Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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富豪たちの社会貢献

2014-03-10 09:02:37 | アジア
初めて訪れるバングラデッシュで数日を過ごした。ニューヨークシティの前市長であるマイケル・ブルームバーグの関わる公衆衛生関連事業の撮影のためだ。ビジネスニュース系のメディア会社を経営する彼は、多くの私財を慈善事業に費やしているが、そのチャリティーを組織化したものがブルームバーグ・フィラントロフィー。この組織は、ジョンズ・ホプキンス大学や世界保険機関(WHO)などと提携して世界中で活動をしており、環境、教育、公衆衛生やアートに及ぶまで、その内容は幅広い。

この組織が先月末、一千万ドル(約10億円)を寄付してバングラデッシュで子供の溺死防止のための事業を立ち上げた。溺死防止といってもピンと来ないかもしれないが、現在バングラデッシュでは毎年およそ1万2千人の子供達がため池や川などで溺れて命を落としている。これは一日あたり32人の割合だ。事故のほとんどは、ため池の多い農村部で親が目を離した隙におこるので、それを防ぐために保育所の設立、保母の育成、さらにプレイペンとよばれる幼児用の柵の製作を中心としたプログラムがつくられた。

ブルームバーグ・フィラントロフィーが昨年、世界各地のプログラムに寄付した総額は4.52億ドル(約460億円)。ブルームバーグ氏は推定300億ドル(3兆円)あるといわれる自らの財産を生前中にほとんどすべて寄付すると公言している。もう僕ごときの一小市民には感覚の追いつかない数字だ。

このような慈善事業といえば、ビルとメリンダ夫妻のゲイツ・ファンデーションが思い浮かべる人も多いだろう。いろいろと批判材料はあるものの、ほとんどの金持ちが自分自身や家族のことしか頭にないなかで、大富豪がこういうかたちで社会に貢献する行動には敬意を表したいと思う。現場の村人たちや子供達が恩恵を被っていることは動かし難い事実だし、他者からの募金なしでは運営できないNGOなどとは違って、彼らは自分の私財を投じているわけだから、なおさらだろう。

話は変わるが、今回初めて訪れたバングラデッシュの交通渋滞にはさすがにたまげた。密集都市ムンバイに4年住んで渋滞には慣れっこになっていたが、首都ダッカの混雑はもう救いがないほどだ。救急車が渋滞にはまって動けなくなるのも何度か目にしたが、これでは手遅れになって命を落とす患者も少なくないだろうな、などと憂慮してしまった。ブルームバーグ氏、次の慈善事業の案として、渋滞解消策とか、現場で救命できる救急隊員の大量育成などはいかがでしょうか?

(もっと写真をみる http://www.kunitakahashi.com/blog/2014/03/10/rich-folks-giving-back-to-society/ )
(この記事はヤフーニュースブログにも掲載してあります)

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