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世界共同体憲章試案(連載第34回)

2020-06-20 | 〆世界共同体憲章試案

第21章 宇宙探査

〈基本理念〉

【第117条】

1.天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、全人類の利益のため、世界共同体を通じて行われる全人類的な活動である。

2.前項の規定は、世界共同体構成主体または民間探査組織が、いかなる種類の差別もなく、平等の基礎に立ち、かつこの憲章及びその他の関連条約に従って、天体を含む宇宙空間を自由に探査する権利を妨げるものではない。

3.天体を含む宇宙空間は、何人にも属さない。それゆえに、主権または所有権の主張、使用もしくは占拠またはその他のいかなる手段によっても、何人の独占的取得の対象ともならない。

4.天体を含む宇宙空間は、もっぱら平和的目的のために、すべての世界共同体構成主体によって利用されるものとする。天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。天体の平和的探査のために必要なすべての装備または施設を使用することは、禁止しない。

5.天体を含む宇宙空間の探査及び利用に関する細目は、この憲章に基づき、条約によってのみこれを定める。

[注釈]
 宇宙探査に関する五つの基本理念である。すなわち、全人類利益の原則、平等の原則、独占取得禁止の原則、平和利用の原則、法定主義である。その土台は国連時代の1967年に締結された宇宙条約の内容にあるが、世共の理念に合わせて修正されている。

〈世界共同体宇宙機関〉

【第118条】

1.世界共同体は、宇宙探査を統括するため、世界共同体宇宙機関を設置する。

2.前項の機関は、総会の共同管理機関とする。

[注釈]
 世界共同体を通じた宇宙探査を統括するのは、世界共同体宇宙機関である。

【第119条】

1.前条の機関は、次の任務を有する。

① 世界宇宙探査計画を策定し、世界共同体構成主体または民間探査組織と連携しつつ、これを実行すること。 
② 世界共同体宇宙ステーションを運営すること。
③ 世界共同体構成主体または民間探査組織による宇宙探査を技術的に支援すること。
④ 天体を含む宇宙空間に関して、独自に研究すること。

2.機関は、前項の各任務を遂行するのに必要な場合、世界共同体航空宇宙警備隊の支援を求めることができる。

[注釈]
 世界共同体宇宙機関は、宇宙探査の独占機関ではなく、構成領域圏やその他の民間宇宙探査組織と連携し、人類の宇宙探査を束ねる役割を果たす。
 第2項は世共宇宙機関の任務及び任務遂行に当たっての航空宇宙警備隊の支援要請に関する規定である。宇宙探査は平和的な活動であるが、危険性を伴うため、世共共同武力の一つである航空宇宙警備隊の支援を受けることは否定されない。


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