日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

鳩山由紀夫首相偽装献金問題 日本の頭脳抗議の結集? iPSの特許

2009-11-26 11:40:19 | 放言
鳩山首相の偽装献金問題では、反民主を標榜?している産経ニュースの記事が面白い。

実母から首相に十数億円 実母の参考人聴取も検討

 鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金問題で、同会の会計事務担当だった元公設第1秘書が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、鳩山氏の実母(87)から資金提供があったことを認めた上で、「10年以上前から始まり、鳩山氏の政治活動費などに充てていた」と供述していることが25日、関係者への取材で分かった。総額は十数億円に上り、一部は偽装献金の原資になったという。特捜部は資金提供の経緯などについて、実母への参考人聴取について慎重に検討しているもようだ。

 鳩山氏側が実母の潤沢な資金を個人献金と偽り、長期にわたって政治資金収支報告書の虚偽記載を繰り返していた疑いが浮上した。()中略)

 関係者によると、元秘書は特捜部の聴取に対し、10年以上前から、資金が不足すると実母側に相談して資金提供を受けてきたと説明。「鳩山氏個人の支出についても六幸商会が管理する実母の資金を充てていた」と話しているという。平成14年から資金提供が本格化し、毎月1500万円の提供を受け、16年から20年までの5年間で約9億円、総額では十数億円に上るという。
(2009.11.26 01:45)

実母からの巨額の資金が鳩山氏への個人的な貸付金だったとすると、政治資金規正法にかかわる違法行為とはならないそうである。元秘書はそのように説明しているとのことであるが、常識のある人なら誰一人そんなことを信じるまい。また貸付金云々で法の規正から免れるというのが事実であれば、抜け穴を認める法律が間違っているのであって、直ちに改正しなければならない。亡くなった人や献金をした覚えのない人までが鳩山氏への献金者とされてきたことに、なぜそこまでしなければならないのか理解しかねたが、実母からの資金の流れを隠すためだとするとすんなりと話が通る。

そこまでして集めた鳩山氏の政治資金が誰にどのように流れたのか、これも知りたいところであるが、いずれにせよ政権を親がかりの潤沢な金で買ったとのイメージからは逃れようがあるまい。国会で野党側の手厳しい実態解明を期待する。鳩山氏には政権の座から滑り落ちようと、友愛精神に基づき潤沢な資金で社会奉仕する道は確保されているので遠慮することはあるい。

話は変わって昨日の「事業仕分け」で「国立大学運営費交付金」や「大学の先端的取り組み支援」などが取り上げられたが、残念ながらその実況は見ていないし動画サイトにもまだ登録されていないようなので、新聞で報道される結果しか分かっていない。科学技術予算が軒並みに縮減されていく現状に科学者が異議を唱え始めたが、どうも説得力の弱い声明止まりなのが口惜しい。朝日朝刊の一面に日本の頭脳抗議の結集とノーベル賞やフィールズ賞受賞者の写真が大きく出ていた。昨夜のテレビニュースでその一部が報道されていたが、私の印象に残ったのは利根川進博士のスーパーコンピュータについての発言で、「一位にはなれないと思うけれど、一位を目指さなければ二位にも三位にもはいれない」という含みのある言葉だった。別にノーベル賞学者に言われなくても研究者なら誰でも心得ていることであるから、利根川さんの真意はスーパーコンピュータの必要性を世界一とか、そう言う稚拙な言葉でしか言い表せ得なかった説明者への厳しい批判であると私は受け取った。そう思うとこれは東京新聞の報道であるが

 野依氏も「科学技術予算を減らすのは論外。むしろ倍増しなければならない。優れた研究者も優れたインフラがなければ力を発揮できない」と険しい表情で強調した。
(2009年11月26日)

と出ている。野依良治博士のどのような発言からこの報道になったのかは分からないが、少なくとも東京新聞の記者にはこれが博士の強調点と伝わったのであろう。とするとこのご時世に科学技術予算をむしろ倍増とは、いかにも学者の世間知らずを吹聴しているようで私はいい気がしなかった。そういえば野依博士はスーパーコンピュータ推進のお膝元である理化学研究所の理事長である。この理事長にしてあの「事業仕分け」での説明者なのかな、とふと思った。

私がさすがだと思ったのは江崎玲於奈博士の「(事業仕分けで)大変だというが、日本に科学を根付かせるために我々が考え直すチャンスだ」との言葉である。朝日朝刊が伝えている。基礎研究を日本に根付かせるために若手研究者をどのように育てるべきかが今問われていることなのである。私の考えの一端をやはり目をつけられたか グローバルCOEプログラムなどでご覧頂けると有難い。

同じ朝日朝刊に「iPS 京大新たに2特許」の見出しで山中伸弥教授らの近況が報じられていた。その記事の最後が山中教授の言葉で括られている。

山中教授は会見で「再生医療などで最終的にiPS細胞を使うときには何十、何百の特許が必要になり、一つの研究機関ですべてカバーできないが、重要な特許を押さえることが出来た」と話した。

人間の医療技術のひとつに何十、何百の特許が絡んでくる。これが現実であろうが、人間の細胞を扱うのにそこまで特許が絡んでくるとは考えただけでぞーっとする。これも私の過去ログ大学人、とくに生命科学研究者は特許申請に超然たれをご覧頂ければ幸いである。山中教授も実は特許申請に超然とありたいと心の底から思っておられる科学者であると私は確信している。このように真の科学者を特許申請に駆り立てる今の研究環境は是非とも改めないといけないのに、ますますその反対の方向に走らせようとしているのが今の間違った大学行政・科学行政である。

この「事業仕分け」は考えようによれば、江崎玲於奈博士の言葉のように、日本に科学を根付かせるために我々が考え直すチャンスだと言える。日本の頭脳とも言われる人たちが一部といえ「取り返しのつかない事態」とか「国家存亡にかかわる」なんて、かりそめにも「東条英機」が国民を煽ったような言葉をもてあそび、自らを貶めていただきたくはないものである。妄言多謝。