報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道師達のクリスマス 2018」 2

2018-12-25 19:12:08 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月24日19:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 ダンテ:「ワハハハハ!違った意味で、メリークリスマス」
 アナスタシア:「先生ったら、今年はお茶目ですわねー」
 イリーナ:「あら?先生はいつも面白い御方よ?」
 ダンテ:「聖ニコラウスのマネをしてみたよ」

 大師匠のダンテ・アリギエーリは、直弟子達にプレゼントを配る。
 ダンテの直弟子の中に、イリーナがいるわけである。
 つまり、マリアや稲生などは孫弟子に値するわけである。

 マリア:「師匠達は大師匠様のお相手で忙しいから、私達は気楽に……」
 イリーナ:「マリア!ダンテ先生のシャンパンがもう無いわよ!早く持って来なさい!」
 アナスタシア:「アンナ!早くターキー(七面鳥)お持ちして!」
 マリア:「……できないんだよなぁ……」
 アンナ:「アンタはまだ後輩がいるからいいでしょ!」
 マリア:「勇太はレセプション係で忙しいの。そっちは人数多いからいいじゃない」
 アンナ:「てか、エレーナはどこ行きやがった?」

 上下関係の厳しい魔道師の世界。
 マリアの思惑は思いっ切り外れる。
 尚、料理などに関してはマリアのメイド人形が作るのでそれは世話無い。
 この時ばかりは、マリアのメイド人形もフル稼働させることになる。

 エレーナ:「それではここで余興をお送りしたいと思いまーす!後輩のリリアンヌによるソロライブでーす!」
 リリアンヌ:「ヒャーッハハハハハハハーッ!デビル・クリスマスソング、いっくぜーっ!!」

 リリアンヌの趣味はヘヴィメタル。
 エレキギターを持たせ、メイクを施して衣装に着替えると、まるで別人のようになる。
 普段はおどおどしていて吃音症もヒドいものだが、酒を飲むとこの調子だ。

 リリアンヌ:「Fuck in Bad Gods!」

 フランス人なのだが、ダンテ門内の公用語は英語となっている為、ここでは英語で歌うのだろう。

 稲生:「お、始まったね?リリィのヘヴィメタ」
 エレーナ:「魔女のクリスマスソングは、神のコキ下ろしだからな。全く。これじゃ、火あぶりにもされるよ」
 稲生:「ははは……」
 エレーナ:「ああ、そうそう。実は最初の歌詞、『Fuck in Buddha and God』だったんだけど、稲生氏が仏教徒だから変えさせといたよ」
 稲生:「お気遣いありがとう。てか、仏様もディスる気か」
 エレーナ:「まあ……。魔女にとっては神も仏も頼りにならない存在だから。契約通りにキッチリ動いてくれる悪魔の方がよっぽど信用できるってわけ」
 稲生:「なるほど」

 リリアンヌ:「メルシー!」

 最後だけフランス語だったりする。

 マリア:「コラ、エレーナ!手が空いてるなら手伝え!」
 エレーナ:「残念。ポーリン先生から、余興を頼まれてるの。じゃ、そゆことで」

 逃げるエレーナ。

 稲生:「はは……。逃げ足だけは速い」
 マリア:「笑い事じゃない!」
 ダンテ:「まあ、いいから。キミ達はキミ達で楽しみなさい」
 マリア:「は、はい!」

 いつの間にか背後に来ていたダンテにびっくりするマリア。

 ダンテ:「少し背が伸びたか?ふむ。体付きも成長したようだ」
 マリア:「け、契約悪魔が、勇太とバランスが取れるようにって、調整したみたいです……」
 ダンテ:「そうかそうか。よーし!成長のお祝いに、何か買ってあげよう!」

 ダンテはヒョイとマリアを持ち上げた。

 マリア:「きゃあ!?」

 そして、自分の左肩と腕に乗せる。

 ダンテ:「キミ、近くにトイザらスは無いかね?」
 稲生:「と、トイザらスですか!?」
 イリーナ:「センセ、『孫娘にクリスマスプレゼント買いに行くお祖父ちゃん』じゃないんですからぁ〜w」
 ダンテ:「何の何の!私にとってお前達は娘、このコ達は孫だ!」
 イリーナ:「やーだ、先生ったらぁ〜!ワタシ、まだそんな歳じゃないですよぉ〜w」
 マリア:(御先祖様くらい歳離れてます……)
 アナスタシア:「先生、そろそろ降ろしてあげてくださいな?スカートが捲れて、パンツが見えちゃってます」
 マルファ:「あれれ〜?黒パンだ〜!なになに?勝負下着!?誰に勝負すんの!?」
 マリア:(弟子を公開処刑にする師匠達……)

 やっと解放されたマリア。

 稲生:「ぼ、僕は見てません!マリアさんのパンツ見てません!」
 マリア:「姉弟子のピンチ!見てもいいから助けろ!」
 稲生:「ええっ!?」

 リリアンヌ:「ドーモアリガトー!」

 一曲歌い終わる毎に、御礼の言葉を変えているようだ。
 最後は片言の日本語で叫んだ。

 リリアンヌ:「……ヒック!」

 ソロライブの会場たる大食堂からエントランスホールに出たリリアンヌ。

 ダンテ:「キミぃ、よく頑張ったじゃないか!ん?」
 リリアンヌ:「大師匠様?!光栄だぜ……です!」
 ダンテ:「いやあ、我が門も世代が変わると面白いねぇ!」
 リリアンヌ:「メルシー!」
 ダンテ:「だが、酒の飲み過ぎはイカンなー」
 リリアンヌ:「フヒ!?」

 ダンテ、今度はリリアンヌをヒョイと持ち上げる。

 リリアンヌ:「フヒーッ!?」
 ダンテ:「飲み過ぎるコにはお仕置きだ!お尻ペンペンだ!」
 リリアンヌ:「ヒャアー!?」
 イリーナ:「先生も飲み過ぎですよ〜。じゃあ、私も先生にお尻ペンペン
 ダンテ:「おおっと!これは一本取られたな〜!いやあ、キミ、すまなかった。よし、頑張った褒美にプレゼントをしよう。今使っているギターを新調するかい?」
 リリアンヌ:「……ヒック!ほ、ほほ、本当ですか……ィック!」
 ダンテ:「思えば、孫達にはサンタクロースを寄越していなかったな。何しろ、娘達が強欲だからなぁ〜?」
 稲生:「欧米の無礼講って、ガチなんだな……」

 日本の場合は『無礼講という名の気遣い』なのだが。

 マリア:「だいたい、『朝まで泥酔派』って師匠達のことだから、私達はもう先に寝ちゃっていいことになってるからね」
 稲生:「なるほど……」
 エレーナ:「その前にリリィが酔い潰れたから、寝かしてくるからな。部屋借りるぞー」
 マリア:「西側ね!西側!東側は勇太の部屋があるから!」
 エレーナ:「じゃあ、東側に寝かしとく。稲生氏は昨年の借りがあるから、稲生氏だけはリリィを襲う権利がある」
 稲生:「そんな権利いらないよ!」
 マリア:「またしれっと人をデストラップに掛けようとする!」

 魔道師達のクリスマスは今年も盛り上がったようである。
コメント (1)
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