北朝鮮のいわゆる『核実験』に煽られるようなかたちで、国連安保理で制裁決議が14日にも行われそうな成り行きである。「国連憲章第7章に基づいて行動し、また41条に基づく措置を取る」との表現を入れることで、ひとまず軍事的な行動に歯止めがかかった形になりそうだ。
日本は独自に科している制裁措置に加えて、北朝鮮籍船の入港全面禁止、北朝鮮からの輸入全面禁止、北朝鮮籍の人の入国禁止などをさらに追加措置とし、14日から実施するとのことである。
直接的な軍事行動でなくても、北朝鮮に出入りする船舶の臨検を実施したり、金融資産凍結なんてことになると、かっての『軍国少年』は日本を戦争に追いやったABCD包囲陣を連想してしまう。
昭和15年、日本はすでに北部仏印に武力進出していた。翌昭和16年7月、その軍隊をさらに南部のサイゴン(現在のホーチミン市)まで移動させことを政府が決めた矢先の7月25日に、アメリカが日本の在米資産を凍結を発表し、イギリス、フィリッピン、ニュージーランド、オランダがこれに続いた。7月28日に日本軍が南部仏印上陸を始めると、8月1日にアメリカが石油の対日輸出の全面禁止を行い、ここにABCD包囲陣が完成した。
このような強硬手段をアメリカが日本に対して取ったのも、日本との戦争を辞せずとの決意があったからのことである。
今回の北朝鮮への制裁を安保理で決定し、また日本が独自の制裁に踏み切るも、国家の意思の表明としてありうることは理解できる。しかしそれにしては制裁に踏ん切るわが国の事態認識が余りにも甘いように思う。
かっての日本の立場に北朝鮮を置いてみると、北朝鮮の『暴発』は当然想定内でなければならない。一番わかりやすい例で云えば、北朝鮮が核弾頭を装備したミサイルを日本に向けて発射する可能性を想定しておかなければならない。
日本政府がそこまでの事態を読んで『独自制裁』に踏ん切ったのであろうか。私はそうとは思わない。日本国政府がその緊急事態の怖れを日本国民に警告していないではないか。
私が首相なら直ちに日本本土への核配備をアメリカに要請する。もちろん国内での必要処置、たとえば国会での承認を得た上でのことである。日本への核攻撃を絶対に許してはならない。今こそアメリカの『核の傘』を目に見えるような形で頭上に広げて貰わなければならない。非核三原則、特に核を持ち込ませないなんて云うのは、日本がアメリカの『核の傘』の下にある現実を直視しない自己欺瞞そのものではないか。しかし日本本土に核配備をしたからといって、北朝鮮の『暴発』を確実に抑えることができるのか、それは保証の限りにあらずである。勝てるはずのない戦争を始めて、最後には原爆まで落とされてようやく降伏したかっての日本を思い出せばいい。
そう、私は、そこまでの覚悟もないくせに『独自制裁』なんて言えた柄か、とわが政府の決定を批判しているのである。それにはもう一つの深刻な懸念もある。
アメリカの北朝鮮抹殺論者が仮に大統領になったとしよう。大義名分さえあれば核攻撃で北朝鮮を一瞬にして消滅させることが出来る。その大義名分とは、アメリカの同盟国日本が北朝鮮から核攻撃を受けることである。そのためには、日本をして北朝鮮をとにかく挑発させればいいのである。たとえば強硬な『独自制裁』などで。
北朝鮮の『核実験』の真偽はまだ確定されていないと聞く。かりにそれが事実であったとしても、『核実験』はアメリカ、ロシア、中国をはじめとする世界の核保有国がこれまで嫌と云うほど繰り返してきたことではないか。何を今更あわてふためくことがあろう。北朝鮮からテロリストの手に『核』が渡るのが怖いなんていう以上に、アメリカ、ロシア、中国などの保有する『核』にテロリストが近づくことのほうが遙かに怖ろしい。
北朝鮮の『核実験』をただ非難するだけの声明ならいくらでも出したらいい。文章見本は既に核保有国の『核実験』への抗議文にあるではないか。相手を書き換えるだけですむ。
北朝鮮に対する『制裁』を本気で考えているのなら、少なくとも日本本土にアメリカの核配備をしないといけない。わが国がそこまで踏ん切れないのなら、他の国に対してこれまでそうであったように、せいぜい非難決議をするだけしてあとは知らぬ顔をしておればよい。時が何れは解決してくれるだろう。夢にも『独自制裁』を気安く弄ぶべきではない。
日本は独自に科している制裁措置に加えて、北朝鮮籍船の入港全面禁止、北朝鮮からの輸入全面禁止、北朝鮮籍の人の入国禁止などをさらに追加措置とし、14日から実施するとのことである。
直接的な軍事行動でなくても、北朝鮮に出入りする船舶の臨検を実施したり、金融資産凍結なんてことになると、かっての『軍国少年』は日本を戦争に追いやったABCD包囲陣を連想してしまう。
昭和15年、日本はすでに北部仏印に武力進出していた。翌昭和16年7月、その軍隊をさらに南部のサイゴン(現在のホーチミン市)まで移動させことを政府が決めた矢先の7月25日に、アメリカが日本の在米資産を凍結を発表し、イギリス、フィリッピン、ニュージーランド、オランダがこれに続いた。7月28日に日本軍が南部仏印上陸を始めると、8月1日にアメリカが石油の対日輸出の全面禁止を行い、ここにABCD包囲陣が完成した。
このような強硬手段をアメリカが日本に対して取ったのも、日本との戦争を辞せずとの決意があったからのことである。
今回の北朝鮮への制裁を安保理で決定し、また日本が独自の制裁に踏み切るも、国家の意思の表明としてありうることは理解できる。しかしそれにしては制裁に踏ん切るわが国の事態認識が余りにも甘いように思う。
かっての日本の立場に北朝鮮を置いてみると、北朝鮮の『暴発』は当然想定内でなければならない。一番わかりやすい例で云えば、北朝鮮が核弾頭を装備したミサイルを日本に向けて発射する可能性を想定しておかなければならない。
日本政府がそこまでの事態を読んで『独自制裁』に踏ん切ったのであろうか。私はそうとは思わない。日本国政府がその緊急事態の怖れを日本国民に警告していないではないか。
私が首相なら直ちに日本本土への核配備をアメリカに要請する。もちろん国内での必要処置、たとえば国会での承認を得た上でのことである。日本への核攻撃を絶対に許してはならない。今こそアメリカの『核の傘』を目に見えるような形で頭上に広げて貰わなければならない。非核三原則、特に核を持ち込ませないなんて云うのは、日本がアメリカの『核の傘』の下にある現実を直視しない自己欺瞞そのものではないか。しかし日本本土に核配備をしたからといって、北朝鮮の『暴発』を確実に抑えることができるのか、それは保証の限りにあらずである。勝てるはずのない戦争を始めて、最後には原爆まで落とされてようやく降伏したかっての日本を思い出せばいい。
そう、私は、そこまでの覚悟もないくせに『独自制裁』なんて言えた柄か、とわが政府の決定を批判しているのである。それにはもう一つの深刻な懸念もある。
アメリカの北朝鮮抹殺論者が仮に大統領になったとしよう。大義名分さえあれば核攻撃で北朝鮮を一瞬にして消滅させることが出来る。その大義名分とは、アメリカの同盟国日本が北朝鮮から核攻撃を受けることである。そのためには、日本をして北朝鮮をとにかく挑発させればいいのである。たとえば強硬な『独自制裁』などで。
北朝鮮の『核実験』の真偽はまだ確定されていないと聞く。かりにそれが事実であったとしても、『核実験』はアメリカ、ロシア、中国をはじめとする世界の核保有国がこれまで嫌と云うほど繰り返してきたことではないか。何を今更あわてふためくことがあろう。北朝鮮からテロリストの手に『核』が渡るのが怖いなんていう以上に、アメリカ、ロシア、中国などの保有する『核』にテロリストが近づくことのほうが遙かに怖ろしい。
北朝鮮の『核実験』をただ非難するだけの声明ならいくらでも出したらいい。文章見本は既に核保有国の『核実験』への抗議文にあるではないか。相手を書き換えるだけですむ。
北朝鮮に対する『制裁』を本気で考えているのなら、少なくとも日本本土にアメリカの核配備をしないといけない。わが国がそこまで踏ん切れないのなら、他の国に対してこれまでそうであったように、せいぜい非難決議をするだけしてあとは知らぬ顔をしておればよい。時が何れは解決してくれるだろう。夢にも『独自制裁』を気安く弄ぶべきではない。