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続・持続可能的計画経済論(連載第36回)

2022-10-23 | 〆続・持続可能的計画経済論

第3部 持続可能的計画経済への移行過程

第7章 経済移行計画Ⅰ:経過期間

(3)経済計画会議準備組織の設立
 計画経済の対象範囲に含まれる基幹産業を統合した包括企業体を創設した後は、将来の計画経済の策定・実施機関となる経済計画会議の前身を成す経済計画会議準備組織(以下、単に準備組織)の設立に入る。
 持続可能的計画経済における経済計画機関は行政的な中央指令機関ではなく、計画経済の対象となる生産事業機構自身が共同して運営する合議機関であるので、その前身組織となる準備組織もまた同様の構成を有し、生産事業機構の前身となる包括企業体の合議組織(協議会)として構成される。
 そのため、発足当初の準備組織はある種の財界団体のような様相を帯びるであろうが、この準備組織はまさしく将来の経済計画活動の準備を目的とするから、経済計画の策定と実施に必要な物的・人的基盤の整備に努めることがその主任務となる。
 経済計画の策定と実施に必要な物的基盤としては、計画に投入される大型コンピュータ・システムが代表的なものである。後に補論として改めて触れるように、経済計画は精緻な計算科学の基盤の上に成り立つからである。
 一方、人的基盤としては、経済計画の実務において環境学的な観点から経済分析・予測をする必須の専門職である「環境経済調査士(エコロノミスト)」や環境経済学的なデータの収集・分析を行う「環境経済分析員」の養成と配置が中心である。
 将来的に完成される経済計画会議は、政治問題を審議・議決する民衆会議と並ぶある種の経済議決機関として民衆会議とは二院制のような両輪を成すことになるので(政経二院制)、準備組織も単なる社団法人のような組織ではなく、特殊な公共団体としての法的地位を持たせる。
 そのため、準備組織は各包括企業体の担当役員を代議員とする協議会として組織され、経済移行の経過期間内は、将来の正式な第一次経済計画の策定に向けた経済計画の机上演習を実施することも重要な任務である。

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