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続・持続可能的計画経済論(連載第23回)

2021-01-03 | 〆続・持続可能的計画経済論

第2部 持続可能的経済計画の過程

第4章 計画化の時間的・空間的枠組み

(4)領域圏経済計画のスケジューリング
 領域圏における経済計画は計画経済の最前線を成すものであるが、それはかつての旧ソ連における「一国社会主義」における一国単位での経済計画とは異なり、グローバルな世界経済計画を大枠とする支分的な経済計画であるから、その策定スケジュールについても、世界経済計画が優先する。
 そのため、計画期間のサイクルはともに3か年であるが、世界経済3か年計画と領域圏経済3か年計画とでは、3か年の起算点がずれ、領域圏経済計画が後行することになる。
 その場合、領域圏経済計画の策定プロセスは、世界経済3か年計画が世界共同体総会で可決・成立し、発効した時点から始まる。そこから、およそ3乃至4か月程度の期間をかけて、領域圏経済計画を策定し、各領域圏民衆会議で可決・成立のうえ、第1計画年度が開始される。
 そうした一連のスケジュールの具体例として、例えば世界経済計画の発効をわかりやすく1月に設定すると、領域圏経済計画の策定プロセスは同月から始まり、同年4月乃至5月までには可決・成立のうえ、領域圏経済計画の第1計画年度がスタートするといったスケジュールとなる。
 ところで、領域圏経済計画は、一般生産計画(計画A)と農林水産計画(計画B)、製薬計画(計画C)、さらには地方ごとの消費計画をも包含する形で重層的に編成されるわけであるが、全計画の基盤として、エネルギー計画がある。
 エネルギー計画を前提に計画Aが策定され、さらにその余の計画Bや計画C、消費計画は計画Aを基準にして編成される。そのため、実務的な策定作業においては、まずエネルギー計画及び計画Aが優先し、それらに照応して、その余の計画の策定作業が後続する関係にある。
 さらに、地方ごとに編成される消費計画は、領域圏全体に係る計画A及びB、とりわけ消費計画の中で中核を占める食料品の供給との関わりで計画Bと不可分の関係にある。そのため、消費計画は計画Bとほぼ並行的に策定されていくことになろう。
 なお、前回述べたように、連邦型の連合領域圏において、各準領域圏(州)が独自に経済計画を策定する構制を採用した場合は、各準領域圏の経済計画が領域圏(連合)の経済計画のサイクル内に納まらなければならないから、領域圏経済計画と各準領域圏経済計画の策定作業が同時並行で行われる複雑な仕組みとならざるを得ない。


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