日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

行政刷新会議「事業仕分け」で浮かび上がった事業起こしの真の動機

2009-11-14 16:32:25 | 社会・政治
建て替えの決まっている東京東銀座の歌舞伎座ではさよなら公演が催されているが、この3月に東京ぶらぶらに出かけたときのお目当ての一つが「元禄忠臣蔵」で、夜の部を楽しんで来た。その3月一杯で歌舞伎座が閉館されるものと思っていたので急いだのに、知り合いがつい最近さよなら公演を観てきたという。その3月とは来年の3月であったようだ。

それはさておき、「元禄忠臣蔵」は言うまでもなく大石内蔵助率いる赤穂浪士が吉良邸に討ち入り、主君浅野内匠頭の仇、吉良上野介の首級をあげる話がメインテーマである。赤穂浪士こそ元禄太平の世の中にあって、初一念を見事貫き通し武士道を全うした義士であると当時の世間も褒めそやしたそうである。しかし赤穂浪士は最初から仇討ち一辺倒に傾いていたのではなく、家老の大石内蔵助などは浅野家再興を第一に考えていた。ところが次々と下される幕府の処分からお家再興が叶わぬ望みとなったので、やむを得ず討ち入りに踏ん切ったとされる。私もそうなのかと思っている一人であるが、異説が無いわけではなく、次のような「トンデモ説」もある。

仇討ちの企みを世間の目から隠すために、大石内蔵助が京都のお茶屋遊びに精を出した話が伝わっている。「仮名手本忠臣蔵」で有名になった祇園一力茶屋での遊興もその流れであろうか。ところが内蔵助がお茶屋遊びに呆けてしまって、気がついてみると元来は浪士のものである遺留金をほとんど使い果たしてしまった。そのことを強硬派に知られると血祭りに上げらるので、それを隠すために討ち入りしてしまったと言うのである。信じる信じないは人の勝手であるが、この「トンデモ説」は一面の真理の反映であるように私には思える。一面の真理とは、主君の仇討ちのように掲げる旗印がまともであれば、本当の動機というか目的を、それが信じがたければ信じがたいほど、うまい具合に覆い隠せるということなのである。

さてこれからが本論である。行政刷新会議「事業仕分け」の実況の一部をさる11日にインターネットで眺めてその感想を「全般的に受けた印象はお役人とはペラペラとよく口の廻るうえに、そのノリでなんとお金をばらまきたがる人種だろうと言うことであった」などと記した。それを今述べた「トンデモ説」的見方をすることで、驚くべき真実が私の目の前に浮かび上がったのである。国の補助金制度は元来高級官僚を始めとする一部の特権階級に合法的に税金を横流しする仕組みに他ならないと言うことなのである。

実況中継は観なかったが、そのあとテレビでも報道されたので世間の人もよくご承知の独立行政法人国立女性教育会館を一例に取り上げる。配付資料によるとその設立経緯や目的は次のようなものである。


こんな作文なんて、実はどうでもよい。一方asahi.comは次のように報じていた。

 行政刷新会議が実施した「事業仕分け」にからみ、教員研修センターの理事長(文部科学省元高等教育局長)が1849万円、各地の青少年自然の家などを運営する国立青少年教育振興機構の理事長(元文科審議官)が1790万円の年間報酬を受け取っていたことがわかった。

 いずれも文科省所管の独立行政法人で、11日の刷新会議では、委員からは「並外れている」「報酬に見合った仕事をしているのか」と批判が続出。両法人とも、現在の実施事業は国としては廃止し、地方や民間への移管を検討すべきだと判断された。

 文科省によると、教員研修センターの役員は常勤3人のうち理事長を含む2人が官僚OB。非常勤の1人も含めた計4人の年間報酬は約4740万円だという。

 事業仕分けでは国立女性教育会館の運営についても議論になり、民間登用の理事長の年間報酬が1446万円であることがわかった。事業自体は国のものとして続けると判断されたが、委員からは「コストと人件費を減らして自己収入を拡大すべきだ」と注文がついた。(見市紀世子)
(2009年11月12日16時1分)

この記事に出てくる国立女性教育会館の民間登用の理事長とは産経新聞によると神田道子(74)氏で次のように紹介されている。

 神田氏は民間出身で、「天下り」ではない。新潟県出身で、お茶の水女子大を卒業後、財団法人の研究員や大学の講師をするなかで、女子学生の職業意識などを研究。2000年には東洋大学初の女性学長に就任し、01年には政府の男女共同参画会議の議員も務めた。

 著書には「現代における婦人の地位と役割」など女性の社会参画にかかわるものが多数あり、「働く女性」の先駆者的存在だ。

 神田氏はかつて「政策決定に女性が関与できなければ、共同参画ではなく、社会参加」と語ったこともある。いま、その言葉を体現している蓮舫氏とのバトルは、皮肉といえば皮肉。

第何番目の人生なのか分からないが、すでに要職を歴任してきた神田氏は74才。その経歴から察するに年金暮らしで悠々自適の生活が可能な方である。社会奉仕をやっていただくのはもちろん大歓迎、でもボランティアでおやりになることである。それが1446万円の年間報酬をなんの衒いもなく受け取っておられたとすると、世間常識から言っても貪欲としか言いようがない。民間出身の神田氏においてすらこうであるから、天下りの高級官僚においておや、である。

国の補助事業の大多数がこういう金銭欲にまみれた一部特権階級の税金収奪手段として作られたなんて言うと、まさかそこまで人間が墜ちるものではないと世間が思うのがまさに狙い目なのである。老若男女を問わず国民はそのダシに使われたに過ぎない。となると「事業仕分け」で国民にこれまでの補助金制度の実態をあぶり出すだけあぶり出して、原則としてすべてを無くしてしまえばよいのである。すべてでないにしても、せめて管理者に天下り的人が一人でも居る事業体は即廃止とすればよい。

ところで「事業仕分け」第3WG 評価結果ととりまとめコメントは

国立女性教育会館
予算要求の縮減

とりまとめコメント
国立青少年教育振興機構、教員研修センターについては、自治体・民間へ移管、特に青少年交流の家、自然の家については、国の事業としては廃止すべき、国立女性教育会館は、コスト削減、人件費の削減および自己収入の拡大努力をすべきとして大幅に予算を削減する、というのが第三ワーキンググループの総論である。

と、いかにも甘い。わが大和撫子は国立女性教育会館がないと成長できないほどのアカンタレではないのであるのに。