報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

大宮駅東口では夏祭りが行われる。

2013-08-02 14:44:05 | 日記
 “ボカロマスター”より。

『巡音ルカ、涙の復活!』『空気感染!?新種のコンピュータ・ウィルス、そのメカニズムとは?』『ウィルス解析に成功した南里志郎名誉教授と平賀太一教授(写真=異世界通信)』
「また失敗かっ!!」
 ドクター・ウィリーは執務机の上に、新聞紙を叩き付けた。結局、ルカの故障した歌唱機能の修理が完了し、復活ライブは大成功に終わった。
「わしは負けておらん!負けておらんぞ!このわしが、あのウジ虫どもに負けてはならんのじゃっ……!」
「それならドクター。私がひとっ走り行って、誰かブッ壊してこようか?」
「シンディ。いや、お前はまだ動かんでいい。今はな……」
「そーお?まあ、気が変わったらいつでも命令してね」
「い、いや、待て!ちょっと待て!」
「なに?もう気が変わった?」
「今日のラッキーカラーはゴールドじゃ。お前、ひとっ走り行って、そこのマルエツの大抽選会に行ってこい。1等は鬼怒川温泉1泊旅行じゃっ!」
「……何で私が?」
「お前の髪、金髪じゃろうが!」
「カンケーあんの、それ?」

「かわいそうになぁ……」
 何だか敷島も哀れになってきた。実は上記のやり取りは、処刑前にシンディから取り出したメモリーに保存されていた動画である。
「何か、うちのボカロ達が売れる前の南里研究所みたいだ」
 敷島は財団事務所で、メモリーの解析に立ち会っていた。
「で、大抽選会に当選したウィリーは喜び勇んで鬼怒川温泉に行き、同じく一人旅していた俺と偶然会ったってわけか……」
 敷島はしみじみと語った。で、ふと気づく。
「ん?あれ?」
「どうしました?」
「メモリーやらライブラリやら、重要なものは取り出したってことは……。ボディを作り直せば、またシンディの復活って可能ってことじゃ?」
 すると平賀は口元を歪めて言った。
「理論上は可能です。ただ、相当ウィルスに汚染されてますからね、全部除去しないと元の木阿弥になってしまいます」
「しかも、ボディを製作する費用を出してくれる企業や団体がない」
 と、他の財団理事も言った。
「そうでしたね」
 大日本電機もM&Aで無くなってしまった。
 敷島は今、平賀の紹介された事務職の仕事に転職している。
 南里研究所に所属していたボーカロイド達も、他の研究期間や企業に引き取られていった。所有権は財団にあるのだが、元々南里研究所で管理しているボカロの数が多過ぎるとの批判はあったのだ。
 ルカは大手レコード会社に引き取られ、今は海外レコーディングに行っていると風の噂で聞いた。
 いつかまた会えるだろうか。

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1 コメント

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つぶやき (ユタ)
2013-08-03 14:06:05
物語終盤辺り、終章にかかる直前のシーン。
登場人物達のその後は、終章で語られる予定。
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