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沖縄的保守―進歩的保守

2014-11-17 | 時評

沖縄県知事選で、本籍自民党ながら普天間基地の辺野古移設反対を掲げた翁長雄志氏が当選した。保守系候補が二手に分裂した選挙となり、メディア上では「従来の構図が一変」などと論評されていた。

しかし、決してそうではない。沖縄の保守は元来、本土の保守とは性格が異なり、言わば進歩的保守が基調であった。戦後の沖縄はまず米軍政、続いて返還後も残る米軍基地との闘争を通じて、全土的に左派色が強く、そうした土壌の中に保守が食い込むには保守も進歩的姿勢を示さなければならない。

そのため、本土の保守とは連携しつつも、基地問題では本土の言うなりにならない姿勢が沖縄保守にはある。ただ、敗北した前職の仲井眞氏は中央官僚出身で、歴代沖縄県知事の中では最も中央と直結する知事であったため、沖縄保守が本土保守に異常接近していたことはたしかであった。

その結果、中央政府及び米国政府主導での基地移転が強行されようとしたことへの県民の反発が、保守分裂選挙という形で表現されたのだが、当選した翁長氏のほうが本来の沖縄的保守に近いとさえ言えるのである。

とはいえ、今般選挙結果を受けて、日米両政府が基地移転合意を見直す可能性はまずない。しかし、基地問題をほぼ唯一の争点とした今般の県知事選挙は事実上の住民投票に近い性格を持つ。

日米両国は民主主義的価値観を共有するそうだが、民主的な選挙結果を無視する“民主主義”とは何なのかが鋭く問われるだろう。取り沙汰されている解散総選挙の重要な争点に加わるべきテーマである。


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