石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

コロナ禍で大幅な減収・減益:五大国コロナ禍で大幅な減収・減益:五大国際石油企業2020年4-6月期決算速報 (6)

2020-08-16 | 海外・国内石油企業の業績
2.2019年第2四半期以降の四半期別業績の推移
五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資、原油・天然ガス生産量に関する2019年第2四半期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

(1) 売上高の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)
 2019年第2四半期から2020年第2四半期に至る四半期ベースの売上高の推移を見ると各社とも昨年第2四半期以降売上高は期を追うごとに減少している。2019年第2四半期の売上が最も大きかったのはShellの918億ドルであり、Shellに次ぐBPの売上高は727億ドルで約200億ドルの差があった。第3位以下はExxonMobil(691億ドル)、Total(452億ドル、Chevron(363億ドル)であり、5社の順位はその後4期連続して変化がなかった。

 しかしトップのShellは昨年第4四半期以降急激に売り上げが減少、今年第1四半期はShellとBPの売上高はそれぞれ610億ドル、597億ドルとなり大差がなくなった。さらに第2四半期にはこれら3社を含めいずれも50%近い減収となり、ExxonMobilが売上高326億ドルでShellの325億ドルをわずかに上回り、BP(317億ドル)と3社が拮抗している。第4位はTotal(216億ドル)、最も少ないのはChevronの159億ドルであった。

 過去1年間の売上高減少の主たる理由は原油価格の下落である。この間のBrent価格の四半期平均価格をShellの決算付属資料で見ると、69ドル/バレル(’19 2nd Qtr)→62ドル/バレル(’19 3rd Qtr)→63ドル/バレル(’19 4th Qtr)→50ドル/バレル(’20 1st Qtr)→30ドル/バレル(’20 2nd Qtr)と下落しており、5社共に価格の下落傾向と売上高の減少が軌を一にしており、特にBPとExxonMobilは価格の下落曲線と全く同じ軌跡をたどっている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ天然ガス篇(14)

2020-08-16 | BP統計
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0511BpGas2020.pdf


BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

(3) LNG貿易
(後続に追い上げられる輸入1位の日本と輸出1位のカタール!)
(3-1) 2019年のLNG貿易
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G02.pdf 参照)
 2019年の全世界のLNG輸出入量は4,850億㎥であった。輸入を国別でみると最も多いのは日本の1,055億㎥であり輸入全体の22%を占めており、第2位は中国848億㎥(シェア18%)、第3位は韓国556億㎥(同12%)である。中国のLNG輸入量は年々増加しており、2017年には韓国を追い越して世界2位の輸入大国になっている。一方日本のLNG輸入量は減少或はほぼ横ばい状態にあるため中国との差は年々縮まっている。因みに日中韓3か国だけで世界のLNG輸入量の51%を占めている。第4位はインドでその輸入量は329億㎥、第5位はフランス(229億㎥)、第6位台湾(228億㎥)であり、アジア、特に極東の国々が上位を占めている。これらの国々に次ぐのはスペイン(219億㎥)、英国(180億㎥)、イタリア(135億㎥)である。

 一方国別輸出量ではカタールが最も多い1,071億㎥であり、世界の総輸出量の22%を占めている。カタールに次いで輸出量が多いのはオーストラリア(1,047億㎥)である。両国の順位は前年と変わりないが、対前年増加量はカタールの23億㎥に対し、オーストラリアは129億㎥と大幅に増加している。輸入国、輸出国とも1位と2位の差は縮まっている。輸出国の第3位以下は米国(461億㎥)、ロシア(394億㎥)、マレーシア(318億㎥)と続き、特に米国は前年(263億㎥)に対し1.8倍の大幅増で輸出国の順位も前年の5位から3位に躍進している。

(注)ここに掲げた数値は純輸出入量であり、輸入と輸出双方がある場合は両者を相殺した数値とした。例えば米国の場合2019年のLNG輸入量15億㎥に対して輸出量は475億㎥であり、差し引き461億㎥の輸出となる。因みに2018年の米国のLNG輸出入は輸入21億㎥、輸出284億㎥であり輸出量ベースでは2019年は191億㎥増加している。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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