報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 仙台市内 2

2021-07-17 20:54:46 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日18:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 イービーンズ3Fユザワヤ]

 マリア:「フーム……。この生地とこれと……これ……」

 マリアンナ人形の服を作る為の生地を買いに来た稲生達。
 しかしマリアは、あまりの品揃えに……。

 マリア:「ミカエラにはこの生地が合いそうだねぇ……。クラリスには、やっぱりホワイトかな。あと、ドナには少しダークな感じの……。アンジーにはレッドが相応しい……」
 稲生:「ま、マリア?この期に及んで、爆買いは……」
 マリア:「生地に関しては私のカードを使う」

 マリア、アメリカンエキスプレスのグリーンカードを取り出した。
 イリーナのプラチナカードと比べれば最低ランクであるが、それでも内資系カード会社のゴールドカード並みのステータスがあるという。
 実際に掛かる会費やそのサービス内容を見ても、本当に最低ランクのカードなのかと思うほどサービスが手厚い。

 稲生:「持って帰るのが大変だよ?」
 マリア:「マリアンナの服だけは持って帰るけど、あとは宅配にする」
 稲生:「エレーナの魔女宅だと、高く取るんだよねぇ……」
 マリア:「私が得意の話術で値引き交渉するから大丈夫」
 稲生:(その割には屋敷内で爆発音が鳴り響き、さすがのイリーナ先生もこの時ばかりは2人の弟子達に雷を落とす……と)

 既に話の流れを読んでいる稲生であった。

 稲生:(こんなの、予言でも何でもないよなぁ……)

 経験則という。

 マリア:「支払いはカードで」
 店員:「はい、ありがとうございます」
 マリア:「勇太、荷物持ちよろしく」
 稲生:「そこはミカエラとクラリス使ってよ~」
 マリア:「フーム……。これはディナーの前に、ホテルに戻らないとダメだね」
 稲生:「そうだよ」
 マリア:「ホテルのフロントで発送できる?」
 稲生:「できるはずだよ」
 マリア:「OK.じゃ、一旦ホテルへ戻ろう」
 稲生:(一体、何着分の生地買ったんだよ……。てか、マリアのカードの限度額っていくらだ?)

 稲生は両手一杯に大きな紙袋を持ちながら、フラフラとエレベーターまで歩いた。
 因みにマリアも、もう1袋持っているんですよ?

 稲生:(コロナ禍前、インバウンドの爆買いが、いかにデカかったかが分かるよ……)

 コロナ禍中でも爆買いをするイギリス人魔道士。
 因みに……爆買いされる日本の物価って、実は先進7か国の中では最も安いのだそうだ。
 何しろ、後進国だと思っていた中国からのインバウンドが物価が高いはずの日本で爆買いしていたのだから。
 コロナ禍後、日本が先進7か国から脱落する日は近いとヤフコメでは取り沙汰されているが……。

[同日18:30.天候:晴 青葉区本町 ホテルドーミーイン仙台駅前1Fフロント]

 フロントマン:「お帰りなさいませ」
 稲生:「すいません、これ、宅配お願いします……」
 フロントマン:「か、かしこまりました!えー、それでは、こちらの送り状に御記入を……」

 稲生の疲弊した様子を見て、フロントマンは一瞬びっくりしてしまった。
 その為か、もう1人のフロント係が紙袋の梱包を手伝ってくれた。

 稲生:「マリアぁ……。送らなくていい生地は?」
 マリア:「これ」
 稲生:「あ、そう……」

 マリアが持っていた比較的小さな紙袋。
 それがマリアンナ人形に作ってあげる服の生地だったようだ。
 あとは他の人形用。

 フロントマン:「発払いになさいますか?後払いになさいますか?」
 稲生:「えー……」
 マリア:「発払いで!カードで払います!」
 フロントマン:「か、かしこまりました!」
 稲生:「そんな強く言わなくても……」
 マリア:「着払いにしたら、エレーナが間違いなく吹っ掛けて来る」
 稲生:「発払いにしても言い争っているのは何故なんだい?」

 本当はマリアとエレーナ、仲が良いのではなかろうかと疑う稲生であった。

 フロントマン:「御記入ありがとうございます。それでは、お会計が……」

 で、ようやく発送手続きが終わると……。

 フロントマン:「それではお荷物、確かにお預かり致します。集荷は明日になりますので、お届けが……」
 稲生:「分かりました。それでお願いします」
 フロントマン:「お部屋でお休みになられますか?」
 稲生:「いえ、これから夕食に行ってきます」
 フロントマン:「かしこまりました。行ってらっしゃいませ」

 で、再びホテルを出る。

 稲生:「あー、疲れたなぁ……」
 マリア:「ご苦労さま。それにしても、また温泉付きのホテルを予約するなんてね」
 稲生:「せっかく屋敷から出たんだから、温泉に1回くらい入りたいじゃない?」
 マリア:「勇太は相変わらずだなー。HAHAHA...」
 稲生:「白馬の駅とか、案外近くに温泉あるんだよねぇ……」
 マリア:「そうなのか。だったら、お使いついでに入ってくればいいじゃない」
 稲生:「道草するのはどうも……」
 マリア:「大丈夫だって。私も師匠も、そんなに時間気にしないから」
 稲生:「そ、そう?」
 マリア:「あ、でも有料か。……そんなに高くは取らないだろう?」
 稲生:「多分ね」

[同日19:00.天候:晴 青葉区中央 JR仙台駅3F牛たん通り たんや善治郎]

 稲生:「すいません。牛タン定食4枚2つと、あとビール中ジョッキと、それと仙台プレミアムハイボールください」
 マリア:「ソーセージと、このサラダも」

 さすがに刺身は注文しないマリアと、気を使う稲生。

 店員:「はい、ありがとうございます。それでは、先にお飲み物からお持ち致します」

 というわけで、飲み物が先に運ばれる。
 日本酒や焼酎では悪酔いしてしまうのだが、かといってワインが置いてあるわけでもない。
 ということで、他にイギリス人が飲みそうなのはビールかウィスキーということになる。
 勇太はビールの中生を受け取り、マリアはハイボールを受け取った。

 稲生:「それじゃ、お疲れさまでーす!」
 マリア:「お、Otsukarei...」
 稲生:「いやあ、労働の後の一杯は最高ですねー!あっはっはっはーっ!」
 マリア:「まあ、確かに。クエストは達成したも同然だ。あとは登用試験に合格するだけだが、きっと勇太は合格できるよ」
 稲生:「ありがとう。合格してマスター認定されたら、僕はマリアと……」
 マリア:「うん、待ってる。だけど、こういう時こそ、油断禁物だよ。勇太の宗派にも、そういう教えがあるでしょ?」
 稲生:「『魔』か。でも僕達、悪魔に守られてるからなぁ……」

 隣のテーブル席では……。

 ベルフェゴール:「カンパーイ!」
 アスモデウス:「カンパーイ!」

 ちゃっかり夕食会をやっている悪魔達の姿があった。
 支払いはどうするのか、【お察しください】。

 マリア:「仏教の悪魔は関係無いと思うよ、あいつら」
 稲生:「そ、そうなのか。それじゃ、気を付けないとな。まずは、飲み過ぎないようにしよう」
 マリア:「そういうことだね」
 稲生:「でもいいの?人形、部屋に置いて来ちゃって」
 マリア:「ミカエラとクラリスが守ってるから問題無し」
 稲生:「ぞれもそうか」

 屋敷に帰るまでがクエストなのだが、先に打ち上げを楽しむ魔道士達だった。

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