日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

邦楽の集いで一弦琴を弾いたこと

2010-03-22 20:23:51 | 一弦琴
最近、久しぶりに人前で一弦琴を演奏した。十三弦、十七弦、三弦、尺八など仲間同士で勉強をしている邦楽グループがあって、年に一度の演奏会に一弦琴を、と声をかけていただいたのである。生まれて初めての経験で、いうも烏滸がましいが、芸人にでもなったような気分を味わった。

舞台がよかった。ふつうの家での演奏会で、二間続きの和室の一つを舞台にして、カーテンで仕切ったもう一方が観客席なのである。花街のお茶屋で芸を披露しているようなものである。違うのは幕が開くとお座敷一杯にお客さんが満ちあふれていたことである。この家はかなりの坂を登った高台にあるのに、この大勢の人はなにごと、とまずそれに圧倒された。今年は2回目とのことであるが、企画・世話係の方たちがパブリシティに力を注がれたのだろうか、都会の片隅の思いがけないところでさりげなく開かれていいるこの集いに、かくも大勢の好き者同士が寄り集まってくるというのがとても印象的であった。

演奏者は尺八のみが男性であった。こんな間近で箏曲の演奏を聴いたのははじめてだったので、その迫力にまずは圧倒された。とくに十七弦の弦の太さは中途半端ではない。これを音楽的に弾きこなすにはかなりの体力が必要だろうなと思った。間近であればこそ演奏に力業的な一面のあることを実感できたのも収穫であった。その点、一弦琴はもの静かである。その繊細さを生かす演奏に到達するには精進に切りはなさそうである。私が演奏したのは「四季の山」で、目の前に聴いていただく方が居ることで緊張したが、あとでいくつか好意的なコメントを頂いたのが嬉しかった。

演奏が終わって全員におぜんざいが振る舞われたのもまたユニークで、いろいろと話し合えたのもまた面白かった。書店で林望さんの本を立ち読みしていたら、お稽古ごとには出費がつきもので、能舞台に立たせて貰おうと(素人?が)思ったら200万円とかという話に度肝を抜かれたが、それに比べて邦楽を愛する人たちがそれぞれのものを持ち寄って営んだこの演奏会の暖かみに心が満たされる思いがした。このようなところで演奏の場を与えていただき感謝あるのみである。

その際に演奏した曲とは違うが、昨日今日と、私の一弦琴をYouTubeで公開しようとあれこれ試みて一応アップロードは出来るようになったので、一弦琴「土佐海」を最後に紹介させていただく。




追記(4月13日) 演奏を差し替えた。