筆者は、NHKスペッシャルで放映された、「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」を、見逃してしまった。
旧日本軍が731部隊という秘密組織を作って、各種の人体実験を行っていたという話は聞いていた。
しかし、米軍の進駐で実態を暴かれることを恐れて、徹底的に資料を破壊隠滅したと聞いていた。
田中弥生氏は、この事件でナチスドイツで行われた、T4作戦を併記する。
ナチスの優生学思想のもとに、ドイツのエリート医師が集められ、知的障碍者、認知症高齢者、寝たきりの高齢者など7万人を安楽死で殺害された。ここでガス室の予行演習が行われた。
後には優生学的にユダヤ人を劣等民族とみなして、ユダヤ人の大虐殺に発展したのはご存知の通りだ。
規模こそ小さかったが、まさに戦争が生み出した狂気であろう、日本軍の管理下で731部隊に一部のエリート医師を集めて、有毒ガスや各種の兵器で、その効果を人体実験していたのだろう。
その実験証拠を徹底的に隠滅した結果だろうが、戦後なにくわぬ顔で大学に戻り、医学研究者として成功した医師たちが存在している。
ただ、良心の呵責から自殺した医師も存在したという。
もう戦争の記憶を持つ人たちがどんどん減っていく日本で、戦争中のこういう現実を生み出した戦争の狂気を、若い世代に引き継がなくてはならない。
(BLOGOSより貼り付け)
この史実にどう向かい合うのか「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」
田中弥生
2017年08月14日
昨晩のNHKスペシャル「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」はショッキングなドキュメンタリー番組だった。 軍の要請とはいえ、日本のエリート医師が、「お国のため」と自らを正当化し、多額の研究費を得て、人体実験に関与していたという史実が、実名や写真とともに赤裸々に描かれていたのだ。
この番組を観ながら、すぐに思い出されたのが、ナチスドイツのT4作戦だ。これは、優生学思想に基づいて行われた安楽死政策で、知的障碍者、認知症高齢者、寝たきりの高齢者など7万人が殺害された。ここでガス室の予行演習が行われた。ここに、多数のドイツ人エリート医師が、人体実験に参画していたのだ。後にカトリック教会からの抗議で中止されたが、その後も、医師が自発的に人体実験を行っていたという。
遠く、ナチス・ドイツの出来事と思っていたことが、規模こそ異なるとはいえ、日本軍とエリート医師において起こっていたのだ。また、生物兵器を作り、実践していた。この史実を、日本人の何人が知っていたのだろうか。
さらに、複雑な気持ちにさせたのは、戦後、冷静さを取り戻した社会における彼らの態度だった。何事もなかったのように、大学に戻り、医学研究者として成功していた者の名前が挙げられていた。NHKは番組の中で、東大に取材を申し込んだが、「組織的な関与はなかった」との回答があったと明記していた。
番組の最後で、後悔の言葉を述べ、自殺した医師が紹介されていた。それは、番組制作者の気持ち、つまり、「他の人々も事実に向かい合って、自らを振り返ってほしい」という希望であったと思う。われわれ日本人は、この史実にどう向かい合うべきなのか。「見て見ぬふり」は許されないのではないか。終戦記念日を前に、非常に重い課題が提示された。
(貼り付け終わり)
旧日本軍が731部隊という秘密組織を作って、各種の人体実験を行っていたという話は聞いていた。
しかし、米軍の進駐で実態を暴かれることを恐れて、徹底的に資料を破壊隠滅したと聞いていた。
田中弥生氏は、この事件でナチスドイツで行われた、T4作戦を併記する。
ナチスの優生学思想のもとに、ドイツのエリート医師が集められ、知的障碍者、認知症高齢者、寝たきりの高齢者など7万人を安楽死で殺害された。ここでガス室の予行演習が行われた。
後には優生学的にユダヤ人を劣等民族とみなして、ユダヤ人の大虐殺に発展したのはご存知の通りだ。
規模こそ小さかったが、まさに戦争が生み出した狂気であろう、日本軍の管理下で731部隊に一部のエリート医師を集めて、有毒ガスや各種の兵器で、その効果を人体実験していたのだろう。
その実験証拠を徹底的に隠滅した結果だろうが、戦後なにくわぬ顔で大学に戻り、医学研究者として成功した医師たちが存在している。
ただ、良心の呵責から自殺した医師も存在したという。
もう戦争の記憶を持つ人たちがどんどん減っていく日本で、戦争中のこういう現実を生み出した戦争の狂気を、若い世代に引き継がなくてはならない。
(BLOGOSより貼り付け)
この史実にどう向かい合うのか「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」
田中弥生
2017年08月14日
昨晩のNHKスペシャル「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」はショッキングなドキュメンタリー番組だった。 軍の要請とはいえ、日本のエリート医師が、「お国のため」と自らを正当化し、多額の研究費を得て、人体実験に関与していたという史実が、実名や写真とともに赤裸々に描かれていたのだ。
この番組を観ながら、すぐに思い出されたのが、ナチスドイツのT4作戦だ。これは、優生学思想に基づいて行われた安楽死政策で、知的障碍者、認知症高齢者、寝たきりの高齢者など7万人が殺害された。ここでガス室の予行演習が行われた。ここに、多数のドイツ人エリート医師が、人体実験に参画していたのだ。後にカトリック教会からの抗議で中止されたが、その後も、医師が自発的に人体実験を行っていたという。
遠く、ナチス・ドイツの出来事と思っていたことが、規模こそ異なるとはいえ、日本軍とエリート医師において起こっていたのだ。また、生物兵器を作り、実践していた。この史実を、日本人の何人が知っていたのだろうか。
さらに、複雑な気持ちにさせたのは、戦後、冷静さを取り戻した社会における彼らの態度だった。何事もなかったのように、大学に戻り、医学研究者として成功していた者の名前が挙げられていた。NHKは番組の中で、東大に取材を申し込んだが、「組織的な関与はなかった」との回答があったと明記していた。
番組の最後で、後悔の言葉を述べ、自殺した医師が紹介されていた。それは、番組制作者の気持ち、つまり、「他の人々も事実に向かい合って、自らを振り返ってほしい」という希望であったと思う。われわれ日本人は、この史実にどう向かい合うべきなのか。「見て見ぬふり」は許されないのではないか。終戦記念日を前に、非常に重い課題が提示された。
(貼り付け終わり)