石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(3月30日)

2024-03-30 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格1ドル以上急騰。 Brent $87.48, WTI $83.17

(中東関連ニュース)

・国際司法裁、イスラエルにガザ人道支援を命令。「飢饉は始まっている」

・ハマス指導者、ジハード団事務総長、イラン訪問。ハメネイ師と会談

・米、イスラエルに弾薬、戦闘機などを供与

・上川外相、国連UNRWAトップと会談。難民拠出金を再開

・パレスチナ:ムスタファ首相兼外相組閣、ガザ地区から7閣僚任命

・イラン著名ジャーナリスト、ロンドンで刺される。テロと断定、MI5出動

・IMF、エジプト向けに80億ドル借款供与

・トルコ航空、2015年以来のリビア便再開

・ヨルダン、イラクへの送電開始

・JERA、UAEのTAQAと合弁でサウジのジュベールでコジェネ事業

JERAプレスリリース参照。

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今週の各社プレスリリースから(3/24-3/30)

2024-03-30 | 今週のエネルギー関連新聞発表

3/26 JX石油開発

マレーシアにおける CCS 技術を利用したガス田群新規開発プロジェクト(BIGST プロジェクト)権益の取得および共同操業協定の締結について

https://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_files/20240326JP.pdf

 

3/26 石油連盟

木藤 石油連盟会長定例記者会見 発言要旨・配布資料

https://www.paj.gr.jp/news/915

 

3/26 INPEX

執行役員の担当業務変更および幹部社員の人事異動について

https://www.inpex.co.jp/news/assets/pdf/20240326.pdf

 

3/27 出光興産

「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討開始について

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2413983/00.pdf

 

3/28 ENEOS

東京晴海水素ステーションの開所について

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20240328_01_01_0906370.pdf

 

3/28 コスモエネルギーホールディングス

コスモエネルギーホールディングス株式会社及び岩谷産業株式会社による資本業務提携に関する協議のお知らせ

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/press/2024/240328-02/pdf/240328-02jp.pdf

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(135)

2024-03-29 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(21

 

135歴史に取り残されるパレスチナ問題(3/4)

 だがパレスチナ人にとってはエジプトとイスラエルが和平条約を締結し、サダトとベギンがノーベル平和賞を受賞しても問題は何も解決したことにならなかった。ユダヤ人たちがパレスチナ帰還のために掲げたスローガン「土地無き民に、民なき土地を」の後段「民なき土地を」と言うのはあまりにも身勝手な発想であった。2千年前にユダヤ人がディアスポラ(大離散)でヨーロッパ各地に移住して以降もその地に住み続けてきたパレスチナ人の歴史を完全に無視したものだったからである。

 

 パレスチナ人たちはイスラエル独立後も土地の返還を求めパレスチナ国家建設のため戦った。アラブ諸国はパレスチナ人を積極的に支援し軍事行動まで起こした。しかしそれも1973年の第四次中東戦争までだった。エジプトが単独和平で支援の輪を抜け、他のアラブ諸国はエジプトを非難したが、パレスチナに新たな手を差し伸べる国はなかった。パレスチナは大転換する世界と中東の歴史の中に取り残されたのである。

 

 もちろんパレスチナ人たちは黙って手を拱いていたわけではない。レバノン南部のイスラエル国境近くに本拠を構えたPLO(パレスチナ解放機構)はレバノン政府が内戦で機能不全に陥っているのを幸いにイスラエルに対して国境を越えた執拗な攻撃を繰り返した。これに対してイスラエルも戦闘機によりパレスチナ難民キャンプにあるPLO司令部を爆撃した。軍事作戦ではPLOは到底イスラエルにかなわない。1982年、とうとうPLOはレバノンを撤退しチュニジアに逃れた。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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石油と中東のニュース(3月28日)

2024-03-28 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・米在庫減少で原油価格上昇。Brent$86.40, WTI $81.74

(中東関連ニュース)

・ガザ空爆が地上戦の危険を増幅

 

・イスラエル停戦交渉チーム、ドーハ離れる。ハマス要求で行き詰まりと非難

・ハマス指導者、イランを訪問:イラン国営通信発表

・外務省上村特使が3/27-4/3にヨルダン、サウジ、カタール、UAEを歴訪

・米国ギャロップ世論調査:55%がイスラエルの戦闘行為に反対

 

・トルコ大統領、5/9訪米予定。ガザ/戦闘機購入/クルド対策など問題山積

・エジプト2024/25予算、閣議承認

・イエメン:トップの交代で勢力盛り返す「半島のアルカイダAQAP」

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(134)

2024-03-27 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(20

 

134歴史に取り残されるパレスチナ問題(2/4)

 激動する世界及び中東の歴史の中でパレスチナ問題は次第に影が薄くなっていった。第二次大戦後久しく中東問題と言えばパレスチナ問題であったが、アラブの盟主エジプトが1979年にイスラエルと単独和平を結んだことで問題に対する関心が急速に薄れた。ヨーロッパ諸国はサダトとベギンにノーベル平和賞を与えることでこの問題が永久に解決されたかのごとき幻想をふりまいた。しかしこれでユダヤ人によるパレスチナの土地の占領という問題そのものが解決されたわけではなかった。

 

そもそもパレスチナの土地をユダヤ人に与えるというバルフォア宣言は、第一次大戦の勝利を金銭面で支援したユダヤ人に対する報酬であり、また歴史的なユダヤ人抑圧に対するヨーロッパ人の贖罪であった。と同時にバルフォア宣言はこれからもヨーロッパ白人社会を脅かしかねないユダヤ人を遠いパレスチナに厄介払いするというまさに一石三鳥の妙案だったのである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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石油と中東のニュース(3月26日)

2024-03-26 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・ガザ、ウクライナ暗雲で石油価格上昇。Brent $85.95, WTI $81.18

(中東関連ニュース)

・国連安保理、戦争開始後170日で漸くガザ停戦を決議。米は棄権

・国連事務総長、エジプト側ガザ国境で演説。救援物資待機車両7千台

・イスラエル、協議チーム派遣をキャンセル。米の安保理決議棄権に抗議

・イエメンフーシ派:中露船舶の紅海安全航行を保証

・フーシ派、中国タンカーミサイル攻撃:米CENTCOM発表

 

・エジプト:最高税制協議会を設立。官民専門家結集して政策立案

・サウジアラムコCEO:中国と二酸化炭素回収貯留技術協力を期待

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(133)

2024-03-25 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(19

 

133歴史に取り残されるパレスチナ問題(1/4)

 ヒジュラ暦1400年(西暦1980年)前後から10年余りの間に中東イスラーム世界では大事件が続発した。主なものを列挙すれば、エジプト・イスラエル平和条約及びホメイニ師によるイラン革命(共に1979年)、イラン・イラク戦争の勃発と終結(1980年、1988年)、ソ連のアフガニスタン侵攻と撤退(1980年、1989年)等々である。

 

そして世界の歴史も20世紀の終焉を控えて激動した。1980年代に入りソビエト社会主義体制に綻びが目立ち始めた。それは資本主義国家と踵を接する地域で表面化した。1987年にベルリンの壁が崩壊、2年後の1990年に東西ドイツが統一したことでソビエト体制の終焉は誰の目にも明らかになった。こうして1991年、ソ連は崩壊した。ソ連はヨーロッパで資本主義に敗退し、シルクロードでイスラームのジハード(聖戦)に敗れた。1917年のロシア革命で誕生し、いずれ社会主義が世界を支配すると豪語したソビエト社会主義共和国は80年足らずで歴史の舞台から消え去り、米国を頂点とする資本主義が世界を席巻する。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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石油と中東のニュース(3月23日)

2024-03-23 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格ほぼ変動ゼロ。Brent $85.76, WTI $81.08

(中東関連ニュース)

・国連安保理、米のガザ停戦提案に露、中国が拒否権発動

・米国務長官、エジプト大統領と会談。ガザ問題打開策を協議

・イスラエル首相、米国務長官と会談。米支援無くともハマス掃討継続

・Maersk商船、紅海回避、喜望峰経由航路を継続

・モスクワのコンサートホールで爆弾テロ、60名死亡。ISが犯行声明

・トルコとGCCがFTA交渉開始

・Fitch Ratings、カタールのソブリン格付けをAA-からAAに引き上げ

*「S&P 主要国ソブリン格付け(2024年1月)」参照。

・エジプト、ガソリン価格引き上げ

・サウジ:リヤドに世界初のドラゴンボールテーマパーク建設

 

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今週の各社プレスリリースから(3/17-3/23)

2024-03-23 | 今週のエネルギー関連新聞発表

3/18 TotalEnergies

United States: TotalEnergies acquires Talos Low Carbon Solutions, a pioneer in the growing American Carbon Storage industry

https://totalenergies.com/media/news/press-releases/united-states-totalenergies-acquires-talos-low-carbon-solutions-pioneer

 

3/18 Chevron

chevron and JX sign MOU for collaboration on development of CCS value chain

https://www.chevron.com/newsroom/2024/q1/chevron-and-jx-sign-mou-for-collaboration-on-development-of-ccs-value-chain

 

3/19 JX石油開発

CCS バリューチェーン構築に向けた Chevron との共同検討の開始について

https://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_files/20240319JP.pdf

 

3/19 出光興産

富士石油株式会社(証券コード:5017)株式の買集め行為に該当する 株式取得についてのお知らせ

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2411599/00.pdf

 

3/19 出光興産

商船三井・出光興産・HIF が、CO2 の海上輸送を含む合成燃料(e-fuel)/合成メタノール(e-methanol)のサプライチェーン共同開発に関する MOU を締結

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2411360/00.pdf

 

3/19 OPEC

The Seventh High-Level Meeting of the OPEC-China Energy Dialogue takes place in Vienna

https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7312.htm

 

3/21 ENEOSホールディングス

組織の改正について

https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20240321_01_01_2008355.pdf

 

3/22 経済産業省

海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を改定しました

https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240322001/20240322001.html

 

3/22 ENEOS

日韓でのバイオ燃料および原料に関する協業について

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20240322_01_01_2008355.pdf

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(132)

2024-03-22 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(18

 

132うっぷん晴らしとしっぺ返しの悲劇(4/4)

 しかしフセインの野望も、そしてパレスチナ人たちの期待も所詮は邯鄲(かんたん)の夢であった。半年後にクウェイトは解放された(湾岸戦争)。イラクは撤退の置き土産に油田地帯に火を放った。クウェイトの砂漠に真っ赤な炎が立ち昇りあたりには原油の黒い飛沫が飛び散った。クウェイトの上空は黒煙に包まれ、昼なお薄暗い日々が続いたのであった。

 

ジャービル首長などサバーハ家王族は亡命先のサウジアラビアから舞い戻り、クウェイトは落ち着きを取り戻した。彼らは解放に力を貸してくれた米国をはじめとする多国籍軍の派遣国に深く感謝した。そのために新聞の全面広告も出た。そこにはパキスタン、スーダンなど多国籍軍に参加した国の名はあったが、軍隊を派遣できずその代わりに1兆円という巨額の支援金を拠出しただけの日本の名は無かった。

 

一方、クウェイトはフセインを支持した者を許さなかった。政府はパレスチナ人とヨルダン人全員を国外追放処分にした。国境の南にあった日本人が操業する石油基地もクウェイトが50%を握っていたためその対象となった。パレスチナ人たちのうっぷん晴らしに対するクウェイト側のしっぺ返しである。しかしクウェイトの行政と経済を下支えしていた彼らを追放すればどうなるかは日の目を見るより明らかだった。クウェイトの受けた傷は深く、それは今も癒えていない。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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