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閣僚の不祥事で大騒ぎをするより、アベノミクスの危険性を問題にすべきだ。

2014年10月21日 14時03分57秒 | 日記
 相変わらず政治とカネの問題で、TVや新聞等のメディアは大騒ぎだ。

 たしかに政治資金が税金から多く投入されているため、政治資金の使い方の批判は、的(まと)として分り易い。 しかしいつも政治家のカネの使途で大騒ぎをして、本来の政策の批判に国民の目がそがれる事に、筆者は危険性を感じる。

 安倍政権の一番の問題点は、政策として進めている、円安をもたらした超金融緩和策の是非ではなかろうか?

 一方でやたらと、目くらましのように女性の登用だ、地方の創生だと、矢継ぎ早のテーマが多すぎる。

 大量の定年退職者により発生する人手不足状態を埋め合わせるためには、当然女性の積極採用をせざるを得ない事であり、安倍首相が得意げに新政策などという程の内容でもない。

 女性閣僚登用なども、世界を見まわしても遅れすぎているのであり、現実に韓国は朴大統領は女性であり、米国も次の大統領候補は女性のクリントン氏が噂されている。 ドイツもメルケル首相は女性だが、EUでリーダーシップを発揮している。

 地方の疲弊を視てみると、人口減少が都会地より一段と進み、就職先が少ない地方では労働人口が都会地に移動するのは当然のことであり、特色のある地場産業を持たない地域の再生は、難しい課題である事はシロートでもわかる問題だ。

 ところで、現在日本の経済を主導しているアベノミクス政策は、本当に日本に活性化をもたらす政策なのだろうか?

 この春の8%消費税値上げの影響で、このところ経済活動の低迷の原因になっていると、取りざたされているが、池田 信夫氏はアベノミクスそのものの根本欠陥だと指摘する。

 円安誘導の結果が、構造変化をしていた日本経済では輸出は増えず、輸入物価の高騰だけを招いた。 いわゆるコストプッシュ・インフレだ。

 日銀が大量に国債を買い上げてもたらされた円安であるが、ここで予定通りに消費税10%決定を延期すれば、国債の暴落をもたらし、日本経済を破滅に導くと危惧している。

 筆者も、こういう危惧を発信する経済評論家が増えている事を知っているが、いよいよ行くも地獄退くも地獄という、難しいかじ取りを要する段階にきていると思う。

 果して安倍政権と黒田日銀総裁が、この状況を乗り切れるのか、神のみぞ知ると言う程の危うさだ。

(JBプレスより貼り付け)

アベノミクスの挫折で深まる安倍政権の危機
消費増税の先送りは国債暴落への道
2014.10.21(火) 池田 信夫

小渕優子経済産業相に続いて、松島みどり法相も辞任し、安倍内閣の危機が深まっている。第1次安倍内閣でも、政治資金について国会で追及された松岡利勝農水相が答弁に窮して「なんとか還元水を使っていた」などと答えた後、自殺したことが政権の大きなダメージになった。

 それよりも深刻なのは、経済の悪化だ。IMF(国際通貨基金)は今月、日本の成長率の見通しを大幅に下方修正し、今年から来年にかけて0.8~0.9%と予測した。これは民主党政権の時代を下回り、日本は不況に逆戻りだ。

●景気悪化の原因は消費増税ではない

 これについて安倍首相は、「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューで、今年中に消費税率を8%から10%に引き上げる決定を延期する可能性を示唆した。彼は「増税は次世代のための財源だ」と言いつつ、こう述べている。

 今がデフレを脱却するチャンスなので、これを逃すわけにはいかない。消費税を引き上げることによって、もし経済が軌道をはずれて減速したら、税収も増えなくなる。それではすべての[次世代のための]政策に意味がなくなる。

 このように消費税の影響を過大評価するのは、彼の側近のリフレ派経済学者の唱える誤った理論だ。

 第1に、今回の不況の原因は増税ではない。前回のコラムでも指摘したように、鉱工業生産指数は今年の1月から10%以上も低下しており、景気悪化は増税前から始まっている。

 第2に、1997年に消費税率が3%から5%に上がった翌年からGDPが低下した最大の原因は、97年11月に始まった金融危機である。消費増税の影響は一時的なもので、税収が減ることはあり得ない(消費税収は増えている)。

 今回の景気悪化の最大の原因は、アベノミクスによるコストプッシュ・インフレと円安である。しかし安倍首相がアベノミクスの失敗を認めることは政治的に困難だから、消費税のせいにして増税を延期するおそれも強まってきた。

●アベノミクスで日本人は貧しくなった

 安倍氏は「日本はデフレ脱却の途上にあり、もう少し時間をかければ景気は回復する」と信じているようだが、これは逆である。景気が悪化した原因は、アベノミクスなのだ。

 その最大の原因は、以前のコラムでも書いた交易条件の悪化である。これは政治家にはほとんど理解されていないが、今の状況を理解する上で重要な指標なので、くり返し説明しておこう。

 交易条件というのは輸出物価指数/輸入物価指数、つまり「輸出品1単位で輸入品が何単位買えるか」という指標である。これが下がると、円で買える輸入品が少なくなる。

(日本の交易条件(2010年基準)、日本銀行調べの図表は省略:筆者注)

 図のように2000年以降、交易条件は1.5から0.86に約40%下がっている。これは石油危機を上回る大幅な悪化である。1円で買える輸入品が4割減り、日本人は貧しくなったのだ。その原因は、大きくわけると次の3つある。

・円安
・輸入物価の上昇
・輸出物価の低下

 「円安になると輸出が増えて景気は回復する」と思う人が多いが、それは実物ベースの輸出/輸入価格が一定の場合の話で、2000年代のように第1次産品の価格が大幅に上がった(例えば原油価格は3倍)場合には、円安でその影響が増幅され、貿易赤字が増えてしまう。

 他方、円安になっても輸出はほとんど増えない。これは外貨建ての価格が下がっても、輸出するものが少ないからだ。日本の製造業は2009年以降の円高局面で生産拠点の海外移転を進めたので、例えば半導体を台湾で生産してアメリカに輸出する場合、ドル/円レートの影響はまったく受けない。

●ソフトランディングへの出口を示せ

 この状況で、首相が示唆したように消費税の増税を先送りすると何が起こるだろうか。日銀の黒田総裁は、衆議院の財務金融委員会で「万が一先送りされ、確率は低いが財政への信認が失われば対応が極めて困難」との見解を明らかにした。彼が財政への懸念を表明するのは珍しい。

 日銀は約165兆円の国債を保有しているが、これは史上最高値圏で買っているので、金利が上がる(債券価格が下がる)と多額の評価損を抱える。例えば金利が今のアメリカ並みの2%台になると、日銀は20兆円以上の評価損をこうむる。日銀は86兆円の紙幣をもっているので、それを発行すればいくらでも債務を埋めることができるが、高率のインフレが起こる。

 こういう「ハードランディング」のリスクは小さくない。政府債務は、あと2年で個人金融資産を上回る。FRB(米連邦準備制度理事会)もテーパリング(緩和縮小)を開始して、金利が上がり始めた。

 黒田総裁は「2%のインフレ目標達成は2015年にこだわらない」と実質的に延期したので、量的緩和を続ける必要はない。今や完全失業率が3.5%まで下がった日本経済は「超完全雇用」ともいうべき状態で、人手不足や建設資材の不足、エネルギー価格の上昇など、供給制約が表面化している。

 ここで財政・金融政策で需要を追加しても、供給不足が悪化してコストプッシュ・インフレになるだけだ。内閣府の浜田宏一参与もいうように、今や2%にこだわる意味は何もないのだ。今のうちなら日銀がテーパリングの計画を示しても、すぐ金利が上昇するとは考えにくい。

 しかしこのまま日銀が毎月7兆円の国債を買い続け、おまけに政府が消費税の増税を延期すると、それを引き金にして市場が反乱を起こすおそれがある。首相は財政再建の断固とした決意を示し、日銀はソフトランディングへの出口を示すべきだ。

(貼り付け終わり)