日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

兵庫県立芸術文化センターで歌のお稽古 ホールの驚異的稼働率

2009-11-25 23:39:28 | 音楽・美術
この12月、日頃レッスンを受けているヴォイストレーニングの成果発表会があるので、歌の練習に時間を割くことが多くなった。この三連休にも21日、23日の両日、西宮芸文センターのリハーサル室・スタジオで練習をした。23日などは午後6時から10時ギリギリまで声を張り上げて帰宅したのは午後11時前、なんとも健全な夜遊びである。

今年はヴェルディのオペラ「椿姫」に挑戦、と言ってもさわりのアリアとか二重唱を歌うだけであるが、素人の恐いもの知らずだからこそやれることなのである。と一応しおらしく言い訳を述べたが、本心は少し違う。昨年、モーツアルトのDON GIOVANNIからドン・ジョバンニがマゼッタとの結婚式に行く途中のツエルリーナを誘惑、小屋に連れ込もうとして歌う小二重唱「手を取り合って」を私は歌ったが、練習時の録音をお遊びの感覚で音楽サイトにアップロードしたところ、かなりのアクセスを頂いたのである。この歌い出しの「La ci darem la mano」をGoogleで検索すると、プロの歌うYouTube動画に引き続いて私の歌が未だにランクされているのである。となれば本気で歌うと検索マシンの気まぐれで、私がプロ歌手を抑えてトップに躍り出ることも夢ではない、と熱に浮かされているのである。

パリの高級娼婦ヴィオレッタを田舎からぽっと出の純情な若者アルフレードが見初め、二人はやがてパリ郊外の家で暮らすようになるが、二人を別れさせようとアルフレードの留守に父親ジェルモンが乗り込んで来る。しかしヴィオレッタが財産を処分してまで生活費を工面していることを知った。でもアルフレードの妹の結婚話に差し障りがあるからぜひ別れてくれとヴィオレッタに頼む。その場面でジェルモンの歌うのが「天使のように清らかな娘」で、「Pur siccome un angelo ・・・」で始まる。ヴィオレッタとの掛け合いに入り、きりの良いところまで10分あまりの二重唱となる。「椿姫」の聴かせどころの一つで、ヴィオレッタはジェルモンにお嬢様のために私は犠牲となって死にます、と言うのに、ジェルモンは思いっきりお泣きなさい、とPiangi Piangiを何遍も繰り返す。

DVDを観たりCDで聴いたりすると実に美しいメロディーと歌声にうっとりとするのだが、これを自分で楽譜を見て歌おうとすると大変で、まず耳から入った音楽が楽譜となかなかマッチしてくれないのである。イタリア語の音符への割り付けは言うにおよばず、リズムの刻み方や調が変わることを楽譜を見るだけでは素人の私にはなかなか追えないのである。それでもヴィオレッタの映像を相手に、なんとか掛け合いが出来るようになったかと思ったのに、いざヴィオレッタ役の先生を相手に歌い出すと、そのような歌い方では相手役が入って来れないよ、と駄目を出された。映像が相手だといくら呼びかけても答えてくれず、心を通わすには至らないが、生身の人間が相手だとシグナルのやり取りをすることで心が通い出すのである。素人談義を始めればきりがないが、一方では、「Pur siccome un angelo ・・・」がある程度納得のいくように歌うことが出来るようになれば、タダの素人とは言わせないぞ、と密かに心に期することがあるので、練習に励んでいるのである。

ところでこの西宮芸文センターのリハーサル室・スタジオの使用料金がきわめて低いのは特筆ものである。ホームページの料金表にでているが、たとえばレハーサル室2は88平米の広さがあり、もちろん鏡、机、椅子、譜面台などすべて揃っていて13時から17時までの4時間使用で土日祝が2800円、平日だと2200円なのである。もっともピアノの使用料は700円余分にかかるが、それにしてもきわめてリーズナブルな料金設定になっている。22平米のスタジオでは午前中9時から12時までだとわずか1000円なのである。どうも補助金が使われているのでこのような料金設定が可能のような気がする。補助金行政に対して私は日頃批判的であるのだが、住民を音楽で幸せにすることに大いに力を貸しているのは確かだから、これなら許せると身勝手ながら思ってしまう。ちなみに平成20年度の年間稼働日数と施設稼働率が計算の仕方はともかく、KOBELCO大ホールで321日/98%、阪急 中ホールで312日/96%、神戸女学院 小ホールで/99%と言うから素晴らしいの一言に尽きる。おそらくこの経営努力は全国的にも注目されていることだろうと思う。これなら「事業仕分け」の対象になることはあるまい。