《学習指導要領で「必修」とされている世界史を生徒に教えていない高校が、全国で多数あることが発覚した》と今朝(10月26日)の朝日新聞は報じた。このままだと卒業資格が得られないために、該当校ではこれから補習を行うとのことであるが、一科目の履修に50分の授業が70回も必要になるらしい。もう10月も終わり、大学入試の時期を目前に控えて、特に世界史を受験する必要のない生徒にとってはまったく余計で無意味な負担になることだろう。塩崎官房長官は「ルールはルールで守ってもらわないと困る」と述べているが、誰がルールを破ったのかと云えばそれは校長である。校長がルールを破ったつけが生徒に回ってくる、なんとも釈然としない。
朝日新聞はまた《すでに卒業した生徒については、生徒ではなく学校側のミスであるため、卒業認定の権限のある校長が卒業を取り消したケースはない。》とも報じている。現実的な対応であると思う。そうだとすると在校中の生徒についても、それなりの現実的な取り扱いがあってしかるべきであろう。年度初めに生徒は授業科目を選択する以上、当然学校側に履修届のようなものを提出しているのではなかろうか。それはいわば学校と生徒の間の契約書のようなもので、それでスタートした以上、両者の合意もなく履修条件を変えることのほうが、教育現場におけるルール破りになるではないか。
こう云うときにこそ校長は、自己の責任において、あらゆる便法を講じるべきである。補習授業で教師は教室で受験勉強をしている生徒の邪魔にならないように口を開かず、授業内容を黒板に音を立てずに書く、試験はレポートにする、のように指示すればいい。
それにしても高校で世界史が必修、日本史もしくは地理が選択とはどのような考えに基づいているのか私には理解できない。義務教育でもない高校にわざわざ進学する生徒に、履修科目の選択を自由にさせたらいいではないか。変なルールを作るから現場が現実的な対応をせざるをえなくなるのではないか。校長は声を大にして持論を論ずるべし。