「1円スマホ」に象徴されるスマートフォンの極端な安売りを防止するため、総務省の有識者会議は6月20日、通信回線と端末を同時に契約するセット販売時の端末単体の大幅割引を禁止するなど規制を強化する報告書案をまとめた。短期間での携帯事業者乗り換えも是正を目指す。
省令の改正を経て、年内にも新制度を適用する見通し。
安売り規制は強化が繰り返されており実効性が問われそうだ。
過度なスマホ割引が通信料高止まりの原因と問題視され、2019年にセット割引の上限は2万2千円に規制された。
ただ、セット割と別に端末を大幅に値引きして1円で販売する事例が横行、規制が形骸化していた。
今回の規制では、端末代が高くなりすぎないようセット割引の上限は4万4千円に引き上げる。
総務省が実施した覆面調査でも販売店による逸脱事案を確認したほか、公正取引委員会は独占禁止法が禁じる不当廉売に当たる恐れがあると指摘。
この方法を悪用し、格安で仕入れた端末の転売も問題となった。
同じ電話番号で別の携帯会社に移る「番号持ち運び制度(MNP)」を短期間に繰り返し使い、乗り換え先から端末値引きや現金還元といった優遇サービスを得る行為も「踏み台」と呼ばれ、不公平との指摘がある。
新しい規制では事業者に対策を求め、不十分な場合には電気通信事業法に基づく業務改善命令を発動する。
携帯の販売手法を巡っては、割安な金額で分割払いにし、2年後に新しい端末にかえても残額を請求しない仕組みの利用が増えている。
この販売も端末の割引に当たる可能性があり、販売状況を注視するとみられる。
一方、携帯大手に対する価格競争力を担保するため、仮想移動体通信事業者 (MVNO)と呼ばれる格安スマホ事業者2社は新制度の対象から外す。
インターネットイニシアティブの「IIJミオ」と、オプテージが運営する「mineo」のサービスに新制度は適用されない見込み。
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