石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

米国、ロシア、サウジアラビアが三強:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(石油+天然ガス篇6)

2015-08-31 | その他

(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf

 

(石油、天然ガスともに米国が生産量世界一!)
(2)国別生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-2-T01.pdf 参照)
 生産量を国別に見ると、世界で石油と天然ガスの合計生産量が最も多い国は米国である。内訳は石油が1,164万B/D、天然ガスは7,283億㎥(石油換算1,255万B/D)、合計では2,419万B/Dで、同国は石油生産量、天然ガス生産量ともに世界トップである。

 米国に次ぐ世界第二位の生産量を誇るのはロシアである。同国は石油は世界3位、天然ガスは世界第2位であり、石油生産量は1,084万B/D、天然ガス生産量は5,787億㎥(石油換算997万B/D)、石油と天然ガスの合計生産量は2,081万B/Dである。2013年の米国とロシアの生産量はそれぞれ2,185万B/D及び2,121万B/Dで殆ど差はなかったが、2014年は米国が石油、天然ガスともに生産量が大幅に増加したのに対して、ロシアは逆に両方とも減少している。その結果両国の差は340万B/Dに拡大している。

 両国が世界全体の生産量1億4,831万B/Dに占める割合は米国16.3%、ロシア14.0%である。因みに埋蔵量については(前章参照)ロシアは世界4位に対して米国は世界11位である。

 生産量第3位はサウジアラビアの1,337万B/Dである。内訳は石油1,151万B/D、天然ガス1,082億㎥(石油換算187万B/D)でありロシア或いは米国に比べて石油の比率が圧倒的に大きい。4位から10位までの生産国は、4位カナダ709万B/D(内訳:石油429万B/D、石油換算天然ガス279万B/D。以下同じ)、5位イラン659万B/D(石油361万B/D、天然ガス297万B/D)、6位中国656万B/D(石油425万B/D、天然ガス232万B/D)、7位カタール504万B/D(石油198万B/D、天然ガス305万B/D)、8位UAE471万B/D(石油371万B/D、天然ガス100万B/D)、9位メキシコ379万B/D(石油278万B/D、天然ガス100万B/D)、10位ノルウェー377万B/D(石油190万B/D、天然ガス188万B/D)となっている。

 11位以下20位までの国を列挙すると、クウェイト、イラク、ベネズエラ、ナイジェリア、アルジェリア、ブラジル、インドネシア、カザフスタン、マレーシア、アンゴラの順である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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今週の各社プレスリリースから(8/23-8/29)

2015-08-29 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/24 経済産業省    我が国の自主開発比率(平成26年度)の数値を公表します http://www.meti.go.jp/press/2015/08/20150824001/20150824001.html
8/24 Total    Total Confirms Its Withdrawal from Coal Production and Marketing - See more at: http://www.total.com/en/media/news/press-releases/total-confirms-its-withdrawal-coal-production-and-marketing#sthash.Xc54dC2l.dpuf 
8/26 JX日鉱日石エネルギー    ブラジル北西部海上における探鉱鉱区権益の取得について http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/2015/20150826_01_1050061.html
8/26 JX日鉱日石開発    ブラジル北西部海上における探鉱鉱区権益の取得について http://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/2015/post_22.html
8/27 Total    UK: Total sells North Sea midstream assets for £585 million - See more at: http://www.total.com/en/media/news/press-releases/uk-total-sells-north-sea-midstream-assets-ps585-million#sthash.NSxEzycd.dpuf 
8/28 JX日鉱日石エネルギー    人事異動について http://www.noe.jx-group.co.jp/newsrelease/2015/20150828_02_0980151.html
8/28 JX日鉱日石エネルギー    組織の改正について. http://www.noe.jx-group.co.jp/newsrelease/2015/20150828_01_0980151.html

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月28日)

2015-08-28 | 今日のニュース

・原油価格、一日の上昇率としては史上最高の9%アップ。Brent$46.77, WTI$42.25

・仏Total、北海のガス生産設備9億ドルを売却

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米国、ロシア、サウジアラビアが三強:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(石油+天然ガス篇5)

2015-08-28 | その他

 

(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf

 

 

2.世界の石油と天然ガスの生産量
(中東、欧州・ユーラシア、北米が20%台で拮抗!)
(1)2014年の石油と天然ガスの地域別合計生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-2-G01.pdf参照)
 2014年の世界の石油生産量は日量8,867万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの生産量は年間3兆4,606億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの生産量を石油に換算すると5,964万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの生産量は1億4,831万B/Dとなる。両者の比率は石油60%、天然ガス40%である。

 生産量を地域別に見ると、中東が3,891万B/Dと最も多く、北米がこれに次ぐ3,506万B/Dで、第3位にわずかな差で欧州・ユーラシア(3,447万B/D)が続いている。中東が世界全体に占める割合は26%である。北米と欧州・ユーラシアは共に24%で3つの地域で世界の生産量のほぼ4分の3を占めている。各地域の石油と天然ガスの比率を比較すると、中東は石油2,856万B/D、天然ガス6,010億㎥(石油換算:1,036万B/D)と、石油の生産量が73%を占めて圧倒的に多く、北米は石油生産量が1,872万B/D、天然ガス生産量が9,484億㎥(石油換算:1,634万B/D)と石油がわずかに多い。そして欧州・ユーラシアは石油生産量1,720万B/D、天然ガス生産量1兆24億㎥(石油換算:1,727万B/D)であり石油と天然ガスはほぼ同量である。

 その他アジア・大洋州、アフリカ及び中南米の3地域の生産量は上記3地域の半分もしくはそれ以下である。このうちアジア・大洋州(石油換算合計生産量:1,748万B/D)は石油と天然ガスの比率がほぼ同じであるが、アフリカ(1,176万B/D)と中南米(同1,063万B/D)は中東と同じく石油生産が全体の7割以上を占めており天然ガスの比率は小さい。

 前回の埋蔵量で触れたとおり世界の石油と天然ガスの埋蔵量の比率は59%対41%(石油埋蔵量1兆7,001億バレル、天然ガス埋蔵量1兆1,767億バレル)である。このことから欧州・ユーラシア、北米及びアジア・大洋州では埋蔵量に見合った石油と天然ガスが生産されているのに対し、その他の3地域(中東、アフリカ及び中南米)では今後さらに天然ガスの開発生産に拍車がかかるものと考えられる。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
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米国、ロシア、サウジアラビアが三強:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(石油+天然ガス篇4)

2015-08-27 | その他

(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf

 

(石油と天然ガスを合わせた可採年数は53年!)
(4)可採年数の推移(1980~2014年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-1-G04.pdf 参照)
 可採年数(以下R/P)とは埋蔵量を同じ年の生産量で割った数値で、現在の生産水準があと何年続けられるかを示したものであるが、2014年末の石油と天然ガスの合計埋蔵量を同年の合計生産量(次章参照)で割ると、石油・天然ガス全体の可採年数は53.1年となる。

 1980年から2014年末までの推移をみると、1980年の可採年数は35年であった。この年の石油の可採年数は30年、天然ガスは50年であり、石油と天然ガスの間には20年の差があった。当時、石油の埋蔵量は天然ガスの1.5倍であったが、石油の生産量が天然ガスの2.5倍であったため石油の可採年数が低く、石油と天然ガスを合わせた可採年数も石油に近い数値となったのである。

 その後、1980年代は石油、天然ガスの埋蔵量は共に増加したが、生産に関しては天然ガスが伸びる一方(天然ガス篇2-(3)参照)石油は停滞したため(石油篇2-(3)参照)、石油の可採年数が伸び、天然ガスのそれは停滞した。1990年代は石油、天然ガス共に可採年数は横這いとなり、両者を平均した可採年数も40年台後半で推移した。2000年代に入り可採年数は2002年に54年のピークを記録した後、2006年には49年に下がり、2011年末には再び55年と緩やかな波を打っている。

 この間に石油と天然ガスの可採年数は収斂する方向にあり、2011年末は石油55年、天然ガス56年と殆ど差がない。1980年のそれが石油30年、天然ガス50年であったことと比べると大きな変化であり、これは石油と天然ガスが同じ化石エネルギーとして相対優位の市場原理で取引されるようになっていることと無関係ではないであろう。

 2011年以降可採年数は漸減傾向にあり、2014年末の可採年数は石油53年、天然ガス54年、石油と天然ガスを合わせた平均可採年数は53年となっている。近年の可採年数の減少は世界的な油価の低迷およびヨーロッパ、中国の景気低迷により石油・天然ガスの開発意欲が減退していることが大きな理由であろう。

(石油+天然ガス篇 埋蔵量完)
 
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月26日)

2015-08-26 | 今日のニュース

・原油価格、値を戻すも米WTIは40ドル回復せず、英Brentは$43.21.

カタール,LNG貿易で豪州の追い上げに焦り。スポット取引解禁、入札などで新規顧客開拓に柔軟な対応。 *

*拙稿「BPエネルギーレポート解説:天然ガス篇LNG貿易」参照。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0353BpGas2015.pdf

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米国、ロシア、サウジアラビアが三強:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(石油+天然ガス篇3)

2015-08-26 | その他

(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf

 

(過去24年の埋蔵量の伸び率は年平均2%、石油と天然ガスの比率は6:4で変わらず!)
(3)1990年~2014年までの合計可採埋蔵量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-1-G03.pdf 参照)
 1990年末の世界の石油と天然ガスの埋蔵量はそれぞれ1兆275億バレルと109兆㎥(石油換算6,883億バレル)で合計埋蔵量は1兆7,158億バレルであった。因みに両者の構成比率は石油60%、天然ガス40%であるが、この比率は2014年まで殆ど変っていない。

 1990年代を通じて埋蔵量は年率1~2%で漸増、1999年には対前年比8.2%と大幅に増加して合計埋蔵量は2兆バレルを突破した。その後2002年に2.3兆バレル記録した後の数年間は1%以下の低い増加率にとどまった。しかし2007年以降は再び増加傾向を回復、2014年の埋蔵量は石油1.7兆バレル、天然ガス187兆㎥(石油換算1兆1,767億バレル)合計2.88兆バレルに達している。これは1990年の1.7倍である。

 1990年から2014年までの過去24年間の平均成長率は2.0%である。次項(可採年数)に述べるとおり埋蔵量を生産量で割った可採年数は2010年まではほぼ一貫して上向いており、それ以降は漸減傾向を示している。このことから最近まで石油及び天然ガスの探鉱・開発活動が活発に行われ、生産量をしのぐ埋蔵量の追加があったことを示している。

 これは何と言っても今世紀に入り石油・天然ガスの価格が大幅に上昇したことにより、国営企業・民間企業のいずれを問わず石油・天然ガス上流部門に大きなインセンティブが働き、深海、極地などでの探鉱開発が活発になり、或いは米国のシェールガス、シェールオイルに見られるように新しい開発生産技術が開花したことが大きな理由であろう。

(続く)

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米国、ロシア、サウジアラビアが三強:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(石油+天然ガス篇2)

2015-08-25 | その他

(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf

 

(世界一の埋蔵量を誇るイラン!)
(2)国別の石油・天然ガス合計埋蔵量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-1-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-1-G02.pdf 参照)
 埋蔵量を国別に見ると、原油と天然ガスの合計埋蔵量が最も多い国はイランの3,718億バレル(以下いずれも石油換算)であり、世界全体の13%を占めている。イランは石油埋蔵量では世界4位(1,578億バレル)であり、天然ガスの埋蔵量(34兆㎥、石油換算2,140億バレル)は世界一位である。

 イランに続くのがベネズエラ、サウジアラビア及びロシアであり、それぞれの埋蔵量はベネズエラ3,335億バレル(内訳、石油2,983億バレル、天然ガス351億バレル)、サウジアラビア3,184億バレル(石油2,670億バレル、天然ガス514億バレル)、ロシア3,085億バレル(石油1,032億バレル、天然ガス2,053億バレル)である。4カ国は原油と天然ガスの比率が各国により大きく異なっている。イランは原油と天然ガスの比率が42%対58%で比較的バランスが取れているが、ベネズエラは原油の比率が89%と圧倒的に高く、サウジアラビアも原油84%に対して天然ガスは16%に過ぎない。これに対してロシアは逆に原油33%対天然ガス67%であり、天然ガスの埋蔵量が多い。

 原油と天然ガスの埋蔵量の比率で見ると、イランのように両者のバランスが比較的均等な国には米国(原油44%対天然ガス56%)があり、ベネズエラ或いはサウジアラビアのように原油の比率が高い国はカナダ、イラク、UAE、クウェイトなどである。一方ロシアのように天然ガスの比率が高い国にはカタール、トルクメニスタンなどがある。

 ロシアに次いで埋蔵量が世界で五番目に多いのはカナダの1,857億バレル(原油1,729億バレル、天然ガス128億バレル)である。これに続く6位以下の国とその埋蔵量はカタール(合計:1,800億バレル、石油:257億バレル、天然ガス:1,543億バレル、以下同じ)、イラク(1,726億バレル、1,500億バレル、226億バレル)、UAE(1,361億バレル、978億バレル、383億バレル)、クウェイト(1,127億バレル、1,015億バレル、112億バレル)、トルクメニスタン(1,105億バレル、6億バレル、1,099億バレル)、米国(1,099億バレル、485億バレル、614億バレル)の順である。

 注目すべきことは同じGCC産油国でも天然ガスが豊富なカタールに対してUAE、クウェイトは少ない。これらの国はいずれも発電或いは海水淡水化プラントの燃料として国内の天然ガスの需要が大きい。このためUAE、クウェイトなどは夏場にピークを迎える電力・水のために天然ガスを輸入しなければならないのが実情である。また世界一の石油輸出国であるサウジアラビアでもガス不足は深刻な問題であり国内ガス田の開発が急がれている。

(続く)

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米国、ロシア、サウジアラビアが三強:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(石油+天然ガス篇1)

2015-08-24 | その他

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http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf

 

(石油と天然ガスは一体として考えるべきである!)
はじめに
  BPの「BP Statistical Report of World Energy 2015」をもとに本シリーズで石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量及び消費量(天然ガスについては貿易量も含む)のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。

 石油と天然ガスは常温常圧の状態で前者が液体、後者が気体の違いはあるものの本来は同じ炭化水素資源である。石油は運搬・貯蔵等の利便性に優れ、また用途としては燃料用のほか、石油化学原料にもなるため古くから広く利用されてきた。

 これに対して天然ガスは主成分がメタン単体であるため燃料として使用されることがほとんどであり、石油化学原料(メタノール、エチレンなど)としての利用は未だ少ない。加えて天然ガスは大気中への拡散を防ぐため密閉状態で運搬しなければならない。このため従来は生産地から消費地までのパイプラインが必要であった。しかし運搬・貯蔵方法としてガスを極低温で液化するLNGの製法が普及した結果、遠く離れた消費地に大量のガスを供給するLNG貿易が確立した。こうして世界的なエネルギー消費の増大に対して天然ガスは石油の代替エネルギーとして需要が拡大している。さらに天然ガスは石油に比較してCO2の発生量が少ないため環境問題の観点からも強い需要がある。

 石油と天然ガスはそれぞれの発展度合いの違いにより現在も別々に取り扱われることが多いが、エネルギーとして見れば両者は殆ど変わらないのである。石油生産国の多くは天然ガス生産国でもあり、また石油消費国も同時に天然ガスの消費国である。生産国と消費国はそれぞれが石油と天然ガスのベストミックスを探っている。

 本稿では石油と天然ガスを合わせた埋蔵量、生産量及び消費量についてBPのデータをもとに解説を試みることとする。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル(以下㎥)=629万バレル(1兆㎥=62.9億バレル)として計算した。


1.世界の石油と天然ガスの埋蔵量
(2014年末の石油・天然ガスの合計可採埋蔵量は石油換算で2.9兆バレル!)
(1)2014年末の石油と天然ガスの合計埋蔵量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-1-G01.pdf参照)
 2014年末の世界の石油埋蔵量は1兆7千億バレルであるが、これに対して天然ガスの埋蔵量は187兆㎥であり、これは石油に換算すると1兆1,770億バレルである。石油と天然ガスの埋蔵量はほぼ同じであり、両者を合わせた合計埋蔵量は2兆8,768億バレルとなる。

 埋蔵量を地域別に見ると、中東は1兆3,127億バレルであり、世界全体の埋蔵量の46%を占めている。続く欧州・ユーラシアは5,198億バレル(18%)であり、この両地域で世界の埋蔵量の64%を占めている。その他の地域については中南米3,785億バレル(13%)、北米3,089億バレル(11%)、アフリカ2,182億バレル(7%)、アジア・大洋州1,387億バレル(5%)である。

 本シリーズの石油篇及び天然ガス篇で触れたそれぞれの地域別埋蔵量と比較すると、中東は石油埋蔵量が全世界の48%を占めているが、天然ガスのそれは43%であり、石油の比率が高い。これに対して欧州・ユーラシアの石油と天然ガスの埋蔵量はそれぞれ全世界の9%及び31%であり、天然ガスの比率が2倍以上である。

(続く)

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月24日)

2015-08-24 | 今日のニュース

・アルジェリアとイラン、原油価格回復目指しOPEC臨時総会開催要求、サウジは否定的

・韓国、イラン原油引取量18万B/Dをさらに10万B/D増:イラン石油相

 

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