masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

請負人 越後屋 №26

2010年06月06日 | 作り話

暫定税率騒動はひと月で終わったかのように見えたが、それ以降、消費者のガソリンの値段に対する意識がとても敏感になった。

折りしも、中国のオリンピックによるバブル景気や原油の値上がり、又、石油が投資商品にされたことで一時はリッター200円になるかという勢いでガソリン価格が急騰した。
その為、それまでは価格にはそれほどシビアでなく馴染みの販売店を利用していた消費者までが値段を意識するようになり、セルフへと流れていった。

三沢の計画通り淘汰は加速したが、石崎が驚いたのは暫定税率廃止時にいち早く安売りを開始しテレビにもよく登場していたセルフの広域業者が倒産したことだった。

どうやらプリペイドカードの売り上げを運転資金に回さなければならない程、資金繰りに行き詰まっていたようだ。
5万や8万円分のプリペイドカードを購入していた消費者から、「このプリペイドカードが紙くずになるのでは?」と、この時も消費生活センターには問い合わせが殺到したのだが全国区での報道はされなかったのである。

恐らく、それが報道されると返金騒ぎが起きて大変なことになるので業界筋から何某かの圧力が掛かったのであろう。



つづく




※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

請負人 越後屋 №25

2010年06月06日 | 作り話
2008年3月 特約店や石油連盟には問合せが殺到した。

暫定税率自体、実際期限切れで廃止になるのか存続するのかギリギリまで分からなかったし、
「軽油税は県税だから、あれは別になるんじゃないのか?」
「製油所から出荷する分は課税されていないが油槽所からの分は課税されているので、配送が油槽所からくる販売店と製油所からの販売店との間で差が出てしまうのはどうなるんだ?」
「それを言うなら、店の地下タンクの在庫分はどうなんだ?」

情報を得ようにも、特約店、石油連盟はもちろん、元売の人間ですら暫定税率廃止に向けてのシュミレーションなど行ってこなかったので、皆が右往左往するだけだった。

しかし、それぞれの上層部の間ではもちろん計画通りであり、下から上がってくる陳情には「まだ分からない」「待て」とギリギリまで繰り返すのみであった。

結局、特約店を通じて販売店に対応マニュアルが届いたのは3月の下旬に入ってからだった。

しかし地下タンクの分がどうなるのかは分からないままに4月1日を迎えた。

独り勝ちを狙った業者が地下タンクの在庫を無視して初日から安売りを先行し、マスコミ報道も過熱した。
多くの販売店は課税された在庫分が無くなってから値段を下げようと考えていたのだが、テレビで連日のように映し出される安売り店の税引き後の看板価格と、安値を求めて並ぶ車の列を目の当たりにして、「安売り店に客を取られて、このままではうちの在庫は何時までも無くならない」 「何で俺たちが税金を被らなきゃいけないんだ?!」と腹立たしく思いながらも追随するしか無かった。

そして又、月末には明日から値が上がるからと販売店には大行列が出来ていた。


体調を崩したこともあり、3月末で退社した石崎は、自宅のテレビで「1時間の順番待ちです」と言いながら8リッターを給油していく人たちが映し出されるのを半ば呆れた思いで見ていた。

つづく


☆うちの店は在庫に忠実に値決めしたから(値段を下げるのも遅かったけど上げるのも遅かった)損も得もしなかったけど、多分多くの販売店は損したんじゃないかな?





※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;