Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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水道のない村

2005-11-12 00:23:38 | アフリカ
(写真)

ナイジェリアのデルタ地域。

イタック・アブシというこの漁村には、電気も水道もひかれていない。

村のほとんどの住人は、発電機を購入できるほど生活に余裕はないので、夜はランタンか蝋燭の光のみで過ごすことになる。

水についても、雨水と少しばかりの井戸水が生活用水の源だ。

炊事、洗濯、水浴びから飲料にいたるまで、ドラム缶に溜めた雨水をつかうことが多いが、地面の水溜まりから水を調達することも少なくない。
どんよりと濁ったその水は、どう見てもきれいだとは言いがたい。
しかし、こんな水をつかって料理もつくるのはもちろん、喉が渇けばみなそのままごくごくと飲んでしまう。
身体がなれてしまっているとはいえ、やはりこんな水を飲んでいれば病気になることもある。
この村では去年コレラと思われる病気で5人死んだという。

海を小舟で5分程わたった向こう岸には、エクソン・モービル(石油会社)のターミナルがある。夜になると、そこには煌々と明かりが灯り、まるで近代都市さながらの様相を呈する。

イタック・アブシの住人達が漁にでる海から石油を吸い上げ、石油会社は莫大な利益をあげている。

しかし、そこに長年住んでいる村の人々は何の恩恵ももたらされない。

イタック・アブシに、近い将来電気や水道がひかれる予定は、ない。