日々是好日

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『教育基本法問題』で「心」ない政府案を圧倒する民主党案

2006-05-21 15:18:51 | 社会・政治
政府の教育基本法改正案への対案として、民主党が「日本国教育基本法案」を国会に提出する運びになっている。マスメディアは両案でいわゆる『愛国心』がどのように扱われているか、を問題にしている。

政府案のその箇所は
 (教育の目標)
第二条の第五項目に
《伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。》となっているのに対して、

民主党案ではその前文に
《日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び、学術の振興に努め、他国や他文化を理解し、新たな文明の創造を希求することである。》と記してある。

民主党案では《日本を愛する心》が『愛国心』のことを言っているのだな、とはっきりわかるし、その愛国心を涵養することがが「日本国教育基本法案」の精神であるとする姿勢もはっきりしている。

政府案では《我が国と郷土を愛する・・(中略)・・態度を養う》ことが教育目標に掲げられている。「態度」を「心」で置き換えるとわかりやすいのに、なぜそうしないのだろう。自民党原案では『愛国心』とあったのが公明党の主張を取り入れる形で『態度』に変わったと報道されている。その経緯はさておいて、政府案には『心』がないのである。

政府案には「心」という文字が六回出てくる。しかし単独ではなくて「心身」が三回、「中心」が一回。「道徳心」、「自立心」がそれぞれ一回ずつで辛うじて「心」が顔を出している。これに対して「態度」も六回出てくる。六回のうち五回は(教育の目標)を定める第二条の五つの項目に一回ずつ出てくるのである。もう一回は(宗教教育)をうたった第十五条に出てくる

自民党案とは対照的に民主党案は「心」がこもっている。

前文に《美しいものを美しいと感じるをはぐくみ》、《日本を愛するを涵養し》とある以外に「道徳心」「自制心」「自尊心」がそれぞれ一回あって、合わせると「心」が五つもある。それに「心身」が三回、「中心」が一回出てくる。これに対して「態度」は(政治教育)の第十五条に一回、(生命・宗教に関する教育)の第十六条に二回、(情報文化社会に関する教育)の第十七条に一回の合計四回出てくる。

これだけ見ても民主党案は「心」ない政府案を圧倒している。自民党は公明党に骨抜きされた上に心まで奪われてしまったのである。