日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

シュレッダー事故に思う

2006-08-24 17:38:33 | Weblog
シュレッダーで幼児の指切断 経産省が注意呼びかけ (朝日新聞) - goo ニュース

「身体髪膚,之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは,孝の始めなり」

「孝経」にあるこのよく知られた言葉は、自分の身体の全ては父母より与えられたもの、だから身体を傷つけないように大事にすることが、取りも直さず父母への孝行になる、と教えているのであろう。

この解釈では、子供にこうしなさい、と説いていることになるが、私には同時に親の義務を説いているとも思えるのである。

野生動物ですら親は子供を生みっぱなしにはしない。独り立ちするまではいろいろと面倒を見る。獲物の取り方を伝授するのはもちろん、危険から身を避けるための術を教える。人間となればなおさらのこと、生んだだけでは身体髪膚を授けたことにならず、それだけで子供からの親孝行を期待するのは虫が良すぎる。子供が物心がつき集団生活を始めるまでは、親の完全な庇護が欠かせない。子供を病気やあらゆる危険から守るのはもちろんのこと、そのような危険に近づかないように教え込まなければならない。健全な心身を育んでこそ、親として身体髪膚を子供に授けたことになる。

今回の痛ましい事故が起きて、一番心を痛めているのは幼児の親(保護者)であろうと思う。目を離した一瞬の隙にこのような事故が起こったのであれば、親としては悔いても悔い切れない思いであろう。親が気をつけておれば防げた事故だからである。

今回の場合、メーカーに製造者責任があるとは私は思わない。安全管理は使用者側の責任である。どこの家庭にもある包丁のような刃物は、扱いようによっては危険極まりのないもので、だからこそ乳幼児が簡単に触れるようなところに置いている家はまずあるまい。いわばその扱いと同じようなものではないか。事故を再発させないためにも、世の中は危険なものに充ち満ちていることをまず親が認識して、子供、とくに乳幼児をこのような危険から遠ざけることに万全の注意を払うのは親として最小限の義務であろう。