報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「敷島家の年始」

2018-02-02 10:12:52 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月3日09:30.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 敷島家(賃貸マンション701号室)]

 シンディ:「お餅が焼けました」
 エミリー:「お雑煮でございます」
 敷島:「おっ、ありがとう。お餅三昧も、今日で最後か」
 アリス:「美味しかったんだからいいじゃない」
 敷島:「いや、別に文句は無ェよ」
 シンディ:「年末年始なのに、お2人はどこかに旅行とかされなかったんですね」
 敷島:「実家や両親のいる人達はそこに帰省したり、あと金のある学生さん達は旅行に行ったりするんだろうがな、俺らはどっちにも当てはまらないから」
 アリス:「アタシもこっちでロイドやロボットの相手してる方がいいわ」
 二海:「お坊ちゃま、朝食の時間ですよー」
 トニー:「あー」
 敷島:「トニーが大きくなったら、家族旅行でも行くか」
 アリス:「いいね!」
 敷島:「取りあえず、初詣と初売りは行ったんだからいいだろ。ロボット博士の行く初売りは、やはり電器屋か」
 アリス:「新しい発明のアイディアの宝庫だからね」
 敷島:「で、何かネタあった?」
 アリス:「取りあえず防犯用に、センサー式のギロチンなんか考えてる。あっという間に首と胴体が切り離されるような……」
 敷島:「死亡トラップオンリーの某映画のパクりは止めような?」

 ピンポーン♪

 敷島:「おや、誰か来た?」
 シンディ:「私が出ます」

 シンディが玄関に出た。
 そして……。

 シンディ:「社長、峰雄会長がお見えです!」
 敷島:「はあ!?」
 峰雄:「よお、明けましておめでとう」
 敷島:「一昨日、年始の挨拶に行きましたよ!?」
 峰雄:「今度は私が挨拶に来る番」
 敷島:「何だそりゃ!」
 峰雄:「具体的にはキミ達に会いに来たのではない」
 敷島:「う……ということは……?」
 トニー:「じーじ、じーじ。ぐらんぱ」
 峰雄:「おー、坊!明けましておめでとう!日本語と英語の両方覚える気、満々だな!わははははは!!」
 敷島:「『孫love暴走で息子夫婦の家に押し入ってくる爺の図』」

 実際は峰雄は敷島孝夫の上の伯父に当たる。
 とはいえ社長の俊介とは年が10歳くらい離れているから、峰雄から見れば孫同然の年の差である。

 峰雄:「お年玉を渡しに来たぞ!」
 敷島:「何か、嫌な予感……」
 峰雄:「ほら、受け取れい!子供のうちからケチはいかんぞ!」

 峰雄、スーツの内ポケットからレンガを1つ出した。
 もちろん、本物のレンガなわけではなく……。

 敷島:「だから、何で札束が出てくるの!子供相手に!」
 峰雄:「私の英才教育だ。子供の、それも敷島家の男子たる者、ケチな男に育ってはいかん」
 敷島:「“お坊ちゃまくん”の御坊亀光みたいなこと言って……」
 アリス:「G-Grand-pa.その……私からも、さすがにお札束はどうかと思いますが……」
 敷島:「そうだよ」
 峰雄:「何じゃい。2人してケチなことを言うな。トニーの教育が心配だ」
 アリス:「どうしてもお札束が良いというのであれば……」
 敷島:「ん?(まあ、子ども銀行のオモチャのヤツなら、遊びながらお金の計算の勉強もできていいのか?)」
 アリス:「ドル札でください!」
 敷島:「お前が欲しいだけだろ!」
 峰雄:「む!確かに、今から外貨の扱い方を学ばせておくのも良いかもしれんな」

 峰雄は自分のスマホを出した。

 峰雄:「あー、私だ。至急、私のレンガ1つを米ドルに交換……」
 敷島:「しなくていい!アリスも何言ってるんだ!」
 峰雄:「では孝夫は、トニーのお年玉をどうすれば良いというのかね?」
 敷島:「まだ子供なんだから、そんな高額紙幣じゃなく、硬貨でいいんですよ」
 峰雄:「おー、そうだったか。それは大変失礼した」

 峰雄はポンと自分の手を叩いた。

 峰雄:「ほれ、坊。お年玉だ」

 ドンとベビーベッドの上に、大量の500円玉をカジノの勝負師のように積み上げた。
 恐らく100万円分あるのだろう。

 峰雄:「いいか、坊?このコインの積み方にはコツがあってな……。家族旅行は私がラスベガスに連れて行ってやるからな」
 敷島:「俺、頭痛くなってきた……」
 アリス:「会長。今、ラスベガスは下火ですわ。今はむしろマカオの方がいいかもしれません」
 峰雄:「む、マカオか。確かにここ最近、行っとんなぁ。孝夫もこの嫁さんに負けず、スロットで大勝を狙うくらいの……」
 エミリー:「社長、バファリンです」
 敷島:「うん……」
 峰雄:「何とだらしない」
 アリス:「そうなんですよ。アタシが『2人目は女の子がいい』と言っても、てんでこれでして……」
 峰雄:「む!孫娘か!孝夫、この私が『製造許可』を出す!」
 孝夫:「何言ってんだよ……」
 峰雄:「メイドと秘書のキミ達も協力しなさい。家族が増えれば、キミ達の相続先がそれだけ増えるということになる」
 シンディ:「おおっ、確かに!」
 エミリー:「仰る通りです」
 敷島:「おい!……いいから、お餅でも食べて行けば?」
 エミリー:「そうですね。まだお餅がございますよ」
 峰雄:「そうか。あと、どのくらい残っているんだ?」
 シンディ:「5個ですね」
 峰雄:「5個だと?」

 峰雄の眉がピクッと動く。

 シンディ:「何か、問題ですか?」
 峰雄:「お餅6無い。出直して参れ」(面白くない。出直して参れ)
 敷島:「なに昔のRPGのネタ使ってんだ!」

 ↑すいません、これがやりたかっただけですw

 お昼過ぎになって、ようやく峰雄は帰ることにした。

 峰雄:「いやー、楽しい年始じゃったわい」
 孝夫:「それはそれは大変結構なことで」

 マンションの入口には、黒塗りのセンチュリーが止まっていた。
 もちろん、運転手もスタンバイしている。
 そこまで見送る敷島一家。

 峰雄:「遠慮せんと、連休どこにも行く所が無いのなら、私の家に遊びに来てくれ」
 孝夫:「そのうちね」
 峰雄:「アリスさん、日本の家族の団らんというものがお分かり頂けたかな?」
 アリス:「はい!」
 敷島:「いや、あれは特殊!」

 運転手が恭しくドアサービスをする。
 峰雄が乗り込むと、パワーウィンドウを開けた。

 峰雄:「社員旅行は行くんだろ?」
 敷島:「ええ、まあ。何とか独自に……」
 峰雄:「いいことだ。それじゃ」
 敷島:「お気をつけて」
 峰雄:「じゃあな。坊、またな」

 峰雄はアリスに抱っこされているトニーの小さな手を握った。
 そして、颯爽と走り去って行った。

 敷島:「全く。ぶっ飛んだ爺さんだ」
 シンディ:「最高顧問の血筋だと理解できますね」
 敷島:「ああ、まあな。寒い寒い。早く中に入るぞ」

 こうして、敷島家の年末年始は無事に終了したのである。
 尚、トニーが峰雄のヅラを外して遊ぶというトリッキーなことをしていたのだが、この時は峰雄も笑っていただけだったという。

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2018-02-02 18:40:35
意外と大した雪じゃなかったな。
明日の出勤も大丈夫だろう。

因みに今日は大宮で夕食。
もち、ビール付きw
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