第2部 持続可能的経済計画の過程
第5章 経済計画の細目
(4)領域圏経済計画の構成及び細目
領域圏経済計画は世界経済計画を大枠として策定される各領域圏単位での二次的な経済計画であり、持続可能的計画経済全体における核心を成す計画である。
古典的な経済計画で言えば、各国ごとの中央経済計画に相当するものであるが、世界経済計画に枠づけされている点、策定単位の領域圏は排他的な主権国家ではない点で、古典的な計画経済とは大きく異なることが改めて留意される。
後者に関連して、領域圏の中でも、複数の領域圏が協働して経済計画を策定することを主要な目的として緩やかに結合する合同領域圏にあっては、経済計画も合同の構成領域圏ごとではなく、合同領域圏単位で策定することになる。
こうした合同経済計画をも含めた領域圏経済計画の細目は世界経済計画と相似形を成すので、基本的には世界経済計画のそれに沿ったものとなり、エネルギー計画に始まって、生産計画の細目が提示される(計画A)。その細目が地球環境の主要素である大気・土壌・水資源・生物資源のいずれに負荷のかかる業種かにより分類される点も同様である。
もっとも、エネルギー計画に関しては、自領域圏内で産出できないエネルギー源は世界天然資源機関を通して包括供給を受けることになること、同様に、自領域圏内で生産できない製品に関しては、他領域圏からの輸入供給を受けることになる点で、領域圏経済計画の細目は各領域圏ごとに多様化される。
また、領域圏経済計画の細目として、農林水産分野の経済計画(計画B)が別枠で策定されることも重要な点である。世界経済計画は地域的な生態系や食習慣の相違により偏差の大きい農林水産分野の計画を含まないため、この分野に関しては、領域圏経済計画が一次的な経済計画となり、農業・林業・漁業の各分野ごとの細目が提示される。
さらに、経済計画の全体概要の根拠となる環境上の指針を別表として明示することは、世界経済計画の場合と同様である。その指針は基本的に世界経済計画に示された指針の縮約版であるが、世界経済計画上の指針より厳しい指針を設定する場合は詳細に記述する必要がある。
なお、領域圏経済計画の三本目の柱となる製薬計画(計画C)は薬剤という製品の性質上特殊な構造を持つため、本章の最終節で改めて記述する。