報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「一方その頃……」

2014-09-27 15:29:09 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月28日13:00.埼玉県さいたま市大宮区 栗原江蓮の家 蓬莱山鬼之助&栗原江蓮]

{「キノ兄ィ、ツアコンさん達、明日、前乗りするってよ」}
「ご苦労さん」
 キノは自分のケータイで話していた。
 通話の相手は妹の蓬莱山魔鬼である。
「江蓮、次一緒に行ける場所見つけたぜ?」
「何がだよ?」
 江蓮は半袖を更に捲ったTシャツの上から、団扇をパタパタ扇いでいる。
「明後日、お寺行くんだろ?前乗りしようぜって」
「そんな金、どこにあるんだよ?」
「オレの作戦が成功すればよ、民宿代だけ捻出できりゃ、あとはタダだぜ」
「はあ?」
 キノはニヤッと笑った。
 口元からは鬼族ならではの牙が覗く。
「そういうわけだから、出発の準備しろ」
「何か心配だなー」
「あー?……ああ、そうか。もうそろそろだもんな」
「何が?」
「タンポンとナプキンとアレ用の下着は忘れるな」
「何で知ってんだよ、てめっ!」

[8月29日09:00.東京都区内某所 藤谷春人]

(稲生君達が前乗りするっつー熱心さを見せてくれた以上、上長の俺も見本を示さねーとな)
 藤谷は少し大きめのバッグを手に、自分の車が駐車されている駐車場にやってきた。
 シルバーのベンツEクラスである。
 但し、型落ちの中古車ではあるが。
「む?何か、妖怪の気配が……」
 さすが藤谷。ユタ達と付き合っていくうちに、自分も霊力が備わったか。
(……気のせいか。まあ、俺には氷奈がいるしな。いざとなりゃ、雪女郎連合会に泣きついて……)
 既に泣きつく先に指定していた。
 藤谷は左ハンドルの運転席のドアを開けた。
「!!!」
 そして分かる。けしてさっきの気配が、気のせいではなかったことに。
 一旦は現実逃避してドアを閉める藤谷だったが、パワーウインドーが開けられた。
 運転席にいたのはキノ、助手席には江蓮、リアシートには魔鬼がいた。
「藤谷、オレ達も連れて行ってくれよ?」
「お前ら!何で俺の車に勝手に乗ってんだっ、ああっ!?」
「はーい!」
 魔鬼は無邪気に笑って、金属片で作り上げた、車のキーを取り出した。
「鬼族をナメんなよ?」
「ぐぐぐ……!」
 危うくブチギレそうになる藤谷だったが、
(はっ!いかんいかん!俺はこれから、大聖人様の御元に向かう身。ここでこんな邪な妖怪達のペースに乗られては、俺の漢が廃る!)
 藤谷は冷静に深呼吸をした。
「とにかくだ。俺は“慧妙”にあるようなアポ無し折伏は嫌いだ。藤谷組も基本、アポ無し営業はやらねぇ主義だ。だから、キミ達のアポ無しはちょっと感心できんな」
「と、言うと?」
「キミ達の要望には応えられんということだよ。さーさー、降りてくれたまえ」
 しっしっといった感じで、藤谷は3人を車から降ろそうとした。
 一応は素直に車から降りる3人だったが、
「ほー。藤谷さん、あんた、そういう態度取っていいのかね?」
 キノは着物姿ではなく、私服を着ていた。
 藤谷に凄みながら、サングラスを掛ける。
「何がだ?」
「藤谷さん、あんたさぁ、あれだけ女嫌いを豪語していた割には、今はすっかり雪女とよろしくヤっているそうだな?」
「ふん。だから何だ?人生は変わる。宿命転換だ。仏法者として、当たり前の現証だ」
「無論、それに関してインネン付けようって話じゃねぇ。俺が言いてぇのは、こっちにはアンタの恥ずかしい情報があるもんで、それを読者の皆様方に公表すれば、あんたは一気に『ミスター行方不明』だ。それでもいいのかね?」
「読者って何だよ!?」
「魔鬼」
「はーい」
 キノは後ろに控えている妹の魔鬼を促した。
 魔鬼は相変わらず無邪気な笑顔で、キノにあるものを渡した。
 それはレコーダーだった。
「ダイジェストですら流せねぇくれぇの恥ずかしい内容だ。流してもいいのかね?」
「藤谷組には、やましい所なんて1つも無ェぜ!業務に関わる一切の法律には一分たりとも触れちゃいねぇ!」
「誰があんたの会社だと言った?」
「あ?」
「あんた自身のことだよ。……しょうがない。ここまでシラを切るってんなら、ダイジェストで流してやろう」

 ピッ。(レコーダーの電源を入れた音)
 ピッ。(そして再生)

〔(藤谷)「氷奈、昨夜は悪かったな?」
(氷奈)「いえ。人間の男の精を搾り取る雪女の私に、あそこまで女の悦びを教えてくれた人、初めてよ……」〕

「ほお。オレの知ってる雪女ってなぁ、白ギャル・ビッチの集団なんだが、そいつらに更なる女の悦びを感じ与えたと?意外に凄いヤリ【ぴー】ですなぁ?」

〔(氷奈)「激し過ぎて着物がビリビリになっちゃった……。後でまた新しい着物、取り寄せなきゃ」
(藤谷)「はっはっはっ!さすがにヤり過ぎたかな。潮だけでなく、オシッコも漏らしてたもんな。悪い悪い」〕

「ほおほお。雪女の着物がビリビリ?一体全体、どういうプレイをしたらそうなるのやら?あの加藤鷹監督も首を捻りそうですな?」
「ぐぐぐ……!」
 どうやら藤谷、やっと理解できたらしい。

〔(藤谷)「じゃあ、今日はお詫びに俺が……お前に浣腸してやろう❤」
(氷奈)「キャアアア!」
(藤谷)「いいじゃないか、いいじゃないか!早くパンツ脱げ」〕

「分かった分かった!連れてってやる!横浜でも小田原でも!」
「浣腸した後は、どうなさるおつもりだったのですかな?その場で脱糞?それとも再びパンティをはかせて、そのままお漏らしプレイですかな?この続きはレコーダーの中に……」
「わーっ!分かった分かった!一緒に参りましょう!大聖人様の御元へ!」
「全く。手こずらせてくれましたなぁ?」
「乗せてってやるから、せめて高速代かガソリン代くらいは……」

 ピッ。

〔(氷奈)「お、お腹が……。お願い……おトイレに行かせてぇ……」
(藤谷)「あー、よく聞こえないなぁ?」〕

「わーっ!わーっ!分かりました!タダで御奉仕させて頂きます!」
「これ以上、余計なこと言うと、それだけ恥を晒すことになるというとだけ伝えておく」
「は、はいっ!」
「因みにこの後、藤谷班長は村西とおる監督もビックリ仰天のセリフを……」
「しゅ、出発しまーっす!」

 車は駐車場を出発した。
「江蓮さん、どうして今の雪女さんは浣腸されてたの?」
 魔鬼が無邪気に聞いて来た。
 江蓮は顔を真っ赤にしながら、
「き、きっと便秘で大変だったんだよ。はは……ははははははは……」
「なーんだ!じゃあ、江蓮さんもキノ兄ィにやってもらうんだね?」
「え?」
「あ?」
 すると魔鬼は急に無邪気な顔から、悪鬼というか……つまりは牙を覗かせ、耳元で囁いた。
「だって、ここ2日間出てないんでしょ?浣腸なら家から持って来てるからね?」
(鬼族、怖ぇ……!)

 ユタ達の後を追う1台の車の中では、そんなやり取りがあったようである。

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