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犯則と処遇(連載第14回)

2018-12-15 | 犯則と処遇

12 教育観察について

 「教育観察」は、少年に対する保護観察の性格を持つ独立の処遇である。従って、その対象者は「矯導学校編入」に相当しない犯則行為をした少年が中心となるが、その他にも、重大な非行をした13歳未満の少年で「特修矯導学校編入」相当でない10歳以上の者、10歳未満でそもそも「矯導学校編入」に付し得ない者も対象者に含まれる。

 いずれにせよ、「教育観察」にあっては成人に対する保護観察とは異なり、教育に重点が置かれることから、その実務機関は一般の保護観察所とは別に設けられる「少年観察所」である。
 「少年観察所」は一般の保護観察所に併設してもよいが、組織・運営は分離されていなければならず、「少年観察所」に配属されて「教育観察」の実務に当たるスタッフは、少年問題に精通した者が充てられる。

 「教育観察」の対象者は非行傾向の弱い少年であるから、「教育観察」における処遇は、矯正のプロセスを省略して更生のためのサポートをすることが中心となる。
 具体的には、本人へのカウンセリングのほか保護者への助言も行う。ただ、家庭環境の調整などをするには、該当少年を「未成年者福祉センター」へ委託保護しつつ「教育観察」を行う必要もあるだろう。
 一方、重大な非行をしたが「矯導学校編入」には付し得ない13歳未満の年少少年を対象とする場合は、「教育観察」の枠内で一定の矯正的なプログラムを課することも必要となる。こうした場合、対象者を少年鑑別所に短期間宿泊させて集中的に処遇する「宿泊処遇」も考えられる。

 以上の「教育観察」は少年の成長に応じた教育的な更生サポートを内容とするものであるから、予め期間を定めるには適しない。従って、その終了時期は「教育観察」に当たる「少年観察所」が対象者の更生の度合いを見て判断する。
 ただし、2年を超えて「教育観察」を継続するときは、改めて司法機関の許可を得なければならない。この場合、司法機関は継続観察の要否を審査したうえ、上限となる年限を明示して許可する。これによって「教育観察」が不当に長期にわたることを防ぐことができるのである。


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