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アメリカ憲法瞥見(連載第10回)

2014-10-03 | 〆アメリカ憲法瞥見

第五条(改正)

連邦議会は、両院の三分の二が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または、三分の二の州の立法府が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、四分の三の州の立法府または四分の三の州における憲法会議によって承認されたときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が定める。但し、1808年より前に行われるいかなる修正も、第一条第九項第一号および第四号の規定に変更を加えてはならない。いかなる州も、その同意なしに、元老院における平等の投票権を奪われることはない。

 本条から最終第七条までは、憲法の最高法規性に関わる条項が並ぶ。特に本条は、憲法改正の条件を定める最重要の規定である。その規定によると、憲法改正は連邦両院の三分の二以上の発議(または三分の二の州の議会の請求)に基づき、なおかつ四分の三の州の議会(または憲法会議)の承認がなければ有効に成立しないとされる。これは、米国憲法が改憲に関して厳しい条件を課す硬性憲法であることを示している。特に州レベルでの承認を絶対多数で厳しく要求するのは、徹底した連邦制ならではの制約である。

第六条(最高法規)

1 この憲法成立前に契約されたすべての債務および締結されたすべての約定は、この憲法の下においても、連合規約の下におけると同様に、合衆国に対して有効である。

2 この憲法、およびこれに準拠して制定される合衆国の法律、ならびに合衆国の権限にもとづいて締結された、または将来締結されるすべての条約は、国の最高法規である。すべての州の裁判官は、 州の憲法または法律に反対の定めがある場合でも、これらのものに拘束される。

3 この憲法に定める元老院議員および代議院議員、州の立法府の議員、ならびに合衆国および各州のすべての行政官および司法官は、宣誓または宣誓に代る確約により、この憲法を擁護する義務を負う。但し、合衆国のいかなる官職または信任による職務に就く資格条件として、宗教上の審査を課してはならない。

 本条は形式的な意味での憲法の最高法規性を定めている。第二項にあるように、憲法そのものに限らず、憲法準拠法律・条約まで最高法規とされている。つまり、憲法を頂点とする連邦法規(条約を含む)は州法規に優先する。

第七条(批准手続)

1 この憲法は、九の州の憲法会議の承認があれば、承認した州の間で成立するものとする。

2 西暦1787年、アメリカ合衆国独立第12年、9月17日、憲法会議において列席各州全会一致の同意により、この憲法を定めた。これを証するため、われらはここに署名する。

      ジョージ・ワシントン
議長にしてバージニア州代表

 最終となる本条は、憲法の批准手続と憲法制定の宣言を含む締めくくりの条項である。九の州の承認によって批准・成立するものとした第一項は、合衆国憲法が州間条約の性質を持つことの歴史的な証しである。
 なお、第二項で西暦1787年を独立第12年と言い換えているのは、独立宣言を発した1776年を独立第1年として起算しているためである。


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