Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

クンブ・メラ

2010-01-17 23:10:53 | アジア
ヒンドゥー教の大行事であるクンブ・メラの撮影のために、インド北部にあるハリドゥワという町で6日間を過ごしたあと、昨夜ムンバイに戻ってきた。

滞在中、ハイチが大地震で大変なことになってしまったので行きたいのはやまやまだったが、さすがにインドからでは遠すぎるし金がかかりすぎる。米国から既にフォトグラファー達がごっそり現地入りしているし、今回は彼らに場を譲るしかないなとあきらめ、ハリドゥワでの撮影を続けてきた。

クンブ・メラとは、12年に一度、インドの四つの聖地もちまわりでおこなわれるインドゥー教の祭典で、この時期に聖なるガンジス川で沐浴をすればこれまで犯した罪を洗い清められると信じられており、3ヶ月の期間中に百万から千万の単位の人々が訪れる世界でも最大規模の宗教行事だ。

予想が外れたのは、サドゥーたちの沐浴がみられなかったこと。サドゥーというのは、聖人というか仙人というか、はたまた世捨て人とでもいうか、家ももたず真理をもとめ放浪を続ける、インドの旅行記などでは必ずといっていいほど写真にでてくる、あのとぐろを巻いたような長髪と長いヒゲの男達のことだ。

今回はクンブの沐浴初め、といったもので一般大衆が対象。サドゥーの姿は数えるほどしか見当たらなかった。彼らが大挙してガンジスに沐浴するのは2月12日のロイヤル・バスということだ。きちんと下調べせずに、友人の話しを鵜呑みにしていったのがあさはかだったが、現地に相当数来ていたカメラマンたちと話をしてみると、実はみな同じ誤解をしていたのだった。

いずれにしてもクンブ・メラを初めて見る僕にとっては新鮮な体験だったし、写真もかなり気に入ったものが撮れたので、いい経験になった。もし他の仕事が入っていなければ、サドゥー達の撮影のために来月また戻ろうと思っている。この土地やガートの撮影の勝手も心得たので、次回戻ってくるときはもう余計な気をまわさずに済む。

しかしこういう行事を見るたびに思うのは、インドでは現在でも宗教が日常に密着しているということだ。日本では宗教がらみで多くの人々が足を運ぶのはせいぜい初詣くらいになってしまったが、こちらでは毎月のようにどこかの州で祭りや行事がおこなわれている。ムンバイなどの都市では高層ビルが次々と建てられ生活も物質主義的になりつつあるが、反面こういった精神面での伝統も固持されている、懐の深い国なのだ。

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1 コメント

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Unknown (鈴木)
2010-01-19 08:57:15
長い間更新されていなかったので、何かあったのかなと心配でした。
クンブ・メラという祭りは初めて聞きましたが、写真を見ただけでもその迫力が伝わってきました。生で見たらきっともっとすごいのでしょうね。次回の更新も心待ちにしています!
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