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民衆会議/世界共同体論(連載第30回)

2018-02-13 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第7章 世界共同体の組織各論①

(2)世界民衆会議
 前章で世共は、最終的に完成された形態においては、世界民衆会議をベースとして、それを構成する各領域圏の民衆会議が有機的に結びついた民際ネットワーク機構として機能すると説明した。つまり、世共の中核は世界民衆会議である。
 民衆会議の組織構成については、すでに第3章及び第4章で論じたところであるが、そこでは専ら世共を構成する各領域圏及びその内部の地方自治体における民衆会議の組織構成を扱った。本章及び次章で扱うのは、世共における世界民衆会議の組織構成についてである。
 世界民衆会議は世界共同体の総会を成す機関であり、その正式名称も「世界民衆会議‐世界共同体総会」であるが、これと現行の国連総会が決定的に違うのはその構制である。国連総会は国連加盟各国で構成されるが、それだけに総会は各国首脳らによる年末の「顔見世」儀式に終始しがちで、議案をめぐる実質的な審議はなされず、実務的な交渉は外交官(外務官僚)である国連大使レベルで行われている。
 しかも、国連総会はそれぞれ対等な主権を有する国連加盟各国代表の集まりであるから、当然にも各国の利害が入り乱れ、条約交渉は政治的駆け引きのゲームに終始し、国連条約の成否・内容はとりわけ五大国内部の利害対立に大きく左右されることになる。
 世界民衆会議の最大任務も条約の審議・議決にあるが、この世共条約は現行の国連条約が加盟各国によって批准されない限り加盟国を拘束しないのとは異なり、一個の「法律」(世界法)として、世共を構成する各領域圏を例外なく拘束する。従って、その審議・議決は各領域圏を代表する一定の民主的な基盤を持った代議員(大使代議員)によってなされる。
 ただし、その選出方法は直接選挙ではなく、各領域圏民衆会議による複選制により、選出後は出身領域圏民衆会議の特別代議員を兼職する(特別代議員は審議に参加できるが、表決には参加できない)。
 また複数の領域圏による合同領域圏の場合は、それを構成する各領域圏が半年会期ごとの輪番で合同を代表する1名の大使代議員(合同代議員)を送る。ただし、8領域圏以上の大合同の場合は、2名の合同代議員を送ることができる。
 合同代議員を出さない合同構成領域圏は、各1名の副代議員を送ることができる。副代議員は合同代議員を補佐しつつ、合同代議員が出身領域圏の利益に偏らず、合同全体の利益のために活動するよう方向付けする任務を有する。


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