Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

岐路に立つ普及事業     杉本忠利(全国農業改良普及協会)

2007年10月10日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 普及事業に深く関わった著者(元農林水産技術会議事務局研究総務官)が農業改良助長法改正(H17・4施行)の4年前に書いた一冊。苦渋に満ちた思い入れ(提言)が行間から溢れるが、現場では、この内容に沿った「大変革」が進行中であり、「これも宿命」と解する次第

 

○浜田陽太郎(元立教大総長):普及事業は歴史からみれば、スタートの時点から今に至るまで、政治哲学が薄くなればなるほど、折りあらばたたかれる性格を持っていた。なくなりはしないだろうが、絶えず風雨にさらされて行く仕事という宿命を持つ
○重要なことは、行政からの注文や期待を普及センターは地域の課題として受けとめ直すというプロセスが不可欠なことである
○極論すれば事業に付随した単なるサービス活動である!
○意図的な普及活動によって管内の農業者が生き生きと農業に従事でき、地域の活性化が図れれば、農業者はもとより関係者から高い評価を得る
○普及活動の変遷
 ・昭和20~30年代初め:食糧増産、農薬(2-4D、有機水銀)、動噴
 ・昭和30年代:早期栽培、選択的拡大
 ・昭和40年代半ば:生産過剰、遊休農地、担い手減少
  「日本型普及事業」-専門から地域分担へ
 ・昭和40年代半ば以降:先進技術を総合的に駆使 
   安易に取り組める農政普及-脱技術化傾
○何が必要な技術かは、普及員が問題意識や的確な地域を見る目を持って活動していれば、現場が教えてくれるはずである
○アメリカの普及事業:普及員すべて博士号
○デンマーク  〃 :有料化、農業者との議論
○研究者の4P:①ペーパー、②パテント、③プライズ、④パフォーマンス
○小倉武一(元農業改良局長):「稲を作るより田を作れ、田を作るより人を作れ」
○人づくりは普及事業の目的なのか手段なのかという問題はある
○技術の開発と普及は農政の根幹
○普及事業に関する時代認識
 ①高い資質が要求される時代
 ②能動的な活動が要求される時代
 ③厳しい選別が必要な時代
 ④競争の時代
 ⑤情報化時代
○一人ひとりの普及員が頑張ることが基本 → だからこそシステム化!!

コメント
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