石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(5月31日)

2011-05-31 | 今日のニュース

・Brent原油115ドル。月間平均では今年初の下落局面

・イラク、Shell/三菱連合に警告。来週までにガス開発契約妥結しなければ、交渉キャンセル

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荒葉一也SF小説「ナクバの東」Part II「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」

2011-05-29 | 中東諸国の動向

(注)荒葉一也のホームページ「OCIN INITIATIVE」でまとめてご覧いただけます。(http://ocin.web.fc2.com/)

第二章 パーティーにて(3)
 ある日のパーティーで彼は米国軍人の夫人たちに囲まれ話をせがまれた。彼の話が好きなのは男性だけではない。女性にとっては話の内容だけではなく話し手の容貌も重要だ。男盛りの引き締まった顔、軍服に身を包んだ凛々しい姿、物静かだが内に秘めた情熱。彼の全身からにじみ出る男臭さが婦人たちを魅了した。彼女たちはまるでハリウッドの有名俳優に会ったような憧れの眼差しで彼を見つめていた。
 女性ばかりに囲まれ熱い眼差しで見つめられ、いつもとは違う雰囲気に彼は少しばかり緊 張した。話し馴れたはずの戦争の話も時々言葉がつかえ、一瞬の沈黙が生まれる。内気で頑固な彼本来の姿が顔をのぞかせた。夫人たちはその一瞬を見逃さない。噂どおりの男だと知って夫人たちは安心すると同時にますます食い入るように彼を凝視するのであった。

 実際のところ彼女たちにとっては20数年前の第二次世界大戦或いはその5年後の朝鮮戦争について夫たちが語る武勇談はもう聞き飽きていた。気の抜けたシャンパンよりも始末が悪い。それでも夫たちはパーティーで飽きもせず同じ話を繰り返し女性たちをうんざりさせていたのである。
 時代は朝鮮戦争が終わり冷戦の真っ只中であった。1960年に米国の目の前のメキシコ湾でキューバ危機が発生し、世界中が緊張したが米ソの衝突は瀬戸際で回避された。さらに数年後ベトナム戦争が起こったが当初米国内では全く問題視しなかった。東南アジアの貧しい国のゲリラ活動など、米国から見れば物の数ではなかった。後日この戦争が米国人の心に大きな傷を残すとは思いもしなかったのである。米国はソ連との冷戦の対決に全神経を注いでいた。

 戦場で砲弾が飛び交う本物の戦争と異なり冷戦では紛争当事国以外の国では軍人の出番がない。特に現場の将官クラスがそうである。冷戦はスパイが暗躍する謀略戦争である。謀略戦争の影は次第に軍の内部にも浸透し始めた。そこでは頭の切れる、要領のいい将官が出世する。民間企業に例えれば、最前線の営業部隊より、本社の戦略企画部隊が肩で風を切るようになった。民間企業のような売上とか利益と言った明確な目標がないだけにかえって始末が悪い。ライバルのソ連と正面から向き合うのはペンタゴンではなく、外交を一手に取り仕切る国務省であった。

(続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(5/22-5/28)

2011-05-28 | 今週のエネルギー関連新聞発表

5/23 コスモ石油    アラブ首長国連邦での日本語教育プログラム提供に関する覚書締結について http://www.cosmo-oil.co.jp/press/p_110523/index.html
5/23 国際石油開発帝石    役員の異動に関するお知らせ http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2011/20110523-a.pdf
5/23 国際石油開発帝石    富山ラインの建設決定について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2011/20110523-c.pdf
5/24 出光興産    執行役員・部店長の異動 http://www.idemitsu.co.jp/company/information/news/2011/pdf/110524.pdf
5/25 三菱商事/三井物産    ブラジル連邦共和国ペトロブラス社プレソルト鉱区向け 超大水深対応FPSO傭船事業に三井物産と三菱商事が参画 http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2011/html/0000012269.html
5/26 石油連盟    石油業界の夏季電力需給対策のための行動計画について http://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2011/05/26-000494.html
5/26 石油連盟    天坊 石油連盟会長定例記者会見配布資料 http://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2011/index.html#id493

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(5月26日)

2011-05-26 | 今日のニュース

・NY原油、2週間ぶりに100ドル突破、Brentは114ドル。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(5月25日)

2011-05-25 | 今日のニュース

・Brent原油、113ドルに上昇。Goldman Sachsは来年末140ドルを予測

・奇々怪々のリビア石油相亡命劇。実はカダフィの密命で国際石油会社と交渉?  *

*拙稿「ニュース解説:波乱含みのOPEC6月総会」参照。
http://blog.goo.ne.jp/maedatakayuki_1943/e/9759fe87e91f95817155684db6bffe85

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荒葉一也SF小説「ナクバの東」Part II「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」

2011-05-25 | 中東諸国の動向

(注)荒葉一也のホームページ「OCIN INITIATIVE」でまとめてご覧いただけます。(http://ocin.web.fc2.com/)

第二章 パーティーにて(2)
 大使の思惑通り彼はパーティーの人気者になった。彼の周りには政治家やビジネスマン、米国の軍人たちがいつも群がり彼は何度も何度も同じ話をさせられた。未明にシナイ半島のエジプト空軍基地を叩いた話、ゴラン高原を低空でシリアに潜入して同国の基地を攻撃した際のあっけないほどの戦果、相手の対空砲火を避けるため超高空で敵地に潜入し、目標近くで一気に高度を下げると再び超高空に舞い戻るハイ・ロー・ロー・ハイ作戦など時には戦術用語を交えた彼の語り口は聞き手を魅了した。
 当初口下手で相手にうまく伝えられなかった『シャイ・ロック』であったが、何度も同じ話をしているうちに次第に話しぶりは滑らかでよどみがなくなり、時には聴衆の感動と笑いを誘うエピソードをはさむ余裕すら生まれてきた。かつて独立戦争の闘士であった父親が彼に何度も同じ武勇談を語ったのと同じように-------。
 ただ違うのは父子二人の時は聞き手は彼一人であったが、今は周りに大勢の聴衆がいることだ。聴衆の中には既に彼の話を聞いた者もいた。しかしそのような者たちは彼が同じ話を始めると、そっとパーティーの輪を離れた。<またその話ですか>などと言う野暮な茶々を入れないことがパーティーにおける礼儀というものだ。彼の話を始めて聞く人間だけが彼の周りに輪を作り彼の話に熱心に耳を傾けた。
 彼らは別な日に別な場所でその話を話題に取り上げ、アラブを敵に回して連戦連勝したイスラエル、と言うイメージをふりまいていった。アラブ人に生理的な嫌悪感を持つ白人たちにとってその話は騎兵隊がインディアンを撃退する痛快無比な西部劇の映画そのものだったのである。彼の話を聞いたと言って献金を申し出る在米ユダヤ人が続々とあらわれた。大使の狙いは的中した。

(続く)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(5月24日)

2011-05-25 | 今日のニュース

・イラン、OPEC総会にアハマドネジャド大統領出席せず。内閣改造めぐる強硬派との内紛解決に追われる。  *

・イラク、発電燃料確保のためイランから天然ガス輸入の暫定取り決め

 

*行政組織の簡素化を理由に石油省を他省庁と合併、大統領自身が石油相代行に就任。これに対し保守派議員が強硬に反対。当初、大統領は6/8のOPEC総会に出席すると表明していた。なおイランは現在OPEC議長国。

5/20付け拙稿「ニュース解説:波乱含みの6月OPEC総会」参照。

http://blog.goo.ne.jp/maedatakayuki_1943/e/9759fe87e91f95817155684db6bffe85

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荒葉一也SF小説「ナクバの東」Part II「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」

2011-05-22 | 中東諸国の動向

(注)荒葉一也のホームページ「OCIN INITIATIVE」でまとめてご覧いただけます。(http://ocin.web.fc2.com/)

第二章 パーティーにて(1)
 軍事情報の収集という仕事に比べ在米ユダヤ人など民間人との交際は『シャイ・ロック』の苦手であった。軍事関連の話題なら流暢に受け答える彼も、世間的な話題になると途端に舌が滑らかに動かない。元来口下手なだけに多弁でジョーク好きなアメリカ人を相手にすると一方的な聞き役に終わってしまう。相手から人気のテレビ番組についてどう思うか、と感想を聞かれても満足に答えられない。何しろ彼は騒々しいだけのテレビのホームコメディには興味が無いうえ、毎晩本国への報告書作りに追われテレビを見る時間など無いのである。米国のテレビ番組をチェックするのは本国の外務省から派遣された職業外交官に任せれば良い、と彼は思っている。

 しかし大使は『シャイ・ロック』にパーティーに出て米国の民間人と積極的に交われ、と命令した。米国の誰もが第三次中東戦争をわずか6日間で終わらせ圧倒的に勝利したイスラエル、そしてその立役者となったイスラエル空軍の活躍ぶりを知りたがった。その中心にいたのが今回赴任してきた駐在武官である、という噂はワシントンの外交団や国会議員、果ては在米ユダヤ人にまで瞬く間に広がった。
 彼の話が聞きたいという声が大使のもとに殺到した。彼は「歩く広告塔」だった。大使は着任早々の彼を執務室に呼び命令した。
 「先の戦争における貴官の活躍ぶりは当地にも鳴り響いている。貴官の戦闘体験が米国人達に多大な感銘を与えることは間違いない。米国人は単純で勧善懲悪の話が大好きだ。つまり今回の戦争ではイスラエルが善人でアラブが悪人だ、と言う筋書きほどヤンキーたちに解りやすい話はないのだ。」
 その時『シャイ・ロック』は大使の言葉に多少の違和感を覚えた。彼とてアラブと戦う自分達が間違っていないと信じている。しかし戦争に善も悪もないという気持ちもある。戦争は勝つか負けるかしかない。だから戦う以上は勝たなければならない。彼はそう思った。
 「それだけではない。在米ユダヤ人たちが君の話を聞けば奮い立ち、全米からさらに多くの献金を集めてくれるだろう。本国の財政は苦しく米国にいる豊かな同胞は何よりの味方だ。彼らの財布のひもをゆるめさせることが貴官の駐在武官としてのもう一つの役割だ。そのことをよく肝に銘じてもらいたい。」
 『シャイ・ロック』の違和感もそれまでだった。もともと上意下達の軍隊の世界で育ってきた彼には上官の命令は絶対である。大使館はまさに軍隊と同じで、大使は最高権力者であり、大使の命令にはナンバー2と言えども逆らえない世界である。外務省出身者が幅を利かす大使館では、国防省から派遣された武官の彼など一兵卒に過ぎない。大使の命令に服従するのは自然な帰結だった。

(続く)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の各社プレスリリースから(5/15-5/21)

2011-05-21 | 今週のエネルギー関連新聞発表

5/19 コスモ石油   カタール石油開発における「A構造南部油田」の原油生産開始について http://www.cosmo-oil.co.jp/press/p_110519/index.html
5/20 JXホールディングス   鹿島製油所における生産再開について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/2011/20110520_01_1050061.html
5/20 三井物産   当社子会社保有米国メキシコ湾探鉱鉱区における原油流出事故のこと(5) http://www.mitsui.com/jp/ja/release/2011/1193734_1822.html
5/20 BP   BP Announces Settlement with Moex/Mitsui of Claims Between the Companies Related to the Deepwater Horizon Accident http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7069076

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュース解説:波乱含みのOPEC6月総会

2011-05-20 | OPECの動向

予想される二つの問題
  来たる6月8日にウィーンで開催されるOPEC総会で波乱が予想される。それは生産割当を巡るOPEC穏健派と強硬派の対立と言ったお決まりの問題ではなく、場外騒動とでもいうべきものである。問題は二つ。一つはリビアの代表がトリポリのカダフィ政権かそれともベンガジの国民評議会かという問題である。カダフィ政権の石油相が隣国チュニジアに亡命したことが問題をさらに複雑にしている。二つ目の問題はイランのアハマドネジャド大統領が自らエネルギー相代行に就任しOPEC総会に出席すると表明していることである。こちらの問題についても現在のOPEC議長国がイランであることで問題は複雑な様相を呈している。

リビアの代表権の問題
  リビアはトリポリのカダフィ政権とベンガジの反政府勢力「国民評議会」の間で内戦状態にある。カダフィ政権は軍備、兵力そして資金力で反政府勢力を圧倒しているが、欧米諸国は一致して国民評議会を支持し、NATOは国連決議に基づき政府軍及びカダフィ大佐の官邸を含む軍事施設への空爆を続けている。このためリビアの石油天然ガスの生産と輸出はストップしている。

 リビアはOPEC創立2年後の1962年に加盟国となり、1969年にはカダフィ大佐が実権を握り、以来40年以上の独裁政権が続いている。OPEC諸国の石油国有化のはしりともなった1971年のトリポリ協定に象徴されるようにカダフィ政権はごく最近までイラン、ベネズエラと並ぶOPEC強硬派であった。2006年に欧米と和解して以来一見穏健な外交政策をとってきたが、隣国チュニジアに端を発する「中東民主化革命」によりベンガジに「国民評議会」が成立し欧米諸国がこれを支持すると、一転して再び牙をむき出し、同国は内戦の泥沼状態にある。カダフィ政権には内部崩壊の兆候が見られ、既に外相、内相など主要閣僚が亡命或いは反政権側に寝返っている。そして5月17日にはShukri Ghanem石油相も亡命した。

 このような中でOPECの一員であるカタールが国民評議会支援の姿勢を鮮明に打ち出している。カタールは仏に次いで世界で二番目に国民評議会を承認するとともに、石油に関してもベンガジ港のタンクに残っていた原油の輸出を引き受け、不足する石油製品を国民評議会に供給するなど経済的な支援を行っている。カタールのハマド首長は数日前アルジェリアを訪問しブーフテリカ大統領らと会談を行っているが、来たるべきOPEC総会でのリビア対策も話し合われたものと思われる。

 来月のOPEC総会について国民評議会はリビア代表の名乗りを上げており、これに対しカダフィ政権はGhanemにかわる新石油相もしくは石油相代行を代表に送り込むものと思われる。総会で両代表が互いの正統性を主張する一方、カダフィ政権が国民評議会を支援するカタールを激しく非難することは間違いないであろう。しかも後述するように今年のOPEC議長国であるイランはアハマドネジャド大統領自らが乗り込む気配である。イランはOPEC強硬派としてこれまでもリビアと協調することが多かっただけに総会が混乱することは避けられないであろう。

イラン・アハマドネジャド大統領の出方?
 既に述べたとおりイランは1979年の革命以来石油政策に関しては一貫してOPEC内の強硬派であったが、アハマドネジャド政権になってからその姿勢が一層鮮明になっている。その大統領は5月16日に石油省を廃止し、Mirkazemi石油相を更迭するとともに自らエネルギー担当相代行となった。石油省を他省と合併し行政の簡素化を図ると言うのが表向きの理由であるが、大統領自身が以前からエネルギー行政に強い関心を抱いていると言われる。石油収入が国家の歳入の過半を占めており、彼が直接石油を握るのは政権の基盤を盤石にするためであることは容易に想像される。

 イランは今年のOPEC議長国である。アハマドネジャド自身がOPECに出席する意向を示している。そして彼の背後にはイランと共同歩調をとるベネズエラがいる。ベネズエラのチャベス大統領は欧米に対して強硬な石油政策をとっており、経済制裁に苦しむイランにとっては強い味方である。

 アハマドネジャドがOPEC総会で議長としてどのように会議を取り仕切るのか。リビア情勢と並んで総会の波乱要因である。

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする