[7月24日18時00分 天候:晴 秋田県北秋田郡鬼里村 太平山家・分家(民宿『太平屋』)201号室]
温泉である大浴場から出た私は、夕食の時間まで部屋にいた。
善場係長からの返信メールを確認する為だ。
メールは他にもあって、うちの事務所からだった。
即ち、送信元はパールということになる。
パール「出張お疲れさまです。予定表では明日、秋田県鬼里村を発つとのことですが、帰京はいつ頃になる予定でしょうか?明日は鬼里村を発った後、再び仙台の御実家に寄るとのことですが」
とのことだ。
確かに、帰京日を決めていなかった。
というのは、この鬼里村でどんなトラブルに巻き込まれるか不明だったので、あえて予定は決めていなかったのである。
当然、往路は新幹線の指定席を取ったが、復路についてはまだ予約すらしていない。
だが、恐らくもうトラブルに巻き込まれることはあるまい。
ここの鬼達は、1度負けると再戦の申し込みはしない潔さがあるらしい。
もっとも、再戦できない理由があるのだろう。
本家から再戦禁止の通達が出ているというのももちろんあるが、わざわざ通達を出さないと再戦の申し込みをしてくる鬼達がいると見て間違いない。
中には、本家通達を破ってやってくる血気盛んな鬼がいてもいいはずだ。
しかし、それがいない理由。
それは、この村の中で最も強い『夜叉姫』を倒したからだろう。
自分より強い者を倒した者に戦いを挑むほどバカでもあるまい。
愛原「今週中には帰京する予定だよ。そちらの様子はどうだ?」
パールに返信している間に、善場係長から返信メールが来る。
善場「お疲れ様です。報告書、確認させて頂きました。それでは、“青いアンブレラに拉致された白井伝三郎(斉藤玲子)を確保した方が良さそうですね。“青いアンブレラ”がどのようなつもりで彼(彼女)を拉致したのかは不明ですが、管理の不行き届きで死亡させてしまったら、所長の安全が保障されなくなります」
愛原「どうなさるおつもりですか?」
返信すると、今度はパールから返信が来る。
パール「特に、異常はありません。ただ、折り入って1つ相談したいことがございます。とても大事な話ですので、電話やメールではお話しできません。所長が帰京されたら相談させて頂く存じます」
とのことだった。
相談事って何だろう?
メイドの仕事に集中したいのだろうか?
いや、それもテラセイブのことか?
愛原「帰京を急いだ方が良いか?相談事とはテラセイブの事か?」
パールに返信すると、また善場係長から返信が来る。
善場「BSAAに捜査させて、彼(彼女)を奪還します。もちろん手荒な真似をすると死亡する恐れがありますので、それは絶対に避けさせます。所長にも協力して頂ける所があれば、是非ともお願い致します」
この返信を見て、私はヘタなことはしない方がいいのではないかと思った。
要は善場係長は、“青いアンブレラ”の事を全く信用していない。
いや、日本では非合法組織なのだから敵視するのは当然だし、高野君の事を個人的に嫌っている部分も見受けられるので、尚更だろう。
愛原「かしこまりました。私共に協力できることがありましたら、是非させて頂きます」
と、返信した。
すると、またパールからだ。
パール「先生の御予定で結構です。確かに、テラセイブの事です」
愛原「分かった。今週中には帰るし、帰る時には連絡する」
と、返信する。
すると、また善場係長から。
善場「宜しくお願い致します。今後も引き続き御報告をお願い致します。また、“青いアンブレラ”の情報が入りましたら、すぐに御連絡をお願い致します」
パール「かしこまりました。宜しくお願い致します」
パールからも返信があった。
パールもそろそろテラセイブのメンバーとして、本格的に活動したいのだろうか。
そうなると、事務所を退所しなければならなくなるが、その話なのかもしれない。
その時、部屋の内線電話が鳴った。
黒電話である為、ジリジリベルが鳴り響く。
愛原「はい、もしもし?」
電話に出ると、相手は紗季だった。
紗季「愛原先生。御夕食の準備ができました」
との事だった。
時計を見ると、18時を回っている。
もうそんな時間か。
愛原「ああ、分かりました。すぐ行きます」
私は電話を切って、1階に下りた。
[同日18時15分 天候:晴 同民宿1階・大広間]

リサ「先生、おそーい!」
愛原「ああ、悪かった。ちょっと、仕事が立て込んだもんでね」
紗季「白井先生の事で、まさかこんな大事件になるなんて……」
愛原「奴はこの村にとっては救世主だったのかもしれませんが、『転化組』を造り出した諸悪の根源でもありますからね」
紗季「本当に……」
紗季は持って来た瓶ビールの栓を抜いた。
他にもリサや美樹の為に、ジュースやウーロン茶の栓を抜く。
リサ「チキンステーキがある!」
紗季「これは村の養鶏場で分けてもらった鶏肉です」
比内地鶏とのこと。
尚、比内鶏と比内地鶏は違うので注意。
前者は本当に天然記念物に指定されており、市場には一切出回らない。
対して後者は前者を品種改良したものであり、これは出回っている。
この村の養鶏場で育てているのも、比内地鶏であって、比内鶏ではない。
愛原「この分だと、明日には出発できそうだ。最後の夕食、ゆっくり楽しもうじゃないか」
美樹「本家が、愛原先生達さ手ェ出すなって通達出してくれたおかげで、ケンカ売って来る兄ちゃん達もいねくで良がっだですよ」
愛原「全くだ」
美樹「本家も大家族なもんでェ、雪姉がやられだら、兄ちゃん達や姉ちゃん達が仇討ちに来るはずですっけ」
愛原「マジか」
リサ「でも、ユキより弱いんでしょ?それならラクショーだよ!」
リサや私の勝因は、その前に雪姫が“鬼ころし”ではなく、“鬼ふうじ”を飲んでしまって弱体化してしまったというのもあるのだが。
とにかく、これはもう天長会がラスボスになりそうってことでOKなのだろうか?
報告書を善場係長は読んでくれたそうだが、それでどう判断されるか次第だ。
温泉である大浴場から出た私は、夕食の時間まで部屋にいた。
善場係長からの返信メールを確認する為だ。
メールは他にもあって、うちの事務所からだった。
即ち、送信元はパールということになる。
パール「出張お疲れさまです。予定表では明日、秋田県鬼里村を発つとのことですが、帰京はいつ頃になる予定でしょうか?明日は鬼里村を発った後、再び仙台の御実家に寄るとのことですが」
とのことだ。
確かに、帰京日を決めていなかった。
というのは、この鬼里村でどんなトラブルに巻き込まれるか不明だったので、あえて予定は決めていなかったのである。
当然、往路は新幹線の指定席を取ったが、復路についてはまだ予約すらしていない。
だが、恐らくもうトラブルに巻き込まれることはあるまい。
ここの鬼達は、1度負けると再戦の申し込みはしない潔さがあるらしい。
もっとも、再戦できない理由があるのだろう。
本家から再戦禁止の通達が出ているというのももちろんあるが、わざわざ通達を出さないと再戦の申し込みをしてくる鬼達がいると見て間違いない。
中には、本家通達を破ってやってくる血気盛んな鬼がいてもいいはずだ。
しかし、それがいない理由。
それは、この村の中で最も強い『夜叉姫』を倒したからだろう。
自分より強い者を倒した者に戦いを挑むほどバカでもあるまい。
愛原「今週中には帰京する予定だよ。そちらの様子はどうだ?」
パールに返信している間に、善場係長から返信メールが来る。
善場「お疲れ様です。報告書、確認させて頂きました。それでは、“青いアンブレラに拉致された白井伝三郎(斉藤玲子)を確保した方が良さそうですね。“青いアンブレラ”がどのようなつもりで彼(彼女)を拉致したのかは不明ですが、管理の不行き届きで死亡させてしまったら、所長の安全が保障されなくなります」
愛原「どうなさるおつもりですか?」
返信すると、今度はパールから返信が来る。
パール「特に、異常はありません。ただ、折り入って1つ相談したいことがございます。とても大事な話ですので、電話やメールではお話しできません。所長が帰京されたら相談させて頂く存じます」
とのことだった。
相談事って何だろう?
メイドの仕事に集中したいのだろうか?
いや、それもテラセイブのことか?
愛原「帰京を急いだ方が良いか?相談事とはテラセイブの事か?」
パールに返信すると、また善場係長から返信が来る。
善場「BSAAに捜査させて、彼(彼女)を奪還します。もちろん手荒な真似をすると死亡する恐れがありますので、それは絶対に避けさせます。所長にも協力して頂ける所があれば、是非ともお願い致します」
この返信を見て、私はヘタなことはしない方がいいのではないかと思った。
要は善場係長は、“青いアンブレラ”の事を全く信用していない。
いや、日本では非合法組織なのだから敵視するのは当然だし、高野君の事を個人的に嫌っている部分も見受けられるので、尚更だろう。
愛原「かしこまりました。私共に協力できることがありましたら、是非させて頂きます」
と、返信した。
すると、またパールからだ。
パール「先生の御予定で結構です。確かに、テラセイブの事です」
愛原「分かった。今週中には帰るし、帰る時には連絡する」
と、返信する。
すると、また善場係長から。
善場「宜しくお願い致します。今後も引き続き御報告をお願い致します。また、“青いアンブレラ”の情報が入りましたら、すぐに御連絡をお願い致します」
パール「かしこまりました。宜しくお願い致します」
パールからも返信があった。
パールもそろそろテラセイブのメンバーとして、本格的に活動したいのだろうか。
そうなると、事務所を退所しなければならなくなるが、その話なのかもしれない。
その時、部屋の内線電話が鳴った。
黒電話である為、ジリジリベルが鳴り響く。
愛原「はい、もしもし?」
電話に出ると、相手は紗季だった。
紗季「愛原先生。御夕食の準備ができました」
との事だった。
時計を見ると、18時を回っている。
もうそんな時間か。
愛原「ああ、分かりました。すぐ行きます」
私は電話を切って、1階に下りた。
[同日18時15分 天候:晴 同民宿1階・大広間]

リサ「先生、おそーい!」
愛原「ああ、悪かった。ちょっと、仕事が立て込んだもんでね」
紗季「白井先生の事で、まさかこんな大事件になるなんて……」
愛原「奴はこの村にとっては救世主だったのかもしれませんが、『転化組』を造り出した諸悪の根源でもありますからね」
紗季「本当に……」
紗季は持って来た瓶ビールの栓を抜いた。
他にもリサや美樹の為に、ジュースやウーロン茶の栓を抜く。
リサ「チキンステーキがある!」
紗季「これは村の養鶏場で分けてもらった鶏肉です」
比内地鶏とのこと。
尚、比内鶏と比内地鶏は違うので注意。
前者は本当に天然記念物に指定されており、市場には一切出回らない。
対して後者は前者を品種改良したものであり、これは出回っている。
この村の養鶏場で育てているのも、比内地鶏であって、比内鶏ではない。
愛原「この分だと、明日には出発できそうだ。最後の夕食、ゆっくり楽しもうじゃないか」
美樹「本家が、愛原先生達さ手ェ出すなって通達出してくれたおかげで、ケンカ売って来る兄ちゃん達もいねくで良がっだですよ」
愛原「全くだ」
美樹「本家も大家族なもんでェ、雪姉がやられだら、兄ちゃん達や姉ちゃん達が仇討ちに来るはずですっけ」
愛原「マジか」
リサ「でも、ユキより弱いんでしょ?それならラクショーだよ!」
リサや私の勝因は、その前に雪姫が“鬼ころし”ではなく、“鬼ふうじ”を飲んでしまって弱体化してしまったというのもあるのだが。
とにかく、これはもう天長会がラスボスになりそうってことでOKなのだろうか?
報告書を善場係長は読んでくれたそうだが、それでどう判断されるか次第だ。