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続・持続可能的計画経済論(連載第17回)

2020-05-17 | 〆続・持続可能的計画経済論

第1部 持続可能的計画経済の諸原理

第3章 計画組織論

(3)世界計画経済の関連組織
 世界共同体における経済計画の全体的な設計図となる世界経済計画の策定に当たる機関は、まさに世界経済計画機関であるが、この機関は、先行の『持続可能的計画経済論』で述べたように(拙稿)、官僚制的行政機関ではなく、各領域圏の経済計画会議と同様に、生産企業体自身の共同計画を策定する合議制機関である。その概要は上掲拙稿に記したので、ここでは、世界経済計画の策定に関わる関連組織について見ておく。
 世界経済計画機関が世界経済計画の中心的な実務機関となることは当然であるが、環境的持続可能性に重点を置く持続可能的計画経済においては、世界的な環境政策に関わる世界環境計画のような環境機関の関与も不可欠である。
 世界環境計画は現行の国連環境計画を継承する世界共同体機関であり、世界共同体の環境政策における中心的実務を担う。持続可能的計画経済における世界経済計画とは、環境基準の枠内での計画であるからには、世界環境計画の政策に合致していなければならず、世界環境計画の代表者は世界経済計画にも専門的に参与し、計画策定に関与する。
 さらに、世界経済計画における土台ともなるエネルギー計画の策定に際しては、世界天然資源機関の関与が欠かせない。その点で、世界経済計画機関と世界天然資源機関とは世界経済計画策定における双璧機関として常時密接に連携する。
 また、あらゆる生産活動において不可欠な水資源の公平な利用を調整する世界水資源機関も、水資源に特化した天然資源機関として、世界経済計画の策定に関与する。
 一方、地域的な特色が濃厚な農林水産関係は、世界計画経済の直接的な対象ではなく、各領域圏の経済計画に委ねられるが、世界食糧農業機関(漁業や林業も兼轄)は食糧供給の観点から、世界経済計画の策定に専門的に参与するとともに、世界環境計画と連携しつつ、環境的に持続可能な農林水産の観点から、世界経済計画よりは規範性が弱いものの、世界経済計画の補充的指針となる世界農林水産計画を策定する。
 さらに、世界経済計画の策定に当たっては、五つの各汎域圏の経済協調会議が関与する。汎域圏の主要な役割の一つは資本主義経済における貿易に代わる域内経済協調にあり、同会議はそうした域内経済協調の実務機関である。具体的には、五つの各汎域圏の経済協調会議事務局長が大使的な立場で世界経済計画機関における討議と議決に加わる形で、計画策定に関わることになる。


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