ザ・コミュニスト

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今後起こるべきでないこと

2022-07-09 | 時評

8日に発生した安倍元首相射殺事件を契機に今後起こり得るけれども起こるべきでないと思うことを箇条列記しておきたい。


一 事件関連の報道洪水が起こり、今後何か月にもわたって他の重要問題に関する報道がかき消され、あるいは脇に追いやられること。

一 事件を機に安倍氏が美化され、長期に及んだ安倍政権時代の政策や不祥事に対する批判的検証が自粛・封印され、あるいは批判的検証がタブー化されること。

一 支持者の間で安倍氏が神格化され、故人の遺志の継承という名分から改憲勢力が大同団結し、故人が望んでいた方向での改憲発議が急速に推進されること。

一 〝民主主義への挑戦〟等のレトリックに基づき、事件に便乗する形で、国家要人の殺人を重罰化する刑法改正や適正手続き原則を排除した新たな治安対策法の制定などの抑圧的な治安管理政策が打ち出されること。

一 〝法秩序への挑戦〟等のレトリックに基づき、法の峻厳さを示すためとして行われる別事件の確定死刑囚への見せしめ的な死刑執行。*[追記]7月26日、秋葉原路上殺傷事件(2008年)の死刑囚への死刑が執行されたのは、白昼街頭での犯行であったことの部分的類似性などから、見せしめ執行の可能性がある。

一 被害者の特殊な地位が政治的に配慮され、被害者の名声にも関わる犯行経緯・動機などの詳細が秘匿され、あるいは歪曲されたまま、憎悪感情を背景に形式的な司法手続き(裁判員裁判)により拙速に死刑が科せられること。

一 警備態勢の不備・失策等の技術的な観点からの糾弾により、関係者の「引責自殺」が誘引されること。


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