解放のめど立たず、政府は領土問題避け交渉 拿捕事件 (朝日新聞) - goo ニュース
この事件については事実確認が第一である、と外交素人の私は考えたが、どうも政府の方針は異なるようだ。
この朝日の記事では《政府は刑事訴追などの司法手続きには触れず、即時解放を繰り返し求めている。国境通過の不法性などをめぐりロシア側と争うと、北方領土問題に踏み込まねばならず、乗組員の解放に一層時間がかかりかねないとの判断からだ》と伝えられている。
漁船が発見され銃撃を受け、そして拿捕された地点が、ロシアの主張する領海内か領海外であるのかを論議すること自体、相手の土俵に上がったことになるから、その論議を避けるのだと言われれば、それはそれで私も理解できる。
択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島の北方四島の領有権を日本が主張しているものの、現在はロシアの実効支配下にあるから、このような問題が起こる。戦後61年経っても状況に進展はなく、この調子でいくとわれわれ戦争をくぐり抜けた世代の目が黒いうちに北方領土問題は解決しそうもない。
昭和20年8月8日にソ連(=ロシア)が国際的にも有効な中立条約を一方的に破棄して日本に宣戦布告し、火事場泥棒を働いた非道は許し難いが、理不尽を我慢するのが戦争に負けたものの宿命というものであろう。しかし一泡吹かせたい気持ちは消えることはない。そのようなことを考えていると、連想に連想が働きだした。
小林多喜二の「蟹工船」という小説がある。私が最初に読んだ本は伏せ字が多くて、想像力を働かせながら読んだものであるが、今では復元された完本になっている。
千島列島の北のはずれをロシアのカムカッチャ半島が首を突き出して押さえ込んでいる。第二次大戦までは日本がその沿岸漁業権を得て、サケ・マス漁区とカニ漁区を経営しており、そのあたりまで蟹工船が漁獲に出かけたのである。その漁場から比べると、今回の銃撃事件のあった場所は、玄関から一歩踏み出したあたりと云ってよく、今昔の感がある。
この小説では食い詰めものの漁夫達が「タコ部屋」ならぬ「糞壺」に詰め込まれ、劣悪な状況でこき使われるさまが描かれているが、その蟹工船が大日本帝国海軍の駆逐艦に守られて漁に出かけていたのである。なぜか。蟹工船で監督が漁夫達あいてにぶった演説を聞けば分かる。
「蟹工船の事業は、ただ単にだ、一会社のもうけ仕事と見るべきではなくて、国際上の一大問題なのだ。われわれが - われわれ日本帝国人民が偉いのか、露助が偉いか。一騎打ちの戦いなんだ。(後略)」
「日本帝国の大きな使命のために、おれたちは命を的に、北海の荒波を突っ切っていくのだということを知っててもらわにゃならない。だからこそ、あっちへ行っても始終わが帝国の軍艦がわれわれを守っていてくれることになっているのだ・・・(後略)」と言う次第なのである。
非人間的な扱いに耐えかねた漁夫達はストライキに立ち上がる。そして監督や船長などを監禁してしまう。が、まもなく駆逐艦がやって来た。「わが帝国の軍艦だ。おれたち国民の味方だろう」だとばかりに漁夫達は「帝国軍艦万歳」を叫ぶのだが、なんと着け剣をした水兵が乗船してくる。結末が気になる方はぜひこの本に目を通していただきたい。
要するに昔からこのあたりでの漁獲をめぐってロシアと競り合いが絶えなかったのだ。だからこそ帝国軍艦までが国益保護に乗り出した。今回銃撃を受けた第31吉進丸が、ロシアの艦船に銃撃されうる危険を承知しつつロシアの主張する領海侵犯と密漁を断行したとするなら、考えようによれば昔の蟹工船よりも徒手空拳で出かけた分、大胆というか勇敢だったともいえる。もともと『倭寇』でならした国の末裔だから、今更驚くことではないかもしれないが・・・。
そこで思うのだが、いっそうのこと、国が資金を秘かに供給して速度が50ノットを上まわる高速漁船を大量に製造して一大高速漁船団を作り上げ、日本の北方領海で神出鬼没してロシア監視船を翻弄し、漁業を実効支配してしまうというプランはどうであろう。そういうことを大胆不敵にやれそうな次期首相としては安倍さんでは線が細すぎるが、地元北海道あたりに適任者がいるような気がする。妄言多謝。
この事件については事実確認が第一である、と外交素人の私は考えたが、どうも政府の方針は異なるようだ。
この朝日の記事では《政府は刑事訴追などの司法手続きには触れず、即時解放を繰り返し求めている。国境通過の不法性などをめぐりロシア側と争うと、北方領土問題に踏み込まねばならず、乗組員の解放に一層時間がかかりかねないとの判断からだ》と伝えられている。
漁船が発見され銃撃を受け、そして拿捕された地点が、ロシアの主張する領海内か領海外であるのかを論議すること自体、相手の土俵に上がったことになるから、その論議を避けるのだと言われれば、それはそれで私も理解できる。
択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島の北方四島の領有権を日本が主張しているものの、現在はロシアの実効支配下にあるから、このような問題が起こる。戦後61年経っても状況に進展はなく、この調子でいくとわれわれ戦争をくぐり抜けた世代の目が黒いうちに北方領土問題は解決しそうもない。
昭和20年8月8日にソ連(=ロシア)が国際的にも有効な中立条約を一方的に破棄して日本に宣戦布告し、火事場泥棒を働いた非道は許し難いが、理不尽を我慢するのが戦争に負けたものの宿命というものであろう。しかし一泡吹かせたい気持ちは消えることはない。そのようなことを考えていると、連想に連想が働きだした。
小林多喜二の「蟹工船」という小説がある。私が最初に読んだ本は伏せ字が多くて、想像力を働かせながら読んだものであるが、今では復元された完本になっている。
千島列島の北のはずれをロシアのカムカッチャ半島が首を突き出して押さえ込んでいる。第二次大戦までは日本がその沿岸漁業権を得て、サケ・マス漁区とカニ漁区を経営しており、そのあたりまで蟹工船が漁獲に出かけたのである。その漁場から比べると、今回の銃撃事件のあった場所は、玄関から一歩踏み出したあたりと云ってよく、今昔の感がある。
この小説では食い詰めものの漁夫達が「タコ部屋」ならぬ「糞壺」に詰め込まれ、劣悪な状況でこき使われるさまが描かれているが、その蟹工船が大日本帝国海軍の駆逐艦に守られて漁に出かけていたのである。なぜか。蟹工船で監督が漁夫達あいてにぶった演説を聞けば分かる。
「蟹工船の事業は、ただ単にだ、一会社のもうけ仕事と見るべきではなくて、国際上の一大問題なのだ。われわれが - われわれ日本帝国人民が偉いのか、露助が偉いか。一騎打ちの戦いなんだ。(後略)」
「日本帝国の大きな使命のために、おれたちは命を的に、北海の荒波を突っ切っていくのだということを知っててもらわにゃならない。だからこそ、あっちへ行っても始終わが帝国の軍艦がわれわれを守っていてくれることになっているのだ・・・(後略)」と言う次第なのである。
非人間的な扱いに耐えかねた漁夫達はストライキに立ち上がる。そして監督や船長などを監禁してしまう。が、まもなく駆逐艦がやって来た。「わが帝国の軍艦だ。おれたち国民の味方だろう」だとばかりに漁夫達は「帝国軍艦万歳」を叫ぶのだが、なんと着け剣をした水兵が乗船してくる。結末が気になる方はぜひこの本に目を通していただきたい。
要するに昔からこのあたりでの漁獲をめぐってロシアと競り合いが絶えなかったのだ。だからこそ帝国軍艦までが国益保護に乗り出した。今回銃撃を受けた第31吉進丸が、ロシアの艦船に銃撃されうる危険を承知しつつロシアの主張する領海侵犯と密漁を断行したとするなら、考えようによれば昔の蟹工船よりも徒手空拳で出かけた分、大胆というか勇敢だったともいえる。もともと『倭寇』でならした国の末裔だから、今更驚くことではないかもしれないが・・・。
そこで思うのだが、いっそうのこと、国が資金を秘かに供給して速度が50ノットを上まわる高速漁船を大量に製造して一大高速漁船団を作り上げ、日本の北方領海で神出鬼没してロシア監視船を翻弄し、漁業を実効支配してしまうというプランはどうであろう。そういうことを大胆不敵にやれそうな次期首相としては安倍さんでは線が細すぎるが、地元北海道あたりに適任者がいるような気がする。妄言多謝。