報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校」

2018-12-01 20:20:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日09:00.天候:晴 東京都台東区上野 学校法人東京中央学園上野高校]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はリサの中学校で校内対抗球技大会が行われる為、同じ学校法人が運営する高校の第2体育館までやってきた。

 司会:「皆様、おはようございます。只今より、第52回東京中央学園墨田中学校校内対抗球技大会を開催致します。私、開会式並びに閉会式の司会を務めさせて頂きます、総務担当の矢島と申します。よろしくお願い致します。それでは初めに、当作品の作者であります雲羽百三監督が開会宣言を行います。監督、よろしくお願いします!」

 な、何故作者が自ら?
 勤務中を抜け出して来たのか、警備員の制服を着たままだぞ?!
 とにかく作者は壇上に上がる。

 雲羽:「コホン。えー……みんなぁぁぁっ!ニューヨークへ行きたいかぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!」

 ズドーン!(ライフルが発射される音)
 バシュッ!(作者の頭に直撃する)

 八島:「えー、今回の大会におきまして、私の方より1つ注意を申し上げます。物語の流れを乱す行為は重大な罪障と見なされ、その制裁と致しまして、現在連載休止中の“アンドロイドマスター”シリーズの世界よりゲストキャラとしてお招き致しました、マルチタイプ姉妹のエミリーさん並びにシンディさんより狙撃の対象となりますので、ゆめゆめおフザけの過ぎることの無いよう、固く固くお断わり申し上げます。それでは、張り切って参りましょう。レッツゴー・ミュージック!……スーポットライトに♪照〜らされて〜♪そ〜ろり♪そ〜ろりと帯を解く〜♪」

 ズドーン!(ライフルが発射される音)
 バシュッ!(アデランスの頭に直撃する)

 愛原:「おい、大丈夫なのか、この学校?」
 高橋:「先生、今からでもリサを転校させた方がいいかもしれないですよ?」

 もっとも、私達がここに来たのはリサの応援だけではない。

 愛原:「試合はトーナメント制か。リーグ制ではないんだな」
 高橋:「そりゃまあ、野球じゃないですからね」
 愛原:「この分だとリサのクラスは、結構試合開始が遅いぞ?」
 高橋:「先に行動しちゃいますか?」
 愛原:「そうだなぁ……」

 と、そこへ……。

 ???:「失礼。あなたが愛原学さんですか?」

 私に声を掛けて来る壮年の紳士がいた。
 見た目は私よりも年上そうだ。

 愛原:「あ、はい、そうですが?」
 ???:「私、斉藤絵恋の父親で斉藤秀樹と申します。以後、お見知り置きを」

 斉藤さんの親父さんか!
 ご丁寧にスーツ着用で、名刺を差し出している。
 私も急いで名刺を差し出した。

 愛原:「都内で探偵事務所を経営しております愛原と申します。よろしくお願い致します」

 名刺には『ゼンニチホールディングス(株)100%出資 全日本製薬(株)代表取締役社長 斉藤秀樹』と書かれていた。

 愛原:「あのゼンニチグループの製薬会社の社長さんでしたか!」

 元々はこの製薬会社が屋台骨。
 会社が大きくなったので、持ち株会社(ホールディングス)を立ち上げた所は他の大企業と流れは同じだ。
 愛称として『ゼンニチ製薬』とか『ゼンニチ薬品』とか呼ばれている。

 斉藤秀樹:「はい。愛原リサさんは……あなたの娘さんですか?」
 愛原:「あ、いえ。……あ、はい」
 斉藤秀樹:「ん?」
 愛原:「厳密に言えば、血の繋がった親子ではありません。里親のようなものです」
 斉藤秀樹:「……なるほど。そういうことでしたか。いや、これはデリケートな問題に首を突っ込んでしまって、真に申し訳無い」

 斉藤社長は私に頭を下げた。

 愛原:「あ、いえ。とんでもないです。どうぞ、お気になさらないでください」

 私が慌てて手を振った。

 斉藤秀樹:「愛原さん達がこの学校に来たのは、娘さんの応援だけですか?」
 愛原:「え!?」
 高橋:「お、オッサン……!」
 斉藤秀樹:「いえ。あの霧生市のバイオハザードから生き延びた英雄さんということで、注目されてましたから、もしかしたらと思いまして」
 愛原:「それにしても飛躍的過ぎますよ。社長こそ、何か御存知なんじゃないですか?」
 斉藤秀樹:「実はそうです」
 愛原:「えっ?」
 斉藤秀樹:「私は高校はここを卒業しました」
 愛原:「ええっ!?」
 斉藤秀樹:「今はだいぶ落ち着きましたが、私が高校生だった30年以上も前は色々と悪い噂の絶えない学校だったんですよ。いえ、80年代ならではの『荒れた学校』とかではありません。色々と……噂があったんですよ。もしかしたら愛原さんは、そのうちの1つを調査しに来られたのではないかと思いましてね」

 斉藤社長は私が受けた依頼内容を知っている!?
 いや、クライアントさんは別にいるぞ。
 ただの偶然か?
 それとも、カマを掛けているだけか?
 しかし、高橋が言った。

 高橋:「先生、思い出しました。ゼンニチといったら、アンブレラとつるんでいた会社ですよ。もちろん今の民間軍事会社の方ではなくて、悪名高い製薬会社の方です」
 斉藤秀樹:「いやあ、バレてしまいましたか。当時はまだ中小企業だったもので、どうしても大企業におもねる必要があったのです。今では、おもねられる側になりましたが。もっとも、アンブレラの汚い口車に乗せられて、危うく共倒れになる所でしたよ」
 愛原:「うちのリサのことも御存知なんですか?」
 斉藤秀樹:「アンブレラの裏の顔は知っていました。ただ、日本では表の顔のみで営業していたので、日本で営業している限りは影響が無いと思っていたのです。アンブレラのアメリカ本体が様々な生物兵器を裏で開発していた、ということですね」

 一応、日本アンブレラはアメリカ本体から預かっていただけに過ぎないとされている。
 但し、管理が杜撰だったのと、リサとタイラントが復讐の為にウィルスをバラ蒔いたのが事実である。

 高橋:「オッサン、それと俺達の仕事の何が関係あるってんだ?」
 斉藤秀樹:「あなたの仕事の依頼内容を当ててみせましょうか。ズバリ、この学校の科学室に用があるのではないですか?」
 愛原:「!!!」

 私が表情を変えると、斉藤社長は溜め息をついた。

 斉藤秀樹:「なるほど。やはり、あの噂は本当だったのですね。いや、まだ確信は無いが……」
 愛原:「斉藤社長、もし差し支えが無かったら、その噂の内容を教えてはもらえませんか?」
 斉藤秀樹:「いいでしょう。……ここでは人が多過ぎますね。ちょっと場所を変えましょうか。どうせまだ1年3組の試合は、まだ先のようです」
 愛原:「はい」

 私達は体育館の外に出た。
コメント
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