石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ天然ガス篇 (11)

2020-08-08 | BP統計
BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

3.世界の天然ガス消費量(続き)
(自給率100%を超えた米国、年々下がり50%になった中国とインド!)
(5)5カ国の天然ガス自給率
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-G05.pdf 参照)
 米国、中国、英国、インド及びUAEの5カ国について各国の自給率[(生産量-消費量)/消費量]を見ると2010年に米国と中国は共に89%であり、1割を輸入していた。またUAEの自給率は84%、インドは80%であり、2割近くを輸入に依存していたことになる。英国の自給率は59%であり4割のガスが不足していた。

 UAEは有力な産油国であるが天然ガスは国内に単体の(非随伴型)ガス田が無く、石油生産に伴う随伴ガスに頼ってきた。しかし原油生産が停滞する一方、発電・造水用燃料ガスの需要が増加し、2008年にはガスの自給率が100%を切り、現在ではドルフィン・パイプラインにより隣国のカタールからガスを輸入している。

英国もかつては北海油田のガスで完全自給体制を維持していたが、2010年には既に自給率は59%であり、その後も年々低下し2019年には国内消費の半分程度しか賄えない自給率50%になっている。

中国を見ると同国の2010年の自給率は89%であったが、その後年々自給率が下がり2019年には58%で、消費量の4割強を輸入に頼っているのが現状である。インドも2010年の自給率が2011年には71%、さらに2012~14年は60%台、2015~17年は50%台に下がり2018年にはついに50%を切り、2019年の自給率は45%である。

 これら英国、中国、インドに比べ米国の自給率の改善には目覚ましいものがある。米国の2010年の自給率は89%と中国と同じであったが、2011年には90%台に上昇している。さらに2015年には自給率100%を達成し2017年以降は恒常的に完全自給体制を確立、2019年の自給率は109%である。同国は今や天然ガスの輸出国に変化しつつあり、政府の天然ガス(LNG)の輸出承認に基づき、メキシコ湾沿岸で複数のLNG輸出基地が建設され日本向けを含めた輸出がすでに始まっている。

(天然ガス篇消費量完)


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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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今週の各社プレスリリースから(8/2-8/8)

2020-08-08 | 今週のエネルギー関連新聞発表
8/4 BP
Second quarter 2020 results
https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/second-quarter-2020-results.html


8/6 出光興産
2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.idss.co.jp/content/100032125.pdf


8/6 国際石油開発帝石
2020年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.inpex.co.jp/news/assets/pdf/20200806_b.pdf
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