夕べ(7月18日)7時のNHKニュースで日弁連会長が記者会見している模様が流れた。司法試験合格者を2010年までに毎年3000人に増やす政府計画について、日本弁護士連合会(日弁連)がペースダウンを求める緊急提言をまとめたというのである。会見の中で日弁連会長が「合格者が増えたことで弁護士の質の低下が指摘されており、増員を急ぐべきではない」と強調しているのがひとつ気になった。
NIKKEI NETに《日弁連は00年11月の臨時総会で、法曹人口の増加を求める決議を採択。これまで政府計画に賛同する姿勢を示してきたが、今回の提言は内部からの反発を受け、方針転換した形だ。》と出ていたので、平成12年11月1日日本弁護士連合会臨時総会の「臨時総会・法曹人口、法曹養成制度並びに審議会への要望に関する決議」の中身を覗いてみた。
《我々の提起した変革の課題は、我々自身が、社会の隅々にまで「社会生活上の医師」として存在し、社会の不正を正し弱者を救済する活動をするような弁護士制度を大きく発展させてこそ、はじめて実現可能なものとなる。また弁護士偏在の解消問題についても、弁護士人口増加は、その必要条件の一つであることは間違いない。我々は、法曹一元制の基盤としての弁護士制度の改革と法曹人口増加の課題を真正面から受け止めなければならない。 》と弁護士人口増加を求めていたことが分かる。
どの程度まで増加させるかというと《国民が必要とする適正な法曹人口(中略)これらのアプローチによって算出される法曹人口数は、各方法とも、どの時点を基準として算出するかによって結論が異なってくるが、概ね5万人程度という数が試算され、現在より大幅な増員が必要と思われる。》と必要人口の試算までしている。
もちろん「法曹に求められる質の維持、向上」についてもちゃんと以下の提言をしている。《法曹の役割が、人の生命、身体、財産等に重大な関係を持つことに鑑みれば、その質の維持、向上は極めて大切なことである。(中略)当連合会は、司法の一翼を担うものの責務として、新規法曹人口の大幅な増加により弁護士の質の低下を招来することのないよう、法曹養成の全過程に、より主導的に関わることによって充実した教育内容や質の高い教員を確保し、さらにはオン・ザ・ジョブ・トレーニングにおいて後進の育成に積極的に関与し、資格取得後の各種研修の継続・強化などに努力することが必要である。》
この日弁連が法科大学院整備の話題が世間を賑わしてまだ間もないのに、そして2007年には合格者が1851人とまだ2000人レベルにも到達しない段階で、早くも白旗を掲げたのである。
日弁連会長が「弁護士の質の低下」を強調しているのが腑に落ちなかった。上に新規法曹人口の大幅な増加により弁護士の質の低下を招来することのないよう、法曹養成の全過程に、より主導的に関わることによって充実した教育内容や質の高い教員を確保と強調したのではなかったか。それに、どのようにして質の低下の評価をしたのかが明らかでなかったからである。しかし引き続いて町村官房長官が記者会見で《日弁連は『自分たちの業界の利益に反し、商売が成り立たない』ということしか考えず、司法の手助けが必要な人たちや、裁判官・検察官が不足気味という司法全体の状況を見ていない。自分たちの商売の観点で、司法制度改革に携わってきた立場をかなぐり捨てるのは、見識を疑う。》(NHKニュース、7月18日 19時39分 )と述べているのを聞いて納得した。日本医師会と同じ、パイの取り分の減ることを恐れる人たちの声が高まったのであろう。自らを「社会生活上の医師」とはいみじくも言ったものだ。
皮肉はこれどまりとして、私には日弁連の提言を三百代言(いいかげんな弁護士、[弁舌さわやかに]詭弁をもてあそぶ人、新明解から)的発言などと揶揄する気はない。国民から戻ってくる反射的な不信感をもはねのけんばかりの勢いで法曹人口の急増に対する懸念を表明したことをここでは積極的に評価しようと思う。それは法曹人養成よりも遙かに大規模に行われた博士増員計画の破綻を目にしてその計画の犠牲者に思いを致すからである。(大学院はモラトリアム人間の棲息地 大学院教育には口を出すより金を出せば 大学院制度抜本的改革私案 不要な院生をつくらないためにも)
目先の需要にのみ気を取られたとしかいいようのない博士大増員計画の場合には、残念ながらストップの声の出るのが遅かった。日弁連が早々と白旗を掲げたのを機に、上にも述べられている適正法曹人口として5万人が妥当なのかどうかを含め、年間3000人増員計画の是非を改めて検討し、必要なら軌道修正を急ぐべきである。法曹浪人が本物の三百代言と化して横行し出すと国民生活が大きく損なわれることを私は恐れるからである。もちろん計画の見直しにかの鳩山法相も言われるように「日弁連には、みずからの権益を守るという発想は絶対持ってもらっては困る」のはいうまでもない。
NIKKEI NETに《日弁連は00年11月の臨時総会で、法曹人口の増加を求める決議を採択。これまで政府計画に賛同する姿勢を示してきたが、今回の提言は内部からの反発を受け、方針転換した形だ。》と出ていたので、平成12年11月1日日本弁護士連合会臨時総会の「臨時総会・法曹人口、法曹養成制度並びに審議会への要望に関する決議」の中身を覗いてみた。
《我々の提起した変革の課題は、我々自身が、社会の隅々にまで「社会生活上の医師」として存在し、社会の不正を正し弱者を救済する活動をするような弁護士制度を大きく発展させてこそ、はじめて実現可能なものとなる。また弁護士偏在の解消問題についても、弁護士人口増加は、その必要条件の一つであることは間違いない。我々は、法曹一元制の基盤としての弁護士制度の改革と法曹人口増加の課題を真正面から受け止めなければならない。 》と弁護士人口増加を求めていたことが分かる。
どの程度まで増加させるかというと《国民が必要とする適正な法曹人口(中略)これらのアプローチによって算出される法曹人口数は、各方法とも、どの時点を基準として算出するかによって結論が異なってくるが、概ね5万人程度という数が試算され、現在より大幅な増員が必要と思われる。》と必要人口の試算までしている。
もちろん「法曹に求められる質の維持、向上」についてもちゃんと以下の提言をしている。《法曹の役割が、人の生命、身体、財産等に重大な関係を持つことに鑑みれば、その質の維持、向上は極めて大切なことである。(中略)当連合会は、司法の一翼を担うものの責務として、新規法曹人口の大幅な増加により弁護士の質の低下を招来することのないよう、法曹養成の全過程に、より主導的に関わることによって充実した教育内容や質の高い教員を確保し、さらにはオン・ザ・ジョブ・トレーニングにおいて後進の育成に積極的に関与し、資格取得後の各種研修の継続・強化などに努力することが必要である。》
この日弁連が法科大学院整備の話題が世間を賑わしてまだ間もないのに、そして2007年には合格者が1851人とまだ2000人レベルにも到達しない段階で、早くも白旗を掲げたのである。
日弁連会長が「弁護士の質の低下」を強調しているのが腑に落ちなかった。上に新規法曹人口の大幅な増加により弁護士の質の低下を招来することのないよう、法曹養成の全過程に、より主導的に関わることによって充実した教育内容や質の高い教員を確保と強調したのではなかったか。それに、どのようにして質の低下の評価をしたのかが明らかでなかったからである。しかし引き続いて町村官房長官が記者会見で《日弁連は『自分たちの業界の利益に反し、商売が成り立たない』ということしか考えず、司法の手助けが必要な人たちや、裁判官・検察官が不足気味という司法全体の状況を見ていない。自分たちの商売の観点で、司法制度改革に携わってきた立場をかなぐり捨てるのは、見識を疑う。》(NHKニュース、7月18日 19時39分 )と述べているのを聞いて納得した。日本医師会と同じ、パイの取り分の減ることを恐れる人たちの声が高まったのであろう。自らを「社会生活上の医師」とはいみじくも言ったものだ。
皮肉はこれどまりとして、私には日弁連の提言を三百代言(いいかげんな弁護士、[弁舌さわやかに]詭弁をもてあそぶ人、新明解から)的発言などと揶揄する気はない。国民から戻ってくる反射的な不信感をもはねのけんばかりの勢いで法曹人口の急増に対する懸念を表明したことをここでは積極的に評価しようと思う。それは法曹人養成よりも遙かに大規模に行われた博士増員計画の破綻を目にしてその計画の犠牲者に思いを致すからである。(大学院はモラトリアム人間の棲息地 大学院教育には口を出すより金を出せば 大学院制度抜本的改革私案 不要な院生をつくらないためにも)
目先の需要にのみ気を取られたとしかいいようのない博士大増員計画の場合には、残念ながらストップの声の出るのが遅かった。日弁連が早々と白旗を掲げたのを機に、上にも述べられている適正法曹人口として5万人が妥当なのかどうかを含め、年間3000人増員計画の是非を改めて検討し、必要なら軌道修正を急ぐべきである。法曹浪人が本物の三百代言と化して横行し出すと国民生活が大きく損なわれることを私は恐れるからである。もちろん計画の見直しにかの鳩山法相も言われるように「日弁連には、みずからの権益を守るという発想は絶対持ってもらっては困る」のはいうまでもない。