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本、真夜中に猫は科学する

 薬袋摩耶著、イラストは浅生ハルミンの「真夜中に猫は科学する」を読んだ。


 副題は「エクレア教授の語る遺伝や免疫の不思議」とあり、不思議な感覚の本である。エクレア教授とは夫婦の飼っている猫で、夜、猫の集会に出かけて行きインフルエンザやウイルス、免疫などについて優しく語っている。

 インフルエンザ感染症の本を読んだあとでも、なる程そういう理屈かと納得する場面が多い。専門用語をいきなり使うようなことはなく、予備知識のない人にもわかるように順を追って説明してくれるから読みやすい。

 科学啓蒙書を物語というスタイルで提供するという著者のアイデアは非常に効果的に働いていて、その理由を脳科学が分析してくれないかなと思うほどだ。

 この本でもう一点大きく興味を引いたのが誤記である。

 「30キロといえば、3000メートルだろう? 富士山と同じくらいってことか?」

 の行である。著者の薬袋摩耶は医学博士であり、サイエンスライター。このような間違いをするとは思えない。そしてこの文章を説明する絵が、これ


30cmのネコは、3000mmに!! とある。これは手書きの絵だから誤植はないとすると、イラスト担当の浅生ハルミンのミスだろう。

 となると30キロとしたのも浅生ハルミンのミスだろうか。本書における薬袋摩耶と浅生ハルミンの作業分担はどうなっていたのだろう。

 裏表紙を見ると浅生ハルミンはエッセイストでもあり、「私は猫ストーカー」「猫の目散歩」など猫をモチーフにした著作がたくさんある。すると本書も主として浅生ハルミンが書き、薬袋摩耶が医科学的なアドバイスをして出来上がったものだろうと納得しながら読み進めた。

 ところが、あとがきに薬袋摩耶が猫大好きで、エクレア教授のモデルは飼い猫のルナなどと披露している。素人探偵の下衆の勘ぐりは的外れであった。

 「真夜中に猫は科学する」は読みやすく、おもしろい。おすすめの本だ。

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