3月期)比では売上高は▲1.0%、利益は▲36.4%減である。売上高利益率は今期7.6%、前期6.7%であり安定している。

(2)キャッシュフロー
 今期の営業キャッシュフローは52億ドル、投資キャッシュフローは▲56億ドルであり、フリーキャッシュフローは13億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲17億ドルであった。なお同社決算資料では3月末キャッシュフロー残高は示されていない。
 今期の設備投資額は39億ドルである。

(3)原油・天然ガス生産量
 Chevronの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油198万B/D、天然ガス82億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は335万B/Dである。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                     E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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トップExxonMobil、最下位bp、序列に固定化の兆し:五大国際石油企業1-3月期決算速報(2)

2025-05-08 | 海外・国内石油企業の業績
I. 各社の業績概要(続き)
(売上692億ドル、利益48億ドル、キャッシュフロー期末残高391億ドル!)
2. Shell
プレスリリース:
(1)売上・利益・利益率
 Shellの2025年1-3月期は売上高692億ドル、利益48億ドルで売上高利益率は6.9%であった。前期(2024年10-12月期)との比較では、売上高は4.5%微増、利益は415%の大幅増であり、また前年同期(2024年1-3月期)比では売上高は▲4.5%減少、利益は▲35%の大幅減である。

(2)キャッシュフロー及び設備投資
 今期の営業キャッシュフローは93億ドル、投資キャッシュフローは▲40億ドルであり、フリーキャッシュフローは53億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲92億ドルであり、この結果、3月末のキャッシュフロー残高は391億ドルとなった。
 Shellの1-3月期設備投資は37億ドルであった。

(3)原油・天然ガス生産量
 Shellの1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油134万B/D、天然ガス30億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は186万B/Dである。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                     E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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トップExxonMobil、最下位bp、序列に固定化の兆し:五大国際石油企業1-3月期決算速報(1)

2025-05-07 | 海外・国内石油企業の業績
 スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、bp、TotalEnergies及びChevron)の1-3月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、設備投資、キャッシュフロー及び石油・天然ガス生産量について各社の業績を横並びで比較するとともに過去2年間の四半期決算の推移を検証する。

I. 各社の業績概要
(売上831億ドル、利益77億ドル、石油・ガス合計生産量455万B/D!)
1. ExxonMobil
プレスリリース:
(1)売上・利益・利益率
 ExxonMobilの2025年1-3月期は売上高831億ドル、利益77億ドルで売上高利益率は9.3%であった。前期(2024年10-12月期)との比較では、売上高、利益は横ばいであり、また前年同期(2023年1-3月期)比では売上高横ばい、利益は▲6.2%の減益であった。

 因みにBrent 原油の平均価格は前年同期(2024年1-3月期)1バレル83ドルであり、前10-12月期は74.7ドルであった。今期(2025年1-3月期)は75.7ドルでほぼ前期と横ばいである。後述するようにExxonMobilの原油天然ガス生産量は昨年大幅に伸びている。価格下落にもかかわらず、売上高が横ばいであるのは販売量が増加したためと考えられる。

(2)キャッシュフロー及び設備投資
 今期の営業キャッシュフローは130億ドル、投資キャッシュフローは▲41億ドルであり、フリーキャッシュフローは88億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲136億ドルであり、この結果、3月末のキャッシュフロー残高は185億ドルとなっている。
 ExxonMobilの1-3月期設備投資は59億ドルであった。

(3)原油・天然ガス生産量
 1-3月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油314万B/D、天然ガス85億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は455万B/Dである。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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余裕のトップExxonMobil、落伍するbp:五大国際石油企業業績速報シリーズ(18完)

2025-03-13 | 海外・国内石油企業の業績
III. 過去2年間の四半期業績推移(続き)
3.キャッシュフローの推移
(年々財務C/Fが細るbp)
(3)財務キャッシュフロー
 2023年1-3月期の財務C/Fは、ExxonMobilとShellが▲85億ドルと▲84億ドルで並んでおり、次いでChevron▲66億ドル、TotalEnergies▲40億ドル、bp▲36億ドルであった。

 ExxonMobilとShellの財務C/Fは同じような増減を繰り返しながらほぼ横ばい状態である。Chevronは昨年1-9月にかけて 財務C/Fが縮小したが、前期(10-12月期)にはExxonMobilあるいはShellと同程度の水準に落ち着いている。

 TotalEnergiesの財務C/Fは毎期かなり大きな変動を経ている。即ち2023年1‐3月期の▲40億ドルから同年10-12月期には▲130億ドルに膨れ上がり、2024年7-9月期には6億ドルのプラス勘定に転換、10-12月期には再び▲79億ドルのマイナス勘定に戻っている。

 bpは5社の中で財務C/Fが最も少ない。さらに同社の場合、過去8四半期を通じて年々財務C/Fが細っており、2023年1-3月期の▲36億ドルが2024年10-12月期には▲6億ドルになっているのが特徴的である。

 5社の四半期ごとの推移は以下のとおりである。
(単位:億ドル)
                   2023年                         2024年
                   1-3月  4-6月  7-9月  10-12月 1-3月  4-6月  7-9月  10-12月
ExxonMobil      ▲85→  ▲82→  ▲81→  ▲96→  ▲80→  ▲126→ ▲111→ ▲87
Shell             ▲84→  ▲90→  ▲91→  ▲117→ ▲82→  ▲118→ ▲75→  ▲109
bp                    ▲36→  ▲36→  ▲42→  ▲20→  ▲24→  ▲13→  ▲30→  ▲6
TotalEnergies   ▲40→  ▲79→  ▲48→  ▲130→ ▲2→   ▲68→     6→  ▲79
Chevron          ▲66→  ▲87→  ▲86→  ▲62→  ▲49→  ▲46→  ▲53→  ▲88

(残高水準の高いShell、残高が減少するExxonMobil、増加するbp!)
(4)キャッシュフロー期末残高
 2023年1-3月期以降の四半期末キャッシュフロー残高の推移を各社ごとに見る。なおChevronの決算書類では四半期ベースの残高は示されていないため、ここではその他の4社について比較検討する。

2023年3月末のC/F残高が最も多いのはShellの421億ドルであり、次いでExxonMobil 327億ドル、bp 304億ドル、TotalEnergies 280億ドルであった。

Shellの残高はその後も高い水準を維持しているが、2年間を通じて見ると減少傾向にあり2024年12月末の残高は388億ドルである。bpは2024年3月末までは横ばい状態であったが、その後残高は増加しており、昨年末はShellをしのぎ400億ドル目前の393億ドルの残高である。一方、ExxonMobilの残高は減少傾向にあり、2023年3月末の327億ドルに対し昨年末残高は232億ドルであり、2年の間に100億ドル近く減少している。

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
                     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
                     E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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余裕のトップExxonMobil、落伍するbp:五大国際石油企業業績速報シリーズ(14)

2025-03-06 | 海外・国内石油企業の業績
III. 5カ年(2020-2024年) 業績推移の比較(続き)
5.原油・天然ガス生産量[1]
(急増する米系2社、現状維持が精一杯の欧州系3社!)
(1)原油生産量
2020年から2024年までの過去5年間の五大国際石油企業の原油生産量の推移を見ると、米系2社(ExxonMobil及びChevron)が1位と2位を独占し、さらに両社の生産量が大幅に伸びているのが特徴である。これに比べ、欧州系3社(Shell、TotalEnergies及びbp)はいずれも生産量が横ばいあるいは減退している

2020年の原油生産量は、トップのExxonMobilが2,349千B/Dであり、2位はChevronの1,868千B/Dであった。その他3社の生産量はShell 1,576千B/D、TotalEnergies 1,543千B/D、bp 1,113千B/Dである。ExxonMobilのみが200万B/Dを超え、また2位Chevronと3位Shellの間には30万B/Dの格差がある。ExxonMobilの生産量を100とした場合、各社はChevron 80, Shell 67, TotalEnergies 66, bp 48となり、Shell, TotalEnergiesはExxonMobilの3分の2、bpは2分の1である。

2021年、2022年は各社とも生産量が停滞あるいは減少したが、2023年以降はExxonMobil及びChevronの米系2社は原油生産量が急増している。ExxonMobilの2024年生産量は2,987千B/Dと300万B/D近くに達し、またChevronも200万B/Dが目前である。2020年の生産量に比べ、ExxonMobilは1.3倍に増加している。

一方、欧州系3社の生産量は5年間を通じて減少している。2024年の生産量はTotalEnergies 1,468千B/D、Shell 1,320千B/D、bp 1,070千B/Dであり、2020年を100とすると、それぞれ95, 84, 94であり、5年間で10%前後減少している。

(2)天然ガス生産量
 2020年の5社の天然ガス生産は、トップがExxonMobilの日産85億立法フィート(以下cfd)であり、以下、Chevron 73億cfd、TotalEnergies 72億cfd、Shell 43億cfd、bp 23億cfdであった。ExxonMobilに比してChevron及びTotalEnergiesは9割、Shellは5割、bpは3割にとどまっている。

 2021年から2023年の間、Chevronが生産を伸ばしたのに対しExxonMobil、TotalEnergies及びShellは生産量が減少、2024年は各社とも前年横ばいであった。2024年の生産量はトップがChevronの82億cfd、2位は僅差でExxonMobilが81億cfd、以下、TotalEnergies 52億cfd、Shell 30億cfd、bp 23億cfdである。2020年と比べChevronは12%増加しており、これに対しbp及びExxonMobilはほぼ変わらず、TotalEnergies及びShellは3割前後減少している。

(3) 石油・天然ガス合計生産量
 石油と天然ガスの合計生産量の5年間の推移をみると、各社の2020年生産量はExxonMobilが3,761千B/D(石油換算)で5社のトップである。2位以下はそれぞれChevron 3,083千B/D、TotalEnergies 2,871、Shell 2,324千B/D、bp 1,524千B/Dであった。5社の順位はその後5年間を通じて変わっていない。しかしExxonMobil及びChevronが2024年に大きく生産が伸び、一方TotalEnergies及びShellは減少傾向を示し、bpは横ばいであった。この結果5社の間で格差が広がり、順位が固定化する傾向がみられる。

(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行
 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
      Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
      E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

[1] 「原油・天然ガス生産量」は各社決算資料から下記項目を抽出している。

ExxonMobil:       Net production of crude oil, natural gas liquid, bitumen and synthetic oil

Shell:    Liquid production available for sale, Upstream Segment

bp:         Production (net of royalties), Liquids/ Oil production & operations

TotalEnergies:    3.3 Production, Liquids

Chevron:             Net liquid production

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余裕のトップExxonMobil、落伍するbp:五大国際石油企業業績速報シリーズ(13)

2025-03-05 | 海外・国内石油企業の業績
III. 5カ年(2020-2024年) 業績推移の比較(続き)
(群を抜くExxonMobilの投資水準!)
4.設備投資[1]
 2020年の設備投資額はExxonMobilが214億ドルで最も多く、次いでShell(166億ドル)、bp(141億ドル)、Chevron(135億ドル)、TotalEnergies(130億ドル)であった。ExxonMobil1社のみが200億ドルを超えており、他の4社は150億ドル前後で並んでいる。2021年はShellが前年より増加、TotalEnergiesは横ばいであったが、ExxonMobil、bp、Chevronの3社は減少した。

2022年に入り各社とも投資増額に意欲を示しており、ExxonMobil及びShellが220億ドル台で並び、bp、TotalEnergiesの投資額は共に163億ドルであり、最も少ないChevronは120億ドルであった。

ExxonMobilは続く2023年及び2024年も200億ドル台後半の積極的な設備投資を行っている。これに対し他の4社の設備投資は横ばいまたは減少しており、昨年の投資額はExxonMobilの276億ドルに対し、他の4社はいずれも200億ドル未満にとどまっている。過去2年間はExxonMobilの投資水準が他社を圧倒している。

(続く)


本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
          前田 高行
 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
          Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
          E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

[1] 「設備投資」は各社決算資料から下記項目を抽出している。

ExxonMobil:       Capital and Exploration Expenditures

Shell:    Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

bp:         Capital expenditure

TotalEnergies:    12. Net investments

Chevron:             Capital & Exploratory Expenditure, Worldwide

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余裕のトップExxonMobil、落伍するbp:五大国際石油企業業績速報シリーズ(12)

2025-03-04 | 海外・国内石油企業の業績
III. 5カ年(2020-2024年) 業績推移の比較(続き)
(2021年以降はExxonMobilがトップ独走!)
2.利益[1]
 2020年から2024年まで5年間の5社の利益の推移を見ると、2020年は全社が欠損となり、特にExxonMobil、Shell、bpは▲200億ドルを超す巨額の損失を計上、TotalEnergies、Chevronもそれぞれ▲72億ドル、▲55億ドルの赤字を余儀なくされた。2021年には一転して各社とも業績が急回復しExxonMobil及びShellが230億ドル及び201億ドルの利益を計上、TotalEnergiesとChevronの利益も160億ドル前後を記録した。bpはこれら4社に及ばず76億ドルの利益にとどまった。

2022年はbp以外の4社は2年連続の増益となり、ExxonMobilは史上最高の557億ドルの利益を確保、他社もShell 423億ドル、Chevron 355億ドル、TotalEnergies 205億ドルの利益を計上している。この中でbp1社のみはロシアプロジェクトの特別損失により▲25億ドルの欠損であった。2023年はExxonMobil、Shell及びChevron3社の利益は急落、TotalEnergiesは利益横ばい、bpは前年の欠損からプラスに転じた。

そして2024年は原油価格が前年を下回ったこともあり、各社とも利益が減少している。ExxonMobilの利益は337億ドルであり、Chevron(177億ドル)、Shell(161億ドル)、TotalEnergies(158億ドル)を大きく引き離しトップを独走している。これに対してbpの利益は4億ドルと大幅に減少、5年間を通じて5社の中では最も利益の少ない状態が続いている。

(2020年の全社大幅マイナスから急回復、但しbpは低水準のまま!)
3.売上高利益率
 2020年はbpの▲19%を筆頭にExxonMobil及びShellが▲12%、Chevron及びTotalEnergiesが▲5%であった。2021年は各社とも業績がV字型に回復し、Chevronの10.0%を筆頭に、ExxonMobil 8.1%、TotalEnergies 7.8%、Shell 7.7%、bp 4.6%といずれもプラスに転じた。2022年は各社の収益格差が拡大し、Chevron、ExxonMobil及びShellは二桁台の利益率を確保したのに対して、bpは5社の中でただ1社▲1%のマイナスに転落している。

2023年の各社業績は順調に推移し、Chevron及びExxonMobilは共に10%台の利益率を確保した。他の3社も押しなべて好調でTotalEnergies 9.0%、bp 7.2%、最も低いShellも6.1%の利益率であった。昨年(2024年)はExxonMobilはじめ4社の利益率は若干落ち込み、bpは0.2%に急落している。

2021年以降の4年間を通じて見るとChevron及びExxonMobilが10%前後の高い利益率を維持しているのに対してbpだけは4年間のうちの2年間がマイナスまたは1%未満の低い利益率を記録し、5社の中で最も低い水準にとどまっていることが特徴である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
      前田 高行
 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
      Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
      E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

[1] 「利益」は各社決算資料から下記項目を抽出している。

ExxonMobil:       Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)

Shell:    Incom/loss attributabel to shareholders

bp:         Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders

TotalEnergies:    Netincome (TotalEnergies share)

Chevron:             Net income

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余裕のトップExxonMobil、落伍するbp:五大国際石油企業業績速報シリーズ(10)

2025-02-28 | 海外・国内石油企業の業績
II. 2024年の業績比較 
7. 2024年末バランスシート(B/S) (続き)
(2)資本・負債 
2024年末の各社の資本(Equity)、固定負債(Non-current liabilities)及び流動負債(Current liabilities)の合計規模は、ExxonMobilが4,535億ドルで最も大きい。これに次ぐのはShellの3,876億ドルであり、TotalEnergies及びbpは2,800億ドル強で並んでいる。Chevronは2,569億ドルで5社の中ではもっとも小さい。

資本、固定負債、流動負債にわけて見ると以下のとおりである。なおChevronの発表資料では負債の内訳が示されていないので4社について比較する。

(bpの資本額はExxonMobilの3割!)
(a)資本(Equity)
 資本が最も多いのはExxonMobilの2,706億ドルであり、次いでShellが1,802億ドル、Chevron 1,523億ドル、TotalEnergies 1,203億ドルである。bpは5社の中で唯一1千億ドルを下回る783億ドルにとどまり、ExxonMobilの3割に過ぎない。

(固定負債が最も多いのはbpの1,217億ドル!)
(b)固定負債(Non-current liabilities)
 固定負債が最も多いのはbpの1,217億ドルであり、ExxonMobilとShellが1,120億ドル台で並んでいる。TotalEnergiesの2024年末固定負債は773億ドルであった。

(資本が負債を上回る米系2社、下回る欧州系3社!)
(c)流動負債(Current liabilities)
 流動負債が最も多いのはShellの950億ドルであり、他の3社はTotalEnergies 880億ドル、bp 822億ドル、ExxonMobil 703億ドルである。Shellの流動負債はExxonMobilより約250億ドル多いことがわかる。

 資本と負債の比率を見ると、ExxonMobilは資本(60%):負債(40%)であり、5社中では資本の比率が最も高い。Chevronは58%:42%であり、ExxonMobilと同様、資本が負債を上回っている。これに対して欧州系3社はいずれも負債が資本を上回っている。

 また負債に占める固定負債と流動負債の比率を見るとExxonMobilは固定負債62%:流動負債48%と固定負債の割合が高い。bp及びShellはそれぞれ60%対40%、54%対46%であり、ExxonMobil同様固定負債が流動負債を上回っている。これに対してTotalEnergiesのそれは47%対53%であり、流動負債が固定負債を上回っている。

(続く)

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      前田 高行
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      Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
      E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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