[10月13日06:30.天候:曇 東京都江東区豊洲 豊洲アルカディアビル18F・敷島エージェンシー]
井辺が事務所のトイレで顔を洗っていると、敷島が入って来た。
敷島:「グッモーニーン……」
井辺:「あっ、社長。おはようございます」
敷島:「停電、復旧したんだなー」
井辺:「あ、社長は御存知だったんですね」
敷島:「俺がトイレから出ようとしたら、バチッと切れやがったからさぁ……」
井辺:「そうだったんですか。私は恥ずかしながら、爆睡してて気が付きませんでした」
敷島:「いや、いいんだよ。その方がいい。知らぬが仏って言うからな」
井辺:「はあ……」
敷島:「チラッとさっきテレビを見たんだが、どうやら一夜明けても交通機関は復旧しないらしい。早くても、今日の昼頃だそうだ」
井辺:「やはりですか……。下の被害はどうだったんでしょう?」
敷島:「それはまだ分からん。だけど、まだしばらくこの事務所にいた方が良さそうだな」
井辺:「はい」
敷島:「ま、非常食も飲料水も備蓄してあるから心配すんな」
井辺:「はい、それはもう……」
敷島:「じゃ、取りあえず俺はエミリーの体洗って来てやるから。シャワー使う?」
井辺:「いえ、私は昨夜使わせて頂いたので……」
敷島:「あ、そう」
井辺:「初音さんからぼんやり聞いたんですが、昨夜はエミリーさんとお楽しみだったそうで……」
敷島:「ちっ、ミクにはバレてたか。エミリーのヤツ、凄いよ。タマが空になるまで搾り取られた……」
井辺:「は、はあ……」
敷島:「井辺君にも後で貸してあげるからね」
井辺:「いえ、結構です。遠慮しておきます。レイチェルで懲りましたから」
敷島:「あ〜、そうか。まあ、いいや。井辺君も昼くらいまで寝てていいよ」
井辺:「いえ、取りあえず情報収集に当たります」
井辺がそう言うと、敷島は頷いてエミリーをシャワー室に連れて行った。
井辺:「あれだけマルチタイプを使いこなす人間は、やはり珍しいのかもしれない……」
初音ミク:「わたしも、社長は凄い人だと思います」
井辺:「ですね」
ミク:「何せ兵器として開発されたわたしを、ボーカロイドとして再生してくれた人ですから」
井辺:「最初にその機能を発見したのは、平賀教授だということですが……」
ミク:「平賀博士はわたしの機能を発見して、社長に伝えただけです。博士も、わたしの機能を重視していませんでした」
ミクの歌唱機能を最大限を発揮すると、人間の脳幹を停止させる大量虐殺兵器に変わる。
そこを上手く調整したのが平賀と敷島のコンビだ。
開発者の南里は危険過ぎると海洋投棄したのだが、弟子の平賀がそれを回収してしまった。
結果的には平賀の判断は正しかったと言える。
ミク:「エミリーはあの調子ですし、プロデューサーさんの朝ご飯はわたしが用意しますね」
井辺:「ああ、初音さん。助かります」
そして、シャワー室では……。
エミリー:「気持ちいいです。社長、ありがとうございます」
敷島:「大事な『お人形さん』をきれいにしてやるのも、持ち主の義務だからな」
もちろんアンドロイドは自分で自分の体を洗うことができる。
元はテロ用途として製造されたバージョン・シリーズでさえ、そうしようとするくらいだ。
街角のガソリンスタンドの洗車機を無断使用したことが相次ぎ、大問題となったことがあるくらいだ。
その度にエミリーとシンディが、どつき回したほどである。
しょうがないので、洗車機を改造した洗浄機をアリスが開発し、それをバージョン達に使わせることで収束した。
エミリー:「んっ……ん……!」
エミリーが下半身に力を入れると、ゴボッと秘所から白濁したドロリとした液が出て来る。
透かさずそれを洗い流してやる敷島。
エミリー:「いっぱい出されましたね……。きっと、人間の女性なら妊娠してしまいます……」
エミリーは恍惚とした顔で言った。
敷島は後ろからエミリーを抱きしめた。
敷島:「お前が人間だったらなぁ……。俺はお前と……」
エミリー:「社長……」
エミリーは恍惚とした顔で敷島の手を握った。
が、その顔が一瞬、恍惚の表情からほくそ笑むものに変わった。
それは人間に支配されるべきAIが、支配してやったという勝ち誇った顔のように見えた。
[同日07:00.天候:曇 敷島エージェンシー事務室・打合せコーナー]
井辺はミクに用意された朝食を取っていた。
といってもパック容器の白飯(つまり、サトーのごはん)を電子レンジで温め、おかずは缶詰や真空パックで保存されていたもの、味噌汁はフリーズドライのものを熱湯で戻しただけであった。
井辺:「本当に非常食ですね。でもまあ、備蓄していて良かったですよ。いただきます」
ミク:「どうぞどうぞ」
打合せコーナーの椅子に座り、机の上に並べられた朝食に箸をつける。
ラジオを点けてそれをBGMとするが、やはり流れて来るのは台風情報である。
〔「……首都圏の鉄道に関する情報です。まず、各新幹線ですが、東海道新幹線のみ始発から運転を再開しました。今後、概ね平常運行を行うとしています。……」〕
井辺:(やはり在来線の運転再開は昼頃からか……。せめて首都高でも復旧してくれれば……)
ラジオを聞いていると、それもどうやら昼頃のようである。
敷島:「あ、井辺君。ここにいたのか」
井辺:「社長。すいません、先に朝食頂いてました」
敷島:「いや、いいよ。それで、交通機関の復旧はいつだって?」
井辺:「やはり在来線も首都高も、昼頃になるようです」
敷島:「そうか。やはりなぁ……。取りあえず、昼まではゆっくりしよう。復旧したらそれで帰ろう。今のところ、シンディからは何の連絡も無いが、何だか心配になってきた」
井辺:「そうですね。私もそう思います」
敷島:「井辺君の実家は岩槻だったか」
井辺:「そうです。復旧したら車を出していいですか」
敷島:「いいよ。それで一緒に帰ろう」
井辺:「はい、分かりました」
台風が通過した後とはいえ、まだ風の強い豊洲地区。
ビルに目立った被害は無いようだが、とても今の状態では帰れそうになかった。
エミリー:「いざとなったら、私がお2人を抱えて飛びますので」
敷島:「それは頼もしい」
井辺:「いずれ復旧しますから、それを御遠慮しますよ」
敷島と井辺は、こうして台風を乗り切ったのである。
井辺が事務所のトイレで顔を洗っていると、敷島が入って来た。
敷島:「グッモーニーン……」
井辺:「あっ、社長。おはようございます」
敷島:「停電、復旧したんだなー」
井辺:「あ、社長は御存知だったんですね」
敷島:「俺がトイレから出ようとしたら、バチッと切れやがったからさぁ……」
井辺:「そうだったんですか。私は恥ずかしながら、爆睡してて気が付きませんでした」
敷島:「いや、いいんだよ。その方がいい。知らぬが仏って言うからな」
井辺:「はあ……」
敷島:「チラッとさっきテレビを見たんだが、どうやら一夜明けても交通機関は復旧しないらしい。早くても、今日の昼頃だそうだ」
井辺:「やはりですか……。下の被害はどうだったんでしょう?」
敷島:「それはまだ分からん。だけど、まだしばらくこの事務所にいた方が良さそうだな」
井辺:「はい」
敷島:「ま、非常食も飲料水も備蓄してあるから心配すんな」
井辺:「はい、それはもう……」
敷島:「じゃ、取りあえず俺はエミリーの体洗って来てやるから。シャワー使う?」
井辺:「いえ、私は昨夜使わせて頂いたので……」
敷島:「あ、そう」
井辺:「初音さんからぼんやり聞いたんですが、昨夜はエミリーさんとお楽しみだったそうで……」
敷島:「ちっ、ミクにはバレてたか。エミリーのヤツ、凄いよ。タマが空になるまで搾り取られた……」
井辺:「は、はあ……」
敷島:「井辺君にも後で貸してあげるからね」
井辺:「いえ、結構です。遠慮しておきます。レイチェルで懲りましたから」
敷島:「あ〜、そうか。まあ、いいや。井辺君も昼くらいまで寝てていいよ」
井辺:「いえ、取りあえず情報収集に当たります」
井辺がそう言うと、敷島は頷いてエミリーをシャワー室に連れて行った。
井辺:「あれだけマルチタイプを使いこなす人間は、やはり珍しいのかもしれない……」
初音ミク:「わたしも、社長は凄い人だと思います」
井辺:「ですね」
ミク:「何せ兵器として開発されたわたしを、ボーカロイドとして再生してくれた人ですから」
井辺:「最初にその機能を発見したのは、平賀教授だということですが……」
ミク:「平賀博士はわたしの機能を発見して、社長に伝えただけです。博士も、わたしの機能を重視していませんでした」
ミクの歌唱機能を最大限を発揮すると、人間の脳幹を停止させる大量虐殺兵器に変わる。
そこを上手く調整したのが平賀と敷島のコンビだ。
開発者の南里は危険過ぎると海洋投棄したのだが、弟子の平賀がそれを回収してしまった。
結果的には平賀の判断は正しかったと言える。
ミク:「エミリーはあの調子ですし、プロデューサーさんの朝ご飯はわたしが用意しますね」
井辺:「ああ、初音さん。助かります」
そして、シャワー室では……。
エミリー:「気持ちいいです。社長、ありがとうございます」
敷島:「大事な『お人形さん』をきれいにしてやるのも、持ち主の義務だからな」
もちろんアンドロイドは自分で自分の体を洗うことができる。
元はテロ用途として製造されたバージョン・シリーズでさえ、そうしようとするくらいだ。
街角のガソリンスタンドの洗車機を無断使用したことが相次ぎ、大問題となったことがあるくらいだ。
その度にエミリーとシンディが、どつき回したほどである。
しょうがないので、洗車機を改造した洗浄機をアリスが開発し、それをバージョン達に使わせることで収束した。
エミリー:「んっ……ん……!」
エミリーが下半身に力を入れると、ゴボッと秘所から白濁したドロリとした液が出て来る。
透かさずそれを洗い流してやる敷島。
エミリー:「いっぱい出されましたね……。きっと、人間の女性なら妊娠してしまいます……」
エミリーは恍惚とした顔で言った。
敷島は後ろからエミリーを抱きしめた。
敷島:「お前が人間だったらなぁ……。俺はお前と……」
エミリー:「社長……」
エミリーは恍惚とした顔で敷島の手を握った。
が、その顔が一瞬、恍惚の表情からほくそ笑むものに変わった。
それは人間に支配されるべきAIが、支配してやったという勝ち誇った顔のように見えた。
[同日07:00.天候:曇 敷島エージェンシー事務室・打合せコーナー]
井辺はミクに用意された朝食を取っていた。
といってもパック容器の白飯(つまり、サトーのごはん)を電子レンジで温め、おかずは缶詰や真空パックで保存されていたもの、味噌汁はフリーズドライのものを熱湯で戻しただけであった。
井辺:「本当に非常食ですね。でもまあ、備蓄していて良かったですよ。いただきます」
ミク:「どうぞどうぞ」
打合せコーナーの椅子に座り、机の上に並べられた朝食に箸をつける。
ラジオを点けてそれをBGMとするが、やはり流れて来るのは台風情報である。
〔「……首都圏の鉄道に関する情報です。まず、各新幹線ですが、東海道新幹線のみ始発から運転を再開しました。今後、概ね平常運行を行うとしています。……」〕
井辺:(やはり在来線の運転再開は昼頃からか……。せめて首都高でも復旧してくれれば……)
ラジオを聞いていると、それもどうやら昼頃のようである。
敷島:「あ、井辺君。ここにいたのか」
井辺:「社長。すいません、先に朝食頂いてました」
敷島:「いや、いいよ。それで、交通機関の復旧はいつだって?」
井辺:「やはり在来線も首都高も、昼頃になるようです」
敷島:「そうか。やはりなぁ……。取りあえず、昼まではゆっくりしよう。復旧したらそれで帰ろう。今のところ、シンディからは何の連絡も無いが、何だか心配になってきた」
井辺:「そうですね。私もそう思います」
敷島:「井辺君の実家は岩槻だったか」
井辺:「そうです。復旧したら車を出していいですか」
敷島:「いいよ。それで一緒に帰ろう」
井辺:「はい、分かりました」
台風が通過した後とはいえ、まだ風の強い豊洲地区。
ビルに目立った被害は無いようだが、とても今の状態では帰れそうになかった。
エミリー:「いざとなったら、私がお2人を抱えて飛びますので」
敷島:「それは頼もしい」
井辺:「いずれ復旧しますから、それを御遠慮しますよ」
敷島と井辺は、こうして台風を乗り切ったのである。
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