筆者が詰めている埼玉県越谷市の霊園では、盆の時期には駐車場に車がひっきりなしに出入りし、普段と様変わりの賑わいがありました。
せめて盆にはお墓にお参りしようとする人達で、墓所のお花も新しくお供えされ、普段はどちらかというと、灰色や黒色の墓石が目立ち殺風景な景色なのだが、この時期は色とりどりの花々が、墓所に華やかさを加えています。
数年前までは、まだお元気な夫婦で来園されて、夫婦で入るお墓を求めに来られるパターンが割合多かったように感じていました。 私たち関係者は生前に建墓するのを、寿陵墓と呼んでいます。
本来は時間をかけ、大きさや石種、デザインなどに好みを生かせる事ができ、満足できる建墓が行えると筆者は思っているのです。
しかし、最近は葬儀が終わり、遺骨を自宅に引きとった段階で、納骨する墓の存在の有無に気づき、お墓探しに来られるというパターンが増えているように感じるのです。
そのうえ、お墓を作ることもせずに、散骨という方法をとる方もおられるようですが、筆者などの感覚では、自分の生きてきた証も霧散するような方法が、果たして本当にそれで満足できるのだろうかと考えてしまいます。
もっと興味のあるコラムが、ダイヤモンド電子版に出稿されました。夫婦で同じ墓に入りたくないというのが増えているというのです。
筆者が対応したお客様からは、そのような例はまだ見当たりませんが、最近増えているのがペットと一緒に入りたいという希望です。 霊園のほうも、ちゃっかりペットとの納骨も可という場所も増えています。
筆者が経験した例では、奥様がペットと一緒に入る墓を作り、旦那様用には別に建てるという事例がありました。これなどが夫婦別墓にあたるかもしれません。
まさに奥様にとっては、ご主人よりペットの方が可愛く気に入っているということなのでしょう。
最近のお墓事情を見るだけでも、日本人の夫婦の関係に微妙な変化が出てきているように感じます。
まあ、夫婦仲良く一つで済む建墓なのに、2つ別々の建墓をしていただければ、我々の仕事が増えて良いのですがねえ(笑)
(ダイヤモンド・オンラインより貼り付け)
「夫婦別墓」希望、夫も増加中のなぜ
唐仁原俊博[ライター]
2016年8月20日
私はこのお盆、大学時代を過ごした京都に滞在していた。京都では毎年8月16日の夜8時から、五山の送り火が行われる。お盆で帰ってきた先祖の霊を再びあの世に送るため、京都市内の5つの山でかがり火がたかれ、観光客含め、多くの人が送り火を見やすい場所に繰り出すという、京都の夏の風物詩だ。
ところが今年はあいにくの土砂降り。送り火のなかでも特に有名な如意ヶ岳の「大文字」も、点火したものの、雨の勢いに負けて例年のような火勢にはならなかった。せっかく京都にいるのだからと、傘が役に立たないぐらいの雨の中、私も街中で突っ立っていたのだが、いつもであれば闇に赤々と浮かび上がるはずの「大」の字はほとんど見えずじまい。隣には北海道から来たという家族連れがいて、3歳ぐらいの女の子が雨に負けないぐらいに泣き続けていたのが印象的だった。残念だったね。
◉「一緒の墓に入りたくない」
女性は男性の2倍以上
そんな感じで私はぐっちょぐちょのお盆を過ごした一方で、実家に帰り、墓前で手を合わせ、先祖に挨拶してきたという人も多いことだろう。全国石製品協同組合が実施した、お墓を持つ40才代以上の男女1024名を対象にしたアンケート調査では、お墓参りに行く時期として一番多いのがお盆休み。全体の7割超、そして年に1回だけお墓参りをすると答えた人のほとんどがこの時期にお墓参りをしているという結果が出た。
私はあまり実家に帰る機会がないので、帰ったときには盆だろうが年末年始だろうが、自発的に、あるいは親に促されて墓参りをすることになるが、数年前に同い年のいとこが早世して以降「俺もいずれ、この墓に入るのかあ」と漠然と考えるようになった。すでにその墓に入っているばあさんは、生前なかなかに怖い人だったので、同じ墓に入るのを少しだけ気後れしている。
さて、保険ショップの『保険クリニック』が、30~60歳の既婚者500人(男性250人、女性250人)を対象に行ったアンケート調査において、お墓に対する男女間の意識の差が明らかになっているので紹介したい。
「あなたは配偶者と同じお墓に入りたいですか」という質問に対して、「入りたくない」と答えた女性は32.8%と、男性(15.2%)の2倍以上だった。一緒に入りたくない理由は女性の場合「義父母と一緒だから」「死んでまで一緒は嫌」という意見が最も多かったが、男性のほうは、「何となく、特にない」が半数を占めた。何となくって、何だ。
◉墓はいらない、散骨してほしい…
希望があるなら伝える努力が必要か
まあ、ともかく一緒の墓に入ってほしいと考えている夫は、ちゃんと妻の意思を確認しておくべきだろう。もしもいやだと言われたら説得しておかないと、いずれ寂しい思いをすることになる危険がある。「一緒の墓に入ろうよ」といきなり言われたら、妻のほうも突然何を言い出すんだと警戒するかもしれないので、そこは注意が必要だろう。
このアンケート調査は毎年継続して行われているが、「入りたくない」と回答した女性の割合はこの3年でもっとも高くなった。そして、もう一つ気になる点がある。「一緒に入りたくない」という男性の増加だ。2014年は7%、2015年は10.6%、今年の調査では15.2%と、一気に増えた。「何となく、特にない」という理由で、こんなに一気に数値が伸びるものなのか、どうにも腑に落ちないのだが、「入りたくない」と答えた人のうち、「お墓は入らない」「散骨希望」という理由も上位に位置しているので、従来の「家」や「墓」といった制度が徐々にすたれつつあることに原因があるのだろうか。
ただ、本人がちゃんと希望を伝えておかなければ、遺族もそのときの一番オーソドックスな方法で葬式や埋葬を行うはず。だから「一緒の墓に入りたくない」と思っていたり、「墓に入りたくないから散骨してほしい」と考えているような場合、事前にいろいろと準備をしておかないと希望をかなえることは難しい。しかし、同じ調査の「『終活』をしていますか」という質問に、「している」と回答したのは、2.2%しかいなかった。
終活をしている人、したいと思っている人のうち、25%は葬式の希望を家族に伝えた、伝えたいと考えている。遺族からすれば、何も考えずに普通の方法で送るだけというのが一番楽かもしれないが、できることなら希望をかなえてやりたいという気持ちもあるだろう。墓についても、いよいよというときにいきなり切り出すのではなく、早め早めに話をしておいたほうがトラブルを回避できるに違いない。
ああ。終活といえば、以前、母から「私の葬式ではこのCDをかけてくれ」と言われたことをふと思い出した。ただ問題は、それがいったい誰のCDだったかをまるで思い出せないということだ。本人が希望を伝えたと思っていても、周りの人たちは案外、こんなふうなのだ。まあ、私が親不孝なだけという説もあるが、とにかく、あの世で難癖をつけられないように、母にはちゃんと葬式について書き残しておいてもらいたいものだ。
(貼り付け終わり)
せめて盆にはお墓にお参りしようとする人達で、墓所のお花も新しくお供えされ、普段はどちらかというと、灰色や黒色の墓石が目立ち殺風景な景色なのだが、この時期は色とりどりの花々が、墓所に華やかさを加えています。
数年前までは、まだお元気な夫婦で来園されて、夫婦で入るお墓を求めに来られるパターンが割合多かったように感じていました。 私たち関係者は生前に建墓するのを、寿陵墓と呼んでいます。
本来は時間をかけ、大きさや石種、デザインなどに好みを生かせる事ができ、満足できる建墓が行えると筆者は思っているのです。
しかし、最近は葬儀が終わり、遺骨を自宅に引きとった段階で、納骨する墓の存在の有無に気づき、お墓探しに来られるというパターンが増えているように感じるのです。
そのうえ、お墓を作ることもせずに、散骨という方法をとる方もおられるようですが、筆者などの感覚では、自分の生きてきた証も霧散するような方法が、果たして本当にそれで満足できるのだろうかと考えてしまいます。
もっと興味のあるコラムが、ダイヤモンド電子版に出稿されました。夫婦で同じ墓に入りたくないというのが増えているというのです。
筆者が対応したお客様からは、そのような例はまだ見当たりませんが、最近増えているのがペットと一緒に入りたいという希望です。 霊園のほうも、ちゃっかりペットとの納骨も可という場所も増えています。
筆者が経験した例では、奥様がペットと一緒に入る墓を作り、旦那様用には別に建てるという事例がありました。これなどが夫婦別墓にあたるかもしれません。
まさに奥様にとっては、ご主人よりペットの方が可愛く気に入っているということなのでしょう。
最近のお墓事情を見るだけでも、日本人の夫婦の関係に微妙な変化が出てきているように感じます。
まあ、夫婦仲良く一つで済む建墓なのに、2つ別々の建墓をしていただければ、我々の仕事が増えて良いのですがねえ(笑)
(ダイヤモンド・オンラインより貼り付け)
「夫婦別墓」希望、夫も増加中のなぜ
唐仁原俊博[ライター]
2016年8月20日
私はこのお盆、大学時代を過ごした京都に滞在していた。京都では毎年8月16日の夜8時から、五山の送り火が行われる。お盆で帰ってきた先祖の霊を再びあの世に送るため、京都市内の5つの山でかがり火がたかれ、観光客含め、多くの人が送り火を見やすい場所に繰り出すという、京都の夏の風物詩だ。
ところが今年はあいにくの土砂降り。送り火のなかでも特に有名な如意ヶ岳の「大文字」も、点火したものの、雨の勢いに負けて例年のような火勢にはならなかった。せっかく京都にいるのだからと、傘が役に立たないぐらいの雨の中、私も街中で突っ立っていたのだが、いつもであれば闇に赤々と浮かび上がるはずの「大」の字はほとんど見えずじまい。隣には北海道から来たという家族連れがいて、3歳ぐらいの女の子が雨に負けないぐらいに泣き続けていたのが印象的だった。残念だったね。
◉「一緒の墓に入りたくない」
女性は男性の2倍以上
そんな感じで私はぐっちょぐちょのお盆を過ごした一方で、実家に帰り、墓前で手を合わせ、先祖に挨拶してきたという人も多いことだろう。全国石製品協同組合が実施した、お墓を持つ40才代以上の男女1024名を対象にしたアンケート調査では、お墓参りに行く時期として一番多いのがお盆休み。全体の7割超、そして年に1回だけお墓参りをすると答えた人のほとんどがこの時期にお墓参りをしているという結果が出た。
私はあまり実家に帰る機会がないので、帰ったときには盆だろうが年末年始だろうが、自発的に、あるいは親に促されて墓参りをすることになるが、数年前に同い年のいとこが早世して以降「俺もいずれ、この墓に入るのかあ」と漠然と考えるようになった。すでにその墓に入っているばあさんは、生前なかなかに怖い人だったので、同じ墓に入るのを少しだけ気後れしている。
さて、保険ショップの『保険クリニック』が、30~60歳の既婚者500人(男性250人、女性250人)を対象に行ったアンケート調査において、お墓に対する男女間の意識の差が明らかになっているので紹介したい。
「あなたは配偶者と同じお墓に入りたいですか」という質問に対して、「入りたくない」と答えた女性は32.8%と、男性(15.2%)の2倍以上だった。一緒に入りたくない理由は女性の場合「義父母と一緒だから」「死んでまで一緒は嫌」という意見が最も多かったが、男性のほうは、「何となく、特にない」が半数を占めた。何となくって、何だ。
◉墓はいらない、散骨してほしい…
希望があるなら伝える努力が必要か
まあ、ともかく一緒の墓に入ってほしいと考えている夫は、ちゃんと妻の意思を確認しておくべきだろう。もしもいやだと言われたら説得しておかないと、いずれ寂しい思いをすることになる危険がある。「一緒の墓に入ろうよ」といきなり言われたら、妻のほうも突然何を言い出すんだと警戒するかもしれないので、そこは注意が必要だろう。
このアンケート調査は毎年継続して行われているが、「入りたくない」と回答した女性の割合はこの3年でもっとも高くなった。そして、もう一つ気になる点がある。「一緒に入りたくない」という男性の増加だ。2014年は7%、2015年は10.6%、今年の調査では15.2%と、一気に増えた。「何となく、特にない」という理由で、こんなに一気に数値が伸びるものなのか、どうにも腑に落ちないのだが、「入りたくない」と答えた人のうち、「お墓は入らない」「散骨希望」という理由も上位に位置しているので、従来の「家」や「墓」といった制度が徐々にすたれつつあることに原因があるのだろうか。
ただ、本人がちゃんと希望を伝えておかなければ、遺族もそのときの一番オーソドックスな方法で葬式や埋葬を行うはず。だから「一緒の墓に入りたくない」と思っていたり、「墓に入りたくないから散骨してほしい」と考えているような場合、事前にいろいろと準備をしておかないと希望をかなえることは難しい。しかし、同じ調査の「『終活』をしていますか」という質問に、「している」と回答したのは、2.2%しかいなかった。
終活をしている人、したいと思っている人のうち、25%は葬式の希望を家族に伝えた、伝えたいと考えている。遺族からすれば、何も考えずに普通の方法で送るだけというのが一番楽かもしれないが、できることなら希望をかなえてやりたいという気持ちもあるだろう。墓についても、いよいよというときにいきなり切り出すのではなく、早め早めに話をしておいたほうがトラブルを回避できるに違いない。
ああ。終活といえば、以前、母から「私の葬式ではこのCDをかけてくれ」と言われたことをふと思い出した。ただ問題は、それがいったい誰のCDだったかをまるで思い出せないということだ。本人が希望を伝えたと思っていても、周りの人たちは案外、こんなふうなのだ。まあ、私が親不孝なだけという説もあるが、とにかく、あの世で難癖をつけられないように、母にはちゃんと葬式について書き残しておいてもらいたいものだ。
(貼り付け終わり)