日々是好日

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停電事故に唱歌「村の鍛冶屋」を思い出す

2006-08-15 14:02:38 | Weblog
首都圏の大規模な停電事故は、クレーン船の乗組員によると《船を係留するために川底に打ち込むH形鉄骨をクレーンでつり上げていたところ、送電線に接触した》のが原因のようである。何を考え、どこを見て作業をしていたのだろう。絶対にあってはならないことである。

どのような職業に就いていようと、仕事にかける情熱と責任感は人間の生きている証である。

私が国民学校で習った文部省唱歌で、リズムがいいのですぐに口ずさむようになったのが「村の鍛冶屋」である。

 ♪暫時(しばし)も休まず 槌うつ響(ひびき)
  飛び散る火花よ はしる湯玉
  鞴(ふいご)の風さえ 息をもつがず
  仕事に精出す 村の鍛冶屋

 ♪あるじは名高い いっこく者よ
  早起き早寝の 病知らず
  鉄より堅いと 自慢の腕で
  打ち出す刃物に 心こもる

 ♪刀はうたねど 大鎌小鎌(おおがまこがま)
  馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐま) 鋤(すき)よ鉈(なた)よ
  平和のうち物 休まずうちて
  日毎に戦う 懶惰(らんだ)の敵と

 ♪かせぐにおいつく 貧乏なくて
  名物鍛冶屋は 日々に繁昌
  あたりに類なき 仕事のほまれ
  槌うつ響きに まして高し

堀内敬三著「定本 日本の唱歌」によると、この歌は大正元年十二月に尋常小学唱歌四年生用として発表されている。しかし上の歌詞は昭和十七年三月「初等科音楽」に収録されたもので、原作の文語調が口語調に変更されている。また三番、四番は「初等科音楽」では削除されている。

小学四年の生徒に『仕事』とはどういうものか、またどういう姿勢で取り組むものかを歌を通じて教えている。町村合併で日本から『村』がなくなり、鍛冶屋も消えて、この歌も教科書から姿を消してしまった。しかし少なくとも私の心には『仕事に対する献身』の教えが、今も生きている。

仕事の喜びとそれを支える責任感を、ひいては一人一人の生きる姿勢につながるのであるが、今の学校教育ではどのように教えているのだろう。どのような仕事であれ、その道では第一人者になってみせる、そのような心意気を若い世代に植えつけ育む努力は、いかなる時代でも等閑にしてはならないと思う。

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