石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

コロナ禍で大幅な減収・減益:五大国際石油企業2020年4-6月期決算速報 (8)

2020-08-20 | 海外・国内石油企業の業績
(注)本レポートはマイ・ライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0512OilMajor2020-2ndQtr.pdf


2.2019年第2四半期以降の四半期別業績の推移(続き)
(4)部門別利益の推移
(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)
 前年の2019年第2四半期の上流部門の利益はChevron、BP及びExxonMobilが33~35億ドルで並び、Totalが20億ドル、Shellは5社の中で最も少ない14億ドルであった。第3四半期も引き続き全社がプラスであった。第4四半期は大きく変動し、Chevronが67億ドルという巨額の赤字を計上し一気に最下位に転落した。一方ExxonMobilの利益は61億ドルに急伸し5社の中で上流部門の利益トップに立った。2020年第1四半期はChevronの利益が急回復しトップに返り咲き、ExxonMobilは利益が一桁台の5億ドルに減少し、BP及びTotalを下回った。今期は上流部門の利益が急減、5社すべてがマイナスとなった。中でもBPは▲85億ドルの大幅な赤字となり、Shell及びChevronも▲60億ドル台のマイナスを計上、Shellの上流部門は3期連続でマイナスになっている。

(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)
 2019年第2四半期の各社下流部門の業績は全社黒字であったが黒字幅は小さく、BP、Shellが13億ドル、Total、Chevronが7億ドル、ExxonMobilは4億ドルにとどまった。第3四半期、第4四半期も各社とも下流部門は黒字を維持した。しかし今年第1四半期は各社で明暗が分かれShellが22億ドルの利益を計上した一方、ExxonMobilは6億ドルの赤字であった。続く今年第2四半期は、BP、ExxonMobil及びTotal3社が前期を上回る利益を計上する一方、ShellとChevron2社は前者が▲30億ドル、後者が▲10億ドルの大きな損失を出している。

(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
 5社の四半期ベースの設備投資額はExxonMobilが毎期最も多くの投資を行っている。同社の各期の投資額は81億ドル(’19 2nd Qtr)→77億ドル(’19 3rd Qtr)→85億ドル(’19 4th Qtr)→71億ドル(’20 1st Qtr) →53億ドル(2nd Qtr)であった。

同社に次ぐ投資を行っているのはShellであり、その金額は52億ドル(’19 2nd Qtr)→60億ドル(’19 3rd Qtr)→67億ドル(’19 4th Qtr)→43億ドル(’20 1st Qtr) →34億ドル(2nd Qtr)と推移している。Chevronの投資額はShellとほぼ同じ水準を維持している。Totalは昨年第3四半期こそExxonMobilに次ぐ67億ドルの投資を行っているが、その他の四半期はBPとほぼ同じ、最も少ないレベルの30~40億ドル台である。

(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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