5月25、26、27日の燃料油脂新聞「コストコ探訪(上)(中)(下)」より
(上)「半日かけても行きたい」売り場つくる
会員サービス、周辺調査し最安値 出店で7万㎘の需要創出
会員制卸売大手のコストコホールジャパンが日本に進出して約20年が経過した。
2015年に山形県で初めて直営SS事業に着手し、いまや新規出店するごとに石油販売業界の注目を集めている。
異業種企業の代表格は“脱炭素”で揺れる国内ガソリン市場をどう見ているのか。
(略)
年会費4,840円(個人)などを設けて、各会員向けに他社よりも低価格でサービス・商品を提供する囲い込み型のビジネスモデルは、消費者に広く浸透しつつある。
同社の商品購買部アンシラリー商品本部長はSS事業について「弊社のGS(ガスステーション=SS)は会員向けサービス。
各種部門のひとつとしてガソリン部門があるととらえている」としたうえで、「GSはコストコの入り口だ」と強調する。
(略)
顧客が快適な給油を体験できるように、“Easy&Fast”というコンセプトで建設されている。
他方でコストコの販売価格は周辺市況と比べて安く設定されているため、石油業界からは同社の価格政策に対し「廉売競争を引き起こしかねない」と批判する声が多い。
コストコの販売方針はシンプルだ。
すべての部門で“適正価格の提供”を打ち出している。
「年会費を支払って利用できるシステム」としたうえで、顧客がサービス・商品の価格に納得できる施策を展開する。
燃料油の価格設定は「近隣競合SSのプリペイドカードや各種割引など末端価格を基準とし、周辺調査したうえで値付けしている。
ただ少子高齢化やクルマの性能向上など市場が縮小傾向にあるなか、低価格戦略だけではジリ貧だ。
同社は「半日かけてでも行きたいと思える売り場づくり」を目指している。
(略)
レジャー施設にも似た店舗づくりに魅力を覚え、20㎞以上も離れた生活圏外からクルマを走らせて来店する会員もみられるという。
同社が会員カードの郵便番号をもとに、コストコに行くために移動した距離を算出したところ、合計で約12億5000万㎞(年間ベース)にもおよんだ。
本部長は「コストコがあることで、6万から7万㎘のガソリン需要を創出したことになる」と指摘。
お客様には安心で清潔、快適に安く、給油を含めたサービスを体験していただきたいとの思いがある」と語り、今後も自社の魅力を最大限に生かして、新たな走行距離の創出に取り組むとしている。
(中)「大容量」主義遠しコスト下げる
新規オープンは“GS”併設 ガソリンは国民に必要 需要底堅い
かつて国内石油市場には、特石法の廃止やセルフ給油解禁など、さまざまな規制緩和を契機に多くの商社や大手流通業者、外資企業の異業種SSが参入した。
しかし異業種SSは相次いで撤退。
大手ホームセンターのジョイフル本田も元売会社にSS事業を譲渡した。
(略)
一方、コストコは各地で倉庫店を新設するなど、意欲的に事業拡大に乗り出している。
同社は今後、新規オープンする倉庫店にはGSを併設する方針だ。
燃料油の国内市場動向について「ガソリンは国民にとって必要な製品」とし、当面は需要が底堅いとの見方を示す。
立地条件にもよるものの既存店でも可能ならGSを設置する予定としている。
(略)
ローコスト運営を採用し、コスト低減はGSにも適用。常駐するスタッフは基本的に2人など、極力省人化を図っている。
(略)
「抑えたコストはすべて会員に還元する」考えだ。
現在、車検などクルマ周辺の事業はタイヤ部門を除き具体的な予定はない。あくまで同社が掲げる販売方針に合致する製品があれば検討する考えを示している。
同社は「良い製品を、できる限り安く」とした販売戦略を徹底する。
ボリュームのある大きな商品はクルマで持ち帰らずを得ないため、同社のビジネスモデルはGSと相性が良い。
一方で将来的に燃料油需要が落ち込むことは自明だ。
燃料油を安値で提供する手法は2015年12月、公正取引委員会からバロン・パークとともに独占禁止法(不当廉売)に違反する恐れがあるとして「警告」を出されている。
価格優位性を強く押し出したコストコ流のビジネスは「競争を招く」とし、嫌気する販売業者も多い。
商品購買部アンシラリー商品本部長は、燃料油需要が減少するなかで「利幅確保は非常に大切だ」とし、利益重視の経営に理解を示す。
そのうえでコストコは年会費を上乗せした価格を前提としており「とらえた顧客層の違い」を訴える。
単純な低価格路線なら、各地のPBも実施していることは事実だ。
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近場EV 中・長距離はガソリン車
環境対策、石油売る責任 災害対応万全 自家発電機設置 欠品防ぐ
(略)
同社は令和元年(2019年)台風第15号・19号が発生した際、木更津店では地域住民に対し燃料油を供給できるように態勢を整えた。燃料油を求めて顧客が殺到したが、夜9時まで在庫を切らさずに販売した。
このときの売上はデイリーレコードを記録しており、今も記録は破られていないという。
同社は災害発生時、地域のコミュニティーへ貢献するために物資の供給を行った。
実際、木更津市など各自治体と災害時の物資調達に関する協定を結んでいる。
この他、有事でも日用品などを販売できるように自家発電設備を設置。
GSでも計量機が稼働するように標準装備として完備するなど、物資供給のシステムを構築する。
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災害対応に注力する一方、環境への配慮も欠かさない。
「石油製品を販売する責任として、環境問題に対応することは必須だ」
同社は環境省とエネ庁が推奨する大気環境配慮型SSの認定を、すべてのGSで取得した。
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コストコで給油すると「環境に貢献できる」というPR動画も作成する。
また各店舗では太陽光発電システムの設置を進めている。
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同社は成功モデルのひとつとしてGS併設の方針を掲げるが、EVなど電動車の増加といった課題に対し、次はどのようなビジネスを提案していくのか。
今後の動向が注目される。
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素晴らしいではないですか。
不当廉売はコストコだけの話ではないでしょう。
全量正規仕入の地場3者店の仕入れ値よりも安く廉売していたのは無印店やPBだけでなく、元売系列店も多く含まれていましたよね!
大手特約店は元売からの優遇措置で、そして中小零細は業転玉で薄めるなどしてー。
JASSだって同じでしたよね。それもコストコは会員だけへの販売だけど.....。
だから当ブログはコストコセルフSSを応援します。
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私は当市内へのコストコ出店を望んでいます!!
(セルフSSとは既に棲み分けが出来ております。コストコセルフSSに限らず、セルフとは客層が違うので困ることはありません)
でも消費者の立場なら、市内というより徒歩や自転車で行ける程度の距離に出来て欲しいです。
でないと冬場に大震災が起きて、万が一にも道路が通行できないような状況になったら 20㎞も離れていたのでは困りますから。
ガソリンスタンドでプラスチッ…:【東日本大震災】福島県郡山市の状況 写真特集:時事ドットコム (jiji.com)