どのような商品にしろ、新製品開発には製品に対するこだわりと、予想以上の努力と時間がかかるものである。
筆者も現役時代には、包装材料の段ボールケースで開発に携わったことがある。
ペットボトルや缶製品の段ボール包装は重量もあり、輸送中の荷崩れが起こりやすい。その防止策として箱の上面4隅に、ホットメルトという疑似接着剤を点状に塗布し、上下の箱を軽く固定するのが一般的である。
しかし時として上下の箱が外れにくく、段ボールケースの表面を破くこともある。
そこで段ボールケースその物に、滑りにくい樹脂をケースの一部にコーティングするというアイデアを開発したことがある。
たったこれだけの事であっても、製品として評価を得られる物になるまで、樹脂の選定から、コーティング範囲、濃度や温度変化による強度の変化など、その試作品作りや量産試作など、結構な時間と尽力を要したことを記憶している。
品質や安全性で評価の高い日本の商品は、あらゆる分野にわたって、こうした地道な努力と研究開発が行われてきた。
筆者も過去の経験から、ついついこういった開発秘話には、引きずり込まれる傾向がある。
今日は東洋水産のカップ麺「青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」の開発の話に興味をひかれた。
筆者は、このラーメンをまだ食べていないが、下のコラムを読むと是非食べてみたいと思うではないか?
しかし、このような新製品は年間に何百種類と生み出されるのであるが、本当にヒットするのはごく一部であるから、生き残って定番商品になる商品も、微妙な改善が加えられていくことも多い。
即席麺は、日本だけではなく、今や世界中で食されるインスタント食品になっているが、中には海外で作られた外国製品も輸入されており、筆者も試食したことがあるが、スパイス系や味覚系の違和感で、うーむという商品にも出会うが、手軽な価格であるだけに、海外製品をたまに買ってみるのも一興だ。
しかし今日は一度、この「マルちゃん 青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」を買ってみよ―ッと。(笑)
(JBPressより貼り付け)
マルちゃん史上最大量の煮干しを投入!
職人のこだわりに火をつけてしまったカップ麺とは
ヒット商品ココミテ選手権【東洋水産「青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」】
2014.06.11(水) 鶴岡 弘之
「激にぼ」(げきにぼ)がおいしいらしい。東洋水産が4月14日に発売したカップ麺である。正式名称は「マルちゃん 日本うまいもん 青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」。青森県のご当地ラーメン「津軽煮干しラーメン」をカップ麺で再現した商品だ。
発売直後からネット上では「うまい」「くせになる」といった声が相次いだ。特筆すべきは、地元の青森で高い評価を得たことだ。ふだん本物の津軽煮干しラーメンを食べている青森の人たちが「これはおいしい」と称賛し、青森で売り切れ店が続出したという。
評判につられて買って食べてみたところ、確かに今までのカップ麺とは違う。スープから煮干しの濃厚なダシの風味がしっかりと伝わってくる。「やみつきになる」という声もうなずけるものがあった。
開発を担当したのは、東洋水産 即席麺本部 商品開発部 商品開発2課の山口毅課長である。話を聞いてみると、激にぼは、やはりただのご当地カップ麺ではなかった。青森のラーメン職人たちが本気で開発に加わった、すさまじく気合いの入ったラーメンだった。
○青森で「なんだこれは」と衝撃を受けた
──激にぼがおいしいと評判です。特に青森で評判が高いようですね。
山口毅課長(以下、敬称略) 青森の人たちがおいしいと言ってくださるのは本当にうれしいですね。やってよかったと思いました。
実際に青森では飛ぶように売れました。発売してからゴールデンウイークぐらいまでは店頭から商品が消えてしまうくらい品薄になっていました。今までにない反響でしたね。
──開発の経緯を教えていただけますか。
山口 2008年に、やはり青森のご当地ラーメンである「味噌カレー牛乳ラーメン」のカップ麺を開発し、秋冬限定で毎年発売しています。開発した際、青森には他にも面白いラーメンがあると聞きまして、現地で店を紹介してもらったんです。そのうちの1つが「津軽煮干しラーメン」でした。
──そのときまで、津軽煮干しラーメンを知らなかった。
山口 はい、知りませんでした。
──食べてみていかがでしたか。
山口 煮干しラーメンと聞いて、煮干し風味のちょっとあっさりしたラーメンなのかなと思っていたんですが、食べてみたら全然違っていて衝撃を受けました。極限まで煮干しのダシをとった、スープが深緑色をしているようなラーメンが出てきて「なんだこれは・・・」と。やみつきになるようなそのうまさが忘れられず、いずれ機会があればこのラーメンも出してみたいなと考えていたんです。
それからしばらくして、2012年に「津軽ラーメン煮干し会」が発足しました。それを聞いて、「チャンスが来た!」と思いました。私たちの「日本うまいもん」ブランドは、基本的に地域の皆様にご意見をいただきながら、一緒にラーメンを作っていこうというスタンスなんです。そこで、津軽ラーメン煮干し会とぜひ一緒に商品を開発したいと思い、お声がけをしたというわけです。
○徹底的に「煮干し感」を追求
──「津軽ラーメン煮干し会」が監修とのことですが、パッケージを見るとラーメン店が8店もありますね。こんなに店があると、味の調整が大変だったのではありませんか?
山口 激にぼでは、どこかの特定の店の味を作るというより、こちらがイメージする津軽煮干しラーメンを最初に作らせていただいて、それを基に、カップ麺として新しい煮干しラーメンを作るという方法を取りました。
実際に開発に加わっていただいのは、青森で最初に津軽ラーメン煮干し会を立ち上げた4店です。その方たちに食べていただきながら、ああでもない、こうでもないと味を改良していきました。
──店主たちからはどのようなことを言われたんですか。
○見るからに濃厚そうなスープ
山口 とにかくスープを良くしてくれということです。煮干し感をしっかり出してほしいと。我々も、今回はスープにとことんこだわろうと思って、開発に臨みました。
──濃厚なスープですよね。
山口 煮干しのエキスとオイルを、粉末と液体のダブルで入れています。カップ麺として、できるところまで目いっぱい煮干し感を出したつもりです。
○店主のこだわりがどんどん強くなった
──開発ではどんな点に苦労されましたか。
山口 やはり津軽ラーメン煮干し会の方々に納得していただく味を作るのが大変でした。開発が進むうちに、みなさん、どんどんこだわりが強くなってくるんですよ。
──オーケーが出ないわけですね。
山口 最初にこちらが作った試作品もかなりレベルが高い自信作だったんです。ところが「これが最初ならもっといけるんじゃないか」と逆に期待が高まってしまったようで(笑)。もっとこういうのができないのかとか、この味はどこから出てるのかとか、ものすごく細部までご意見やご要望をいただきました。
──どんな要望がありましたか。
山口 例えば、麺を入れた状態と、麺を入れない状態でスープを飲み比べて、「これじゃないんだよな」とおっしゃるんですね。カップ麺にお湯を入れると、麺の影響でスープの味が少し変わるんです。麺を入れない状態のスープを維持できないか、という要望がありました。
──それは高度なリクエストですね。解決できたんですか。
山口 研究所にその要望を持ち帰りまして、麺を入れていない状態に近づける方法を検討してもらい、スープを改良しました。
──開発期間はどれくらいでしょうか。
山口 1年以上かかりました。
──それはカップ麺として長い方ですか。
山口 長いですね。一から味を作る場合でも、通常は半年ぐらいですから。
○激にぼはどこへ進むのか
──激にぼは、あまりインスタントっぽさが感じられないですよね。
山口 ありがとうございます。ノンフライ麺を使っているということもありますが、やっぱり煮干しだと思います。開発にあたって、過去にないくらいの種類と量の煮干しを使いましたので。でも、現地でよく食べている方にとっては、これでもまだ煮干し感が足りないと思います。
──では、これからもっと煮干し感を強くしていこうと。
山口 ただ、カップ麺のユーザーは、煮干しラーメンのコアなファンの方々だけではないんですよ。初めて食べる一般の方が「おいしいな」と思うレベルに仕上げることが大切だと思っています。そもそもカップ麺ではお店のラーメンとまったく一緒のものはできませんし、カップ麺にはカップ麺の良さがあります。やはりバランスを取ることが大事ですね。
──カップ麺は、コンビニ中心で売る場合、通常3~4カ月で商品が入れ替わってしまうそうですが、激にぼは今後どうなりますか。
山口 スーパーにも置いて、長く売っていきたいと考えています。今後、中身やデザインについてリニューアルを行い、いずれ第2弾を発売できればと思っています。青森以外の皆さんにも、ぜひもっと食べてみていただきたいですね。
(貼り付け終わり)
筆者も現役時代には、包装材料の段ボールケースで開発に携わったことがある。
ペットボトルや缶製品の段ボール包装は重量もあり、輸送中の荷崩れが起こりやすい。その防止策として箱の上面4隅に、ホットメルトという疑似接着剤を点状に塗布し、上下の箱を軽く固定するのが一般的である。
しかし時として上下の箱が外れにくく、段ボールケースの表面を破くこともある。
そこで段ボールケースその物に、滑りにくい樹脂をケースの一部にコーティングするというアイデアを開発したことがある。
たったこれだけの事であっても、製品として評価を得られる物になるまで、樹脂の選定から、コーティング範囲、濃度や温度変化による強度の変化など、その試作品作りや量産試作など、結構な時間と尽力を要したことを記憶している。
品質や安全性で評価の高い日本の商品は、あらゆる分野にわたって、こうした地道な努力と研究開発が行われてきた。
筆者も過去の経験から、ついついこういった開発秘話には、引きずり込まれる傾向がある。
今日は東洋水産のカップ麺「青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」の開発の話に興味をひかれた。
筆者は、このラーメンをまだ食べていないが、下のコラムを読むと是非食べてみたいと思うではないか?
しかし、このような新製品は年間に何百種類と生み出されるのであるが、本当にヒットするのはごく一部であるから、生き残って定番商品になる商品も、微妙な改善が加えられていくことも多い。
即席麺は、日本だけではなく、今や世界中で食されるインスタント食品になっているが、中には海外で作られた外国製品も輸入されており、筆者も試食したことがあるが、スパイス系や味覚系の違和感で、うーむという商品にも出会うが、手軽な価格であるだけに、海外製品をたまに買ってみるのも一興だ。
しかし今日は一度、この「マルちゃん 青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」を買ってみよ―ッと。(笑)
(JBPressより貼り付け)
マルちゃん史上最大量の煮干しを投入!
職人のこだわりに火をつけてしまったカップ麺とは
ヒット商品ココミテ選手権【東洋水産「青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」】
2014.06.11(水) 鶴岡 弘之
「激にぼ」(げきにぼ)がおいしいらしい。東洋水産が4月14日に発売したカップ麺である。正式名称は「マルちゃん 日本うまいもん 青森津軽煮干しラーメン 激にぼ」。青森県のご当地ラーメン「津軽煮干しラーメン」をカップ麺で再現した商品だ。
発売直後からネット上では「うまい」「くせになる」といった声が相次いだ。特筆すべきは、地元の青森で高い評価を得たことだ。ふだん本物の津軽煮干しラーメンを食べている青森の人たちが「これはおいしい」と称賛し、青森で売り切れ店が続出したという。
評判につられて買って食べてみたところ、確かに今までのカップ麺とは違う。スープから煮干しの濃厚なダシの風味がしっかりと伝わってくる。「やみつきになる」という声もうなずけるものがあった。
開発を担当したのは、東洋水産 即席麺本部 商品開発部 商品開発2課の山口毅課長である。話を聞いてみると、激にぼは、やはりただのご当地カップ麺ではなかった。青森のラーメン職人たちが本気で開発に加わった、すさまじく気合いの入ったラーメンだった。
○青森で「なんだこれは」と衝撃を受けた
──激にぼがおいしいと評判です。特に青森で評判が高いようですね。
山口毅課長(以下、敬称略) 青森の人たちがおいしいと言ってくださるのは本当にうれしいですね。やってよかったと思いました。
実際に青森では飛ぶように売れました。発売してからゴールデンウイークぐらいまでは店頭から商品が消えてしまうくらい品薄になっていました。今までにない反響でしたね。
──開発の経緯を教えていただけますか。
山口 2008年に、やはり青森のご当地ラーメンである「味噌カレー牛乳ラーメン」のカップ麺を開発し、秋冬限定で毎年発売しています。開発した際、青森には他にも面白いラーメンがあると聞きまして、現地で店を紹介してもらったんです。そのうちの1つが「津軽煮干しラーメン」でした。
──そのときまで、津軽煮干しラーメンを知らなかった。
山口 はい、知りませんでした。
──食べてみていかがでしたか。
山口 煮干しラーメンと聞いて、煮干し風味のちょっとあっさりしたラーメンなのかなと思っていたんですが、食べてみたら全然違っていて衝撃を受けました。極限まで煮干しのダシをとった、スープが深緑色をしているようなラーメンが出てきて「なんだこれは・・・」と。やみつきになるようなそのうまさが忘れられず、いずれ機会があればこのラーメンも出してみたいなと考えていたんです。
それからしばらくして、2012年に「津軽ラーメン煮干し会」が発足しました。それを聞いて、「チャンスが来た!」と思いました。私たちの「日本うまいもん」ブランドは、基本的に地域の皆様にご意見をいただきながら、一緒にラーメンを作っていこうというスタンスなんです。そこで、津軽ラーメン煮干し会とぜひ一緒に商品を開発したいと思い、お声がけをしたというわけです。
○徹底的に「煮干し感」を追求
──「津軽ラーメン煮干し会」が監修とのことですが、パッケージを見るとラーメン店が8店もありますね。こんなに店があると、味の調整が大変だったのではありませんか?
山口 激にぼでは、どこかの特定の店の味を作るというより、こちらがイメージする津軽煮干しラーメンを最初に作らせていただいて、それを基に、カップ麺として新しい煮干しラーメンを作るという方法を取りました。
実際に開発に加わっていただいのは、青森で最初に津軽ラーメン煮干し会を立ち上げた4店です。その方たちに食べていただきながら、ああでもない、こうでもないと味を改良していきました。
──店主たちからはどのようなことを言われたんですか。
○見るからに濃厚そうなスープ
山口 とにかくスープを良くしてくれということです。煮干し感をしっかり出してほしいと。我々も、今回はスープにとことんこだわろうと思って、開発に臨みました。
──濃厚なスープですよね。
山口 煮干しのエキスとオイルを、粉末と液体のダブルで入れています。カップ麺として、できるところまで目いっぱい煮干し感を出したつもりです。
○店主のこだわりがどんどん強くなった
──開発ではどんな点に苦労されましたか。
山口 やはり津軽ラーメン煮干し会の方々に納得していただく味を作るのが大変でした。開発が進むうちに、みなさん、どんどんこだわりが強くなってくるんですよ。
──オーケーが出ないわけですね。
山口 最初にこちらが作った試作品もかなりレベルが高い自信作だったんです。ところが「これが最初ならもっといけるんじゃないか」と逆に期待が高まってしまったようで(笑)。もっとこういうのができないのかとか、この味はどこから出てるのかとか、ものすごく細部までご意見やご要望をいただきました。
──どんな要望がありましたか。
山口 例えば、麺を入れた状態と、麺を入れない状態でスープを飲み比べて、「これじゃないんだよな」とおっしゃるんですね。カップ麺にお湯を入れると、麺の影響でスープの味が少し変わるんです。麺を入れない状態のスープを維持できないか、という要望がありました。
──それは高度なリクエストですね。解決できたんですか。
山口 研究所にその要望を持ち帰りまして、麺を入れていない状態に近づける方法を検討してもらい、スープを改良しました。
──開発期間はどれくらいでしょうか。
山口 1年以上かかりました。
──それはカップ麺として長い方ですか。
山口 長いですね。一から味を作る場合でも、通常は半年ぐらいですから。
○激にぼはどこへ進むのか
──激にぼは、あまりインスタントっぽさが感じられないですよね。
山口 ありがとうございます。ノンフライ麺を使っているということもありますが、やっぱり煮干しだと思います。開発にあたって、過去にないくらいの種類と量の煮干しを使いましたので。でも、現地でよく食べている方にとっては、これでもまだ煮干し感が足りないと思います。
──では、これからもっと煮干し感を強くしていこうと。
山口 ただ、カップ麺のユーザーは、煮干しラーメンのコアなファンの方々だけではないんですよ。初めて食べる一般の方が「おいしいな」と思うレベルに仕上げることが大切だと思っています。そもそもカップ麺ではお店のラーメンとまったく一緒のものはできませんし、カップ麺にはカップ麺の良さがあります。やはりバランスを取ることが大事ですね。
──カップ麺は、コンビニ中心で売る場合、通常3~4カ月で商品が入れ替わってしまうそうですが、激にぼは今後どうなりますか。
山口 スーパーにも置いて、長く売っていきたいと考えています。今後、中身やデザインについてリニューアルを行い、いずれ第2弾を発売できればと思っています。青森以外の皆さんにも、ぜひもっと食べてみていただきたいですね。
(貼り付け終わり)
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