日々是好日

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二件の暴走事件 過ちをするのが人間?

2010-03-15 16:49:48 | Weblog
べつに車の評論家ではないが、なにか腑に落ちないのでその背景を自分なりに納得出来るようにと調べたのが、レクサスを運転していたRhonda Smithさんや、プリウスを運転していたJames Sikesさんの暴走事件である。ところが情況を調べ出すと疑問点が続出して、マスメディアが提供する資料だけでは不十分で調べることの限界を感じてしまう。その限られた範囲内ではあるが、この二つの暴走事件に限っても、ドライバーの操作ミスの可能性があまり取り沙汰されていのが気になりだした。

先日の米議会下院で行われた公聴会のオープニングで、トヨタが「unintended sudden acceleration」を最初はドライバーのせいにし、次はフロアマットのせいにして、さらにはガス・ペダルのせいにしてきたとエネルギー商業委員会のWaxman委員長が批判した。たしかに最初から人のせいにしたのはまずかったかな、と思ったが、二つの暴走事故に関する限り、ドライバーの、意図の有無も問題であるが、人為的なミスの可能性をも十分に検討すべきではないのか、との思いが強くなったのである。

「unintended acceleration」は新しい問題ではない。1980年代にも「unintended acceleration」がメーカーや車種を問わず多発していた。州立カリフォルニア大学ロスアンジェルス校の心理学の教授であったRichard A. Schmidtさんは、現在のトヨタと同じように当時槍玉に挙げられたドイツ車アウディ5000でこの問題を150件以上詳しく調査した方である。そのSchmidtさんがThe New York Times(2010年3月11日)に意見を寄せている。それによると「unintended acceleration」は車が大きくても小さくても、価格が高くても安くても、クルーズ・コントロールやエンジンの電子制御システムがあろうとなかろうと、そんなこととは関係なしに起こるもので、唯一共通していたのはオートマチック・トランズミッションであることであった。

要点をかいつまんで言うと、たとえ「ブレーキ優先装置」を導入しても、ブレーキ・ペダルを踏んだつもりでアクセル・ペダルを踏み込むと暴走するし、さらに慌ててブレーキをより強く踏み込むと、実際はアクセルを踏んでいるのであるからスロットルはさらに開き加速することになる。実際の事故は静止状態から発車するときに多くが発生するが、ひょっとした拍子で走行中でもブレーキを踏むつもりでアクセルを踏むと暴走はますます加速する。思い違いと言うことは日常生活でもよくあることで、車の運転に限ってその可能性を排除することはできない。その意味ではドライバーのせい、ということを決して軽んじてはならず、かえって徹底的に疑った方がより早く真相に近づくことになるのではなかろうか。考えてみたらふつうは過ちを犯すのは人間の方で、機械部分に問題が無くても人間が操作を誤るから異常が発生すると考えて方が素直であろう。その意味ではトヨタが電子制御システムに問題は絶対無いと強調することで、人的ミスの方に目を向けさすのは戦術的には正解なのかもしれない。

ところでこの写真は前回紹介した。Corvette owner James Sikes can't handle runaway Priusの記事に掲載されていたものである。


これはSikes氏のプリウスがどこかの駐車場に保管されている様子のようで、それを眺めている人物のジャンパーの背中には「CORVETTE OWNERS CLUB」のロゴが入っているので、この人物はSikes氏であろう。すでに多く公開されている事件現場での正面写真の姿と矛盾はしない。つい先ほど気がついた。このロゴを見て車を停めたハイウエイ・パトロールの警官は違和感を覚えなかったのだろうか。