石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇4 埋蔵量(4)

2014-07-30 | その他

1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(トルクメニスタンの埋蔵量は過去6年間で9倍に増加!)
(5)主な天然ガス資源国の過去13年間の埋蔵量の変化
(http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G04.pdf参照)
 2013年末の天然ガス埋蔵量上位5カ国(イラン、ロシア、カタール、トルクメニスタン、米国)にオーストラリア(世界11位)及びノルウェー(同15位)を加えた7か国について2000年~2013年までの埋蔵量の推移を見ると、イランの場合2007年までは埋蔵量27tcm(兆立方メートル)前後を上下していたが、2008年に30tcmを突破、2010年にはロシアを追い越し2013年末の埋蔵量は世界一の34tcmである。ロシアは2000年から2009年まで世界一の埋蔵量(30tcm)を誇っていたが、2010年にイランに追い越され世界2位となっている。しかし両国の差はわずかである。世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を14tcmから26tcmに大幅に上方修正し現在に至っている。

 これまでイラン、ロシア、カタール3カ国の埋蔵量が他を圧倒していたが、近年トルクメニスタンの飛躍が著しい。同国の埋蔵量は2007年まで2tcmにとどまっていたが、2008年の7tcmから2010年には10tcmを突破、2013年末の埋蔵量は18tcmに達し過去6年間で9倍に増加しており、比較した7カ国の中では飛び抜けた増加率である。

 イランとトルクメニスタンは2006年以降共に埋蔵量が急増している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との合弁事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が政策的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国石油企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。

 米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2011年には2006年比1.5倍の9.5tcmに達した。2012年には8.7tcmに減少した後、2013年は9.3tcmに回復しており、同国は一進一退しながらも埋蔵量がすこしずつ増加している。このことはシェールガス開発が盛んに行われていることを示しているが、同時にガスの市場価格が低下したため天然ガスの消費が増えた結果、埋蔵量がストレートに増加しない状況を示している。

 オーストラリアは近年探鉱・開発活動が盛んであるが、米国と異なり消費地から離れておりLNG設備の建設に長期間が必要である。このように同国の場合は探鉱開発と生産の間にタイム・ラグがあり、それが2007年以降の埋蔵量のの推移、2.3tcm(07年)→3.5tcm(08年)→3.7tcm(10年)→3.8tcm(12年)→3.7tcm(13年)に表れている。

 以上の6カ国は埋蔵量が増加傾向にあるが、ノルウェーの埋蔵量は2003年にピークに達した後は漸減傾向にある。即ち2000年に1.3tcmであった同国の埋蔵量は2003年には2.5tcmに増加したが、その後は2.4tcm(05年)→2.3tcm(06年)→2.2tcm(08年)→2.0tcm(10年)と年々減少し、2013年の埋蔵量は2.0tcmである。北海油田がピークを過ぎ同国の石油生産量は長期低落傾向にあるが、これに伴い随伴天然ガスの生産量も減少していると考えられる。

(天然ガス篇埋蔵量完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月30日)

2014-07-30 | 今日のニュース

・ウクライナ、イラク、リビアの緊張にも関わらず石油価格は下振れ。Brent $107.27, WTI $100.47

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇3 埋蔵量(3)

2014-07-28 | その他

1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(昔も今も中東と欧州・ユーラシアが二大埋蔵地域!)
(4)地域別の埋蔵量推移(1980年~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G03.pdf参照)
 埋蔵量の推移を地域別に見ると、1980年は中東地域が世界全体の35%を占め最も大きく、次いで欧州・ユーラシア地域が33%であり、この2地域で世界の埋蔵量の7割弱を占めていた。2000年代初めには両地域の比率は中東46%、欧州・ユーラシア27%となり両地域の埋蔵量格差は拡大した。しかしその後格差は縮小傾向にあり、2013年末はそれぞれ43%と30%となっている。両者の合計シェアは73%であり1980年当時よりも高くなっている。

 北米地域のシェアは大きく低下している。1980年に世界の14%を占めていたシェアは1990年には一ケタ台の9%に落ち込み、さらに2000年以降は5~6%にとどまっている。現在米国ではシェール・ガスが盛んに開発されこれを含めた2013年末のガス埋蔵量は1980年の10兆tcfを上回る12兆tcfに達し、埋蔵量の世界シェアは6%で推移している。このように現在埋蔵量が1980年当時を上回っているにもかかわらず世界に占めるシェアが半分以下に落ち込んでいることには二つの理由が考えられる。即ち第一の理由は北米以外の地域(特に中東、欧州・ユーラシア地域)でガス田の発見、或いは既存ガス田の見直しが行われ埋蔵量が大幅に増加したことであり、第二の理由は北米が天然ガスの最大の消費地域であるため(消費量については後述)、シェール・ガスの生産が消費とバランスしており、シェール・ブームではあっても埋蔵量の追加にはならないためと考えられる。

 その他の地域ではアフリカ及び中南米のシェアはそれぞれ8%と4%であり、このシェアは過去30年以上殆ど変っていない。なお前項に述べたとおり世界の天然ガス埋蔵量は1980年以降毎年増加しており、2013年は1980年の2.6倍に達している。このことはアフリカ及び中南米地域の埋蔵量も世界全体と同じペースで増加していることを示している。

 アジア・大洋州地域は1980年のシェア6%から徐々にあがり1999年以降は9%に達したが現在のシェアは8%である。世界経済の発展に伴い地域の天然ガスの探鉱開発が活発化した結果、埋蔵量シェアが増加した訳であるが、近年同地域における天然ガス需要が急増し生産が消費に追いつかないため、埋蔵量が減少する傾向にあると言える。

(続く)

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇2 埋蔵量(2)

2014-07-26 | その他

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(埋蔵量は33年間で2.6倍、可採年数は55年前後で安定!)
(3)1980~2013年の埋蔵量及び可採年数の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G02.pdf参照)
 1980年末の世界の埋蔵量は72tcmであったが、2013年末のそれは186tcmであり、この33年間で2.6倍に増加している。埋蔵量は1990年、2001年及び2010年前後とほぼ10年毎に大幅に増加しており、以下のような4つの成長時期に分けることができる。

 1980年代は年率4%前後の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は96tcmに達した(第1期)。そして1989年には対前年比11%の大幅な増加を示し同年末の埋蔵量は107tcmとなった。その後1990年代は年間成長率が平均2%とやや鈍り2000年末の埋蔵量は139tcmであった(第2期)。2001年は前年比10.3%増大し同年末の埋蔵量は153tcmに達したが、2002年以降2007年までは年間成長率が1%以下に停滞している(第3期)。2008年から埋蔵量は再び増加の兆しを見せ2010年及び2011年の対前年比伸び率はそれぞれ4.3%、5.3%であった(第4期)。2011年から2013年の埋蔵量は横ばい状態で2013年末は186tcfであり現在の第4成長期が高原状態に達しているようである。

 一方可採年数の推移をみると1980年代は50年台前半であったが1990年代以降は50年台後半を維持し、2001年及び2002年には可採年数は60年を超えている。2003年以降は50年台後半を維持しており、2013年の可採年数は55年となっている。上に述べた通り1980年から2013年まで可採埋蔵量は一貫して増加しており(但し2012年のみは対前年比で微減)、この間天然ガスの消費は大幅に伸びている(本編第3章「天然ガスの消費量」参照)。消費量が急激に増加するなかで可採年数が横這い状態となっているということは、世界各地で新しいガス田が発見され、或いは従来商業生産が難しいとされていたものが技術革新により実用化されたことを意味している。前者の新規ガス田発見の例としては中央アジアのトルクメニスタン、ロシアの北極海或いは東アフリカのモザンビーク沖における大型ガス田の発見があり、後者の技術革新の例としては米国のシェールガスや世界各国におけるコールベッドメタンの開発をあげることができる。

(続く)

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今週の各社プレスリリースから(7/20-7/26)

2014-07-26 | 今週のエネルギー関連新聞発表

7/21 ExxonMobil    Export Application Filed with U.S. Department of Energy for Alaska LNG Project http://news.exxonmobil.com/press-release/export-application-filed-us-department-energy-alaska-lng-project
7/22 JX日鉱日石エネルギー    インドにおける潤滑油合弁販売会社の設立について http://www.noe.jx-group.co.jp/newsrelease/2014/20140722_01_0944355.html
7/22 三菱商事    豪州の軽油事業に参入 http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2014/html/0000025258.html
7/23 東燃ゼネラル石油    2014年度 東燃ゼネラル 東燃ゼネラル 児童文化賞 ・音楽受賞者決定のお知らせ 受 http://www.tonengeneral.co.jp/news/2014/07/23/uploadfile/docs/20140723_1_J.pdf
7/24 昭和シェル石油    人事異動のお知らせ http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2014/0724.html
7/25 経済産業省    カナダで再生可能エネルギーに関する内外差別を是正する法律が施行されました http://www.meti.go.jp/press/2014/07/20140725001/20140725001.html

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月24日)

2014-07-24 | 今日のニュース

・イラク南部からの原油輸出252万B/Dの高水準に

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇1 埋蔵量(1)

2014-07-22 | その他

BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2014」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量のデータを抜粋して解説したものである。

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数
(世界の天然ガスの4分の3は中東と欧州・ユーラシアに。世界の可採年数は55年!)

(1)2013年末の確認埋蔵量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G01.pdf参照)
 2013年末の世界の天然ガスの確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は185兆立方メートル(以下tcm: trillion cubic meter)であり、可採年数(R/P)は55年である。

 埋蔵量を地域別に見ると中東が43%、欧州・ユーラシアが31%であり、この2地域だけで世界の埋蔵量の4分の3を占めている。これら2地域に次ぐのはアジア・大洋州とアフリカがそれぞれ8%、北米6%、中南米4%でこれらすべて合わせても全体の26%にとどまる。このように世界の天然ガスの埋蔵量は一部地域に偏在していると言える。

 埋蔵量を生産量(次章参照)で割った数値が可採年数(R/P)であるが、2013年の天然ガスのR/Pは55年である。これを地域別で見ると中東地域の100年以上に対して北米はわずか13年にすぎない。アフリカ地域のR/Pは70年で全世界の平均を上回っており、その他欧州・ユーラシアは世界平均よりやや低い54年である。中南米は44年、アジア・大洋州は31年で世界平均を下回っている。

(国別埋蔵量ではイランとロシアがトップ!)
(2)国別の埋蔵量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-T01.pdf参照)
 2013年末の国別埋蔵量を見ると、イランが最も多い34tcmであり、第2位はロシアの31tcmである。この2カ国が世界の中で飛びぬけて多く、両国を合わせると世界の35%を占める。この2カ国に続くのが第三位カタール(25tcm、シェア13%)、第四位トルクメニスタン(18tcm、9%)であり、これら4カ国だけで世界の埋蔵量の6割弱を占めている。5位以下10位までは米国(世界シェア5.0%)、サウジアラビア(4.4%)、UAE(3.3%)、ベネズエラ(3.0%)、ナイジェリア(2.7%)、アルジェリア(2.4%)と続いており、上位10カ国の世界シェア合計は79%に達する。

 因みに天然ガス生産国の一部はガス輸出国フォーラム(GECF)を結成している。GECFは2001年に結成され、現在は正式メンバーがロシア、イラン、カタール、アルジェリアなど12カ国及びオブザーバーがノルウェーなど3カ国の合計15カ国で構成されている。GECF自体は加盟国相互間で世界の天然ガス市場の需給・価格情報を共有することが目的であり、OPEC(石油輸出国機構)のような生産カルテルではない。しかし消費国の一部にはGECFを「天然ガスのOPEC版」と警戒する向きもあり、今後の動向が注目されている 。

(*)ガス輸出国フォーラム(GECF)メンバー
正式加盟国(12ヶ国):ロシア、イラン、カタール、ベネズエラ、ナイジェリア、アルジェリア、エジプト、リビア、オマーン、トリニダード・トバゴ、ボリビア、エクアトール・ギニア
オブザーバー参加国(3カ国):ノルウェー、カザフスタン、オランダ
 
(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油篇18 精製能力(5)

2014-07-20 | その他

(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf

 

(設備の削減が追いつかず低迷する日本の稼働率!)
(5)主要な国と地域の精製設備稼働率(2000~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-5-G04.pdf 参照)
 精製能力に対して実際に処理された原油の量(通油量:Refinery throughputs)で割ったものが設備の稼働率である。ここでは日本、米国、中国、インド及び欧州・ユーラシア地域について2000年から2013年の稼働率を比較検討する。

 2000年には米国とインドが90%を超える高い稼働率を示し、日本も83%を記録している。これに対し中国は78%、欧州・ユーラシア地域は最も低い76%であった。インドはその後も高い稼働率を維持し2003年以降は稼働率100%を超える状況が続き、2013年の稼働率は103%であった。前項の精製能力の推移に見られるとおりインドは2000年以降精製能力を拡大しており、2013年には2000年の1.95倍の能力に達しているが、需要の伸びに追い付かず慢性的な精製能力不足であることがわかる。

 米国の稼働率は2000年の91%をピークに年々低下し2009年には82%まで下がった。その後少し持ち直し2013年の稼働率は86%に回復している。同国の精製能力は2000年の1,774万B/Dに対して2013年は1,782万B/Dで殆ど変っていない。米国は設備が過剰気味であると言えよう。

 日本は設備の過剰感がさらに強いようである。即ち前項に示したとおり日本の精製能力は2000年の501万B/Dから2013年には412万B/Dへと20%近く減少している。その間の稼働率は2000年の83%が2005年には91%に上昇し設備廃棄の効果が見られたが、その後は稼働率が再び80%台前半に低迷しており、2013年は84%であった。日本の場合は設備の廃棄を上回るスピードで需要が減退しているようである。

 中国の精製能力は2000年の541万B/Dから2013年には2.3倍の1,260万B/Dに急拡大しているが、その間の稼働率は80%前後で推移している。同国は石油製品の旺盛な需要を活発な精製能力の増強で補いバランスの取れた状態を維持していると言えよう。但し最近数年の稼働率は2011年の84%から2013年には77%に低下しており、景気低迷の影響がうかがわれる。

 欧州・ユーラシア地域は日本と同様の傾向を示している。第3項「地域別精製能力」で触れたとおり、同地域の精製能力は2000年の2,518万B/Dから2013年には2,389万B/Dに減少している。しかしながらこの間の稼働率は80%前後でありほぼ横ばい状態である。現在でも設備過剰感が残っているようである。

(石油篇完)

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油篇17 精製能力(4)

2014-07-19 | その他

(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf

 

(米国を急追する中国の石油精製能力!)
(4)主要国の石油精製能力の推移(1965年~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-5-G03.pdf 参照)
  世界の石油精製能力上位10カ国のうちここでは米国、中国、インド、日本、サウジアラビア及びドイツの6カ国について1965年から2013年までのほぼ半世紀の石油精製能力の推移を追ってみる。

 現在世界最大の石油精製能力を有する米国の1965年のそれは1,039万B/Dであり、この時既に他国を圧倒する1千万B/Dを超える設備を有していた。この年の日本及びドイツは米国の5分の1以下の192万B/Dと175万B/Dであり、サウジアラビア(30万B/D)、インド(23万B/D)、中国(22万B/D)に至っては米国の40分の1から50分の1程度にすぎなかった。

 日本とドイツは第1次オイルショック(1973年)までは高度成長の波に乗り精製能力の増強を図り、第2次オイルショック(1979年)直後の1980年の精製能力は日本が564万B/D、ドイツ346万B/Dまで伸びた。しかしその後両国はいずれも設備能力を縮小し続け、2013年は日本412万B/D、ドイツ206万B/Dになっている。

 一方中国は能力拡大の一途をたどり、1965年の22万B/Dから1985年には10倍の215万B/Dに達している。1990年以降は拡大のペースが一段と高まり、289万B/D(1990年)→401万B/D(1995年)→541万B/D(2000年)→717万B/D(2005年)→1,030万B/D(2010年)と驚異的なスピードで精製能力を増強、2000年には日本を追い抜いている。2013年の精製能力は1,260万B/Dであり米国との差は500万B/D強にまで縮まっている。現在のペースで設備増強が続けば2020年までには米国をしのぎ世界最大の精製能力を有することになりそうである。

 インドの場合も1965年の精製能力は中国と殆ど同じ23万B/Dにすぎなかったが、1975年には56万B/Dに倍増、1980年代後半に100万B/Dを超え、2000年には222万B/Dに達してドイツに並んだ。さらにその後も能力は増加し2013年には432万B/Dと遂に日本を追い抜いている。インドは2000年から2013年までの間に能力を2倍に増強しており、同じ期間内の日本が0.82倍と能力を削減しているのとは対照的である。日本と中国・インドの差は経済の成熟度の差であると同時に、日本が省エネ技術により石油製品の消費を抑えているのに対し、中国及びインドはエネルギー多消費型の経済開発により高度成長を遂げつつあるためと考えられる。

 OPEC(石油輸出国機構)の盟主であるサウジアラビアは原油の輸出国と見られているが、精製設備増強にも熱心である。これは原油の付加価値を高めるため石油製品として輸出し、或いは中間溜分を石油化学プラントによりポリエチレンなどの石化製品として輸出することを狙っているためである。また同時に国内では急増する電力及び水の需要に対応するため発電所或いは海水淡水化装置用の燃料が必要とされ、また生活水準の向上によるモータリゼーションのためのガソリンの需要が増大する等、石油製品に対する国内需要が急速に拡大しているためでもある。この結果同国の精製能力は1965年の30万B/Dから70万B/D(1975年)→142万B/D(1985年)→181万B/D(2000年)→211万B/D(2010年)と年々増強され2013年には252万B/Dに達している。

(続く)

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今週の各社プレスリリースから(7/13-7/19)

2014-07-19 | 今週のエネルギー関連新聞発表

7/15 JX日鉱日石開発    米国における石炭火力発電所の排ガス活用による原油増産プロジェクトの開始について http://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/2014/post_11.html
7/17 石油連盟    木村 石油連盟会長定例記者会見配布資料 http://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2014/index.html#id699
7/18 OPEC   OPEC’s Annual Statistical Bulletin to be launched 18 July 2014 http://www.opec.org/opec_web/en/press_room/2884.htm

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